第23話 戦後
どうも、ぽむむんです。
もうすぐ5000PVになります!
夏休み入るので、更新頑張ろうと思います。
よろしくお願いいたします。
戦いの余韻は、鬱蒼とした森林の中に消えていった。戦火は消火され、鎮静した雰囲気が煙となって霧散する。
「う~ん。やっぱりすごい造りだね。」
「テンション高いですね。本田さん。」
本田さんは相変わらずの悠悠閑閑とした態度だった。
「それを言うなら、君だってそうじゃないか。1人の隊員を失ったんだよ、隊長くん。」
ぐっ。図星だ。言い返せない。
「こういうのには、慣れているんですよ。」
苦し紛れにそう言う。
本田さんは苦笑で受け止めていた。
「でも、本当に凄い造りだ。」
本田さんは、また同じことを言う。
「あの、さっきから何しているんですか?施設外周回って写真撮っただけで、何か分かるんですか?」
いい加減、疑問に思ったので尋ねる。
「うん、分かるよ。じゃあ、何が分かると思う?」
「逆に問い返しますが、それで分かった事によってメリットは何ですか?」
そう返してみる。さて、反応はどうだろうか?
「質問を質問で返すのか。」
本田さんは、つまらなそうな顔をして言う。
やっぱ、そうですよね。想像してました。
「コペルニクス的展開ですよ。180゜の展開。」
「へー、博識だね。屁理屈っぽいけど。」
「いえいえ、薄識ですよ。」
嫌みで返す。でも、この人が近くに居ると落ち着くな。いつも同じ、テンションでペースだからか?
実際、金剛さんが欠けてから、隊員は皆鬱屈としていて、話も必要最低限しか会話しなかった。
悲しみなんて1fmも抱いていない俺からしたら、相当居心地が悪かった。
「で、話を遡源させると、その施設の造りから建設日を知ることで、ドミニオンの歴史が分かる。って事ですよね。」
「なんだ、分かっているなら最初から言えばいいのに。」
口をすぼめて言う。
「で、この施設はなかなか古いよ。でも、ただ古いだけじゃない。」
おもちゃを前にした子どものように、目を爛々と輝かせる、本田さん。
「建築方法は、最新鋭のやり方だね。でも、この施設は建てられて20年は経過しているよ。」
「え?どういう事ですか?」
「つまり、相当頭がキレるやつがいるって事だな。」
確信したかのような言い方だった。
「でも、俺が斃した奴らは頭のネジが3つくらいぶっ飛んだやつらばっかでしたよ。」
ハウザーは除くけど。
「バカと天才は紙一重って言うでしょ。」
確かに、天才などと呼ばれた偉人達の多くは知的障害者が多いという統計というか法則?が出ている。
IQ180と言われ、相対性理論を提唱したアインシュタインや、天下統一を果たした豊臣秀吉、多視点図法と言う新しい描きかたで、評価されているピカソなどもそうだ。
「確かにそうですね。」
本田さんの考え方を肯定する。
「てか、20年ってギルナとガイナなんて生まれていないじゃないですか。」
「そうだね。そのときはもしかしたら、ドミニオン8幹部自体が無かったかもね。」
それだったら、潰すのも楽だっただろう。
「そう言えば、何で建築日が分かったんですか?」
「ああ、昔建築関係の職に就いていたからね。」
本田さんは、昔懐かしむように、染々と答えた。
「じゃあ、帰ろうか。報告書にまとめなきゃいけないし。」
「そうですね。眠いです。」
率直な意見を言う。
「まぁ、君が元気そうで良かったよ。」
元気?いつもと変わらずだけど。
「いや、金剛さんの死に罪悪感を抱いていないかなって思ってね。」
「自分が気を失わなければ、金剛さんは死なずに済んだって事ですか。」
それを考えて、苦悩して後悔している奴は愚か者だろう。たらればの話は空理空論だ。
「そんな意味の無い事なんてしませんよ。」
「そうか、なら良かった。」
そう言って、本田さんは笑った。
「さあ、戻ろう。」
◇ 1週間後
「こ、これが、紫色の液体、通称ルナの雫のDNA鑑定結果や実験結果です。」
恐る恐る言葉さんが、書類を皆に配る。
「えっと、説明しましゅっ。」
あ、噛んだ。
言葉さんが恥ずかしそうに顔を赤くする。
「私は、ガラス円柱内から紫色の液体を採取し、鑑定しました。」
確かに、細かいデータと実験内容が乗っていて、ちゃんと対照実験で行われていた。
「えっと、まず、DNA鑑定からせ、説明します。素材としては、ひ、人の体液だと思います。しかし、ゲノム構造が根本的に変化していて、未知の物質もありました。」
ここで、ふうっと言葉さんが息を吐く。なかなか緊張しているようだ。
「えっと、紫色の物質は原子から未知の物質で、私達研究者はデオキシリボ核酸変換通称、DNACと呼んでいます。」
デオキ、、、何だって?てか、よく噛まずに言えるな。さっきは噛んでいたのに。
「また、効果としては、脳のリミッター解除。筋力の増強。細胞の活性化による、身体能力の飛躍的上昇。五感の発達。等が挙げられます。」
すっげー強いな、そのルナの雫ってやつ。
「しかし、急激な細胞の老化により、脳及び臓器への重い後遺症が高確率で発症し、摂取量によれば最悪死に至ります。」
やっぱり、ギルナはドーピングの過剰摂取だったんだな。ああ、恐いコワイ。
「あと、実験結果ですが。まず、あの液体のゲノム構成上、非常に酸化しやすく腐食も早いです。なので、あのガラス円柱は真空状態になっていて、注射器にはアルゴンや窒素ガスが充填されていました。」
アルゴンも窒素も共に変質しにくいからな。
「また、沸点が70℃で凝固点が有りません。」
凝固点が無い!?どういう事だ。0kでも凍らないって事か?絶対零度でもって事になる。それは、物質としておかしくね。
「また、蒸発させたルナの雫は、腐食しにくく、酸化耐性が出来ています。ただ、その分DNACの効果が落ちます。」
お、全然噛んで無い。集中しているなぁ。
その後もルナの雫についての実験結果の発表が続いた。
「重要な部分は以上になります。他詳細は、レポートか私に聞いて下さい。」
言葉さんは、やりきったかのような達成感を覚えたのか、自信げに言った。
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