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南西の大洞窟調査3

 シルク用のお菓子、また作らないとソロソロ在庫が無くなってきたな……と考えつつ、俺は賢者から拳鬼に変更をおこなうべく【マウスLV1】で選んで【キーボードLV1】でエンター――



 【システム 拳鬼の全スキルをコンプリート 限界突破しました】

 【システム 拳鬼の限界突破スキルが使用可能です】


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 【拳鬼スキル】

   ・全スキルコンプリート

   ・徒手鬼神化

   ・徒手反撃自動化(反撃時攻撃力倍増)

   ・弱点看破(この世界の魔獣魔物など)


 【拳鬼限界突破スキル】

   -

   拳鬼魔変換神気術スキル

   - 神魔複合無双(シンマフクゴウムソウ)

       ⇖【詳細】

         攻撃した部位を当てる寸前弱体化させる

         神気を全スキルと、身体能力を魔力複合させる

          ⇖【詳細】

            身体能力とスキルを向上させる

            職が拳鬼の場合さらに更に激増する

            

   特殊

   -

   全拳鬼・限界突破スキル習得

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 俺の頭の中にスキル名が浮かぶ。

 その中の一つ拳鬼魔変換神気術スキル【神魔複合無双(シンマフクゴウムソウ)】を選択しパッシブスキルに――さらに、特殊をパッシブに追加する。

 先にパッシブに入れていた【賢者限界突破スキル】特殊 全賢者・限界突破スキル習得、それに【拳鬼限界突破スキル】特殊 全拳鬼・限界突破スキル習得することで接近戦や遠距離からの攻撃全てに対応が出来るようになった。


 【パッシブ】

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 【拳鬼スキル】

   ・全スキルコンプリート

   ・徒手鬼神化

   ・徒手反撃自動化(反撃時攻撃力倍増)

   ・弱点看破(この世界の魔獣魔物など)


 【拳鬼限界突破スキル】

   -

   拳鬼魔変換神気術スキル

   - 神魔複合無双

      

   特殊

   -

   全拳鬼・限界突破スキル習得

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 【賢者限界突破スキル】

   -

   全魔法無詠唱威力絶級スキル

   - 叡知無比

      

   特殊

   -

   全賢者・限界突破スキル習得

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 詳細情報


                   職業 剣聖

                      ←  →⇖


 職を剣聖に変更しようが、賢者の限界突破スキルの一つである特殊をパッシブに追加した事で、様々な職で賢者の魔法が全て使用可能だ。

 しかし、魔法初心者である俺は四属性魔法が多彩に使用できるシルク先生に御教授して頂いた方が良いだろう。


 ゴブリンやオーク数体を次々と倒した魔法も、妖精の得意とする風精霊の加護に肖った強力な風魔法や、火、水、地属性魔法をシルクは上手く使いこなしアイビーと連携し外すこと無く倒していたからだ。

 なので、あの(アフ)れかえる牙蝙蝠、大鼠、ゴブリン、オークの大群――その(ウゴメ)く大群に、どの魔法がお勧めなのか聞いてみよう。



「シルク先生、質問いいですか?」

「リリー? どうしたのよ、急に」

「あの少し開けた場所に、溢れ返っている魔物に有効な魔法を放つとしたらシルク先生なら何を使用するのでしょうか?」



 範囲魔法を放てば、いくら魔物の大群でも一発で倒せそうなんだよね。

 でもシルクなら、広範囲魔法で倒すより効率が良い倒し方を知っている筈だ。

 シルクがアイビーの上で立ち上がり、胸を張っている。



「何度聞いても、シルク先生って良い響きねー。うふ、ふふふ。魔法の事なら、この美少女シルクに任せなさい」

「ワン、クウーン……」

『シルク、胸を反らしても無いものは……』


「五月蠅い、エロ犬。私は進化したら、ライムさんやロベリアみたいにボンキュッボンって具合に美ボディーになるのよ!」

「クウーン」

『微ボディ……』


「五月蠅いわね、尻尾引っ張るわよ」



 シルクが、アイビーの後ろに行こうとしているので俺が話を戻すが……



「シルク先生、続きが知りたいです」



 シルクが後ろに行かずに、非力な手でアイビーの耳を引っ張っていた。

 しかし、アイビーは動じずにしている。



「キィー……ハア、ハア。アイビー、耳引っ張ってもビクともしないし」



 シルクがアイビーといつもの――【喧嘩するほど仲が良い】行動をしだしたので、俺はスノーの肉球と柔らかい耳を甘噛みして和み、前の世界のことを思い出していた。

 俺の世界の幼いアイドルで言えば、



「シルキュの姿は、プニプニ、最も理想とハムハム、しゃれている、プニプニ、体型で、ハムハム、どんにゃ男の子の、プニプニ、ハートも掴む、ハムハム、美ちょうじょプニプニだと思う」

「――――。要約するのに時間はかかったけれど、リリーにそんなことを言われると悪い気しないわね」



 あれ? もしかして、スノーと和んでいたせいで心の声がダダ漏れだったか……



「はぁー、もういいわ」



 そう言って、シルクは笑顔になる。



「リリー、確か魔法の話よね」

「ふにゅ……はい、シルク先生」



 俺は、スノーの耳から口を離した。しかし、肉球から手は離さない。

 シルクは少し考える素振りを向け、指をさし



「そうね……今通路に出てきた一体のゴブリン位なら、単発でファイアーダガーを放つわ。でも、あのオークも含む大群なら私が今使用できる中で連弾可能な中級魔法――ファイアーアローかしら? 連弾詠唱する事で、私の場合最大で一度に十本の炎の矢を放ちゴブリン位なら貫通する事ができる優秀な魔法なの。因みに、ファイアーダガーも連弾可能よ」



 プニ、プニ、プニ! 



