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序章 四通の申請書と、空き部屋一つ

「失礼します。先生、新しい部活の申請に来ました」



「あなたも?」



「え?」



「ふぅ……。今日で、あなたで四人目よ。文学部の設立申請書を職員室に提出しに来たのは」



「は? よ、四人目……ですか?」



「ええ、そうよ。ほら、あなたの前に出されたこれが三通。で、これが今あなたの持ってきた四通目。ね? 全員が律儀に文学部設立申請書って書いてるわ」



「そんな……。俺以外に、この学校でわざわざ文学部なんて作ろうとする奴が、他に三人もの拘りを持った人間がいるなんて……」



「ま、とにかくこれで部員四名の最低基準は満たしたから、書類上はこれで申請を通してあげる。おめでとう。……と言いたいところなんだけど、あなたたちって知り合いなの? 提出された名簿、クラスも学科も全員バラバラなんだけど」



「えっと……いえ、全く。名前も見たこともない人たちです」



「やっぱりそうよねぇ。みんな示し合わせたわけでもなさそうだし、妙な偶然もあるものね。あ、そうだ。部室の場所なんだけど、ちょうど去年に茶道部が無くなって、あそこの和室がずっと空室のままなのよ。畳敷きで少し古いけど、そこを文学部の部室にするといいわ。机と座布団くらいは残ってるはずだから」



「茶道部の跡地、ですか」



「そう。あと、正式な顧問が決まるまでは、一旦私が担当してあげる。書類のハンコは押しとくから、活動は明日からでも始めていいわよ」



「あ、ありがとうございます。あの、ちなみに……その、他の三人は誰なんですか? どんな人たちなんですか?」



「んー、それをここで私が一人ずつ説明するのも面倒だし……じゃあ、明日ね。明日の放課後、その元茶道部の部室に集まりましょうか。他の三人にも明日の放課後、旧茶道部に集合って、先生からそれぞれ伝えておくから。そこで顔合わせをしなさい」



「ほ、他の部員ですか……? 俺を入れて、面識のない四人が、いきなり和室に……?」



「そうよ。みんな小説家になりたいって熱い想いを書類に書いてるんだから、きっとすぐに意気投合するわよ。それじゃ、明日の放課後に遅れないようにね!」



「あ、待ってください先生! 熱い想いって、一体どんな」



「はいはい、お疲れ様! 明日の放課後よ!」


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