 俺は、シルク先生の納得できる説明にスノーの肉球を使って拍手をした。



「成る程です。シルク先生は、ファイアーストームとかは使わないのね」

「ハ? ハァァァァァァ? もにゅもにゅ」

「アイビー? 私の口……口で塞がないでよ」



 シルクがアイビーの行動に頬を赤らめていた。

 いやー……アイビー大胆。でも、アイビーは、何も感じていないようだ……

 俺の元に来て、スノーと同じように肉球を弄って欲しそうに前足を出してきた。

 シルクが溜め息をついて、ジト目でその様子を窺っている。

 そして、真剣な表情で



「リリー、いい? 良く聞いて。その魔法は、火属性魔法の最上級広範囲攻撃魔法の一つよ。普通の人が使える訳が無いじゃない。しかも、こんな所で使用したら、私達まで骨も残らずに塵と化すわよ」

「あはは……。シルクに聞いて良かったよ。危うく私達まで、火達磨になる所だったね」



 魔物の塊を見ると、シルクの指摘通り良い所に一匹だけ通路から溢れでて離れた位置にゴブリンが来た。

 溢れたゴブリンなら、俺が練習で魔法を放つのに丁度いいな。

 俺は念のために俺達を囲う用にして、物理と魔法の両方を防ぐ魔法の防壁を唱えてからファイアーダガーを放つ事にした。

 でも、シルク達が分かるように言葉にして――



「【【グレートダブルシールド】】」



 【システム ピピー! グレートダブルシールドの最大許容魔力を越えました】

 【システム 無事限界突破しました】

 【システム これよりグレートダブルシールドは自動でエクストラダブルシールドに変換されます】



 俺がグレートダブルシールドを唱えると、自動でエクストラダブルシールドが展開された。

 まあ、自動で変換されるのなら気にしなくても良いだろう。

 それに、防壁なら尚更強力だと心強い。



「【【ファイアーダガー】】」



 【システム ピピー! ファイアーダガーの最大許容魔力を大幅に越えました】

 【システム 無事限界突破しました】

 【システム 無事限界突破しました】

 【システム 無事限界突破しました】

 【システム これよりファイアーダガーは自動でエクストラファイアーダガーに変換されます】



 ん? あれ? 

 グレートダブルシールドのように一段階っぽい感じがしないような気がする……。

 これって、大丈夫か? 安易だが、俺の考えと違った。

 段階としては、恐らく……無印、スーパー、グレート、エクストラと順に強くなると思うのだが――それに、ファイアーダガーって火魔法最弱なんだろ? 意味が、わからない。



 ヴォーォォォォォォ! ガリガリガリガリガリ! ジュッ! ゴォォォォォォ! 



 【システム 精霊を従属】



 システムが早口で説明したが、そんな事より異常な光景が未来予測で見えた。

 しかし、放った魔法は急には止められない。

 それに、未来予測では皆無事である。ならば、止める必要は無い。

 俺が放った魔法は、ゴブリンに向かって行くがその大きさが尋常ではない。

 通路全体の壁を、少し削りつつ高速で進んでいる。


 巨大すぎる一本の炎のダガーが――いや、もうダガーじゃないだろあれは。

 ……大きさだけで考えると、まるでこの洞窟に通路を作るために稼働させた超巨大掘削機のようだ。

 通路にいるゴブリン一匹を、触れる前に蒸発させ跡形もなく消し去った。

 そして、勢いそのままで溢れ返って蠢く魔物の群れを飲み込み魔物の塊を消し去った――異常とも言える強烈な爆風と爆炎の衝撃波が、行き場を失いこちらを過ぎ去る。



「ぷっ……」



 俺は、想像を絶する威力に吹き出しそうになった。

 スノーは、俺が事前に魔法の防壁を張った事で問題ないと感じたのだろう。

 普通に、俺の側にいた。

 しかし、シルクとアイビーの顔が引きつっていた。



「リリー、笑い事じゃないわよ!」



 と、シルクがプンスカ怒ってポカポカと叩いてきた。

 もし、シルクに何も聞かずにファイアーストームを放っていたら――恐らくこの大洞窟が崩落していただろう。

 いや、この世界の地図から消えていたかもしれない。

 シルクに、事前に聞いていて正解だと思い少し背筋が凍った。

 そして、壁際に見える微精霊達……ん? 俺は双眸を瞬きさせ擦ってみた。



「ねえ、シルク? 壁際に何か見えない?」

「壁際? うーん……別に普通の壁だけど?」



 シルクは風の精霊と契約している筈なので、俺より精霊に詳しいはずである。

 でも、わしゃわしゃいるあの子達はいったい何? 

 土の壁を、必死に支えているような……



「シルク、土の精霊って見たことある?」

「私達妖精族は、あの大森林の影響下で風精霊と契約しているけれど、自身が契約している風精霊意外は普通見えないわよ?」

「そうなんだ。じゃー、壁際にわしゃわしゃ見える微精霊達は私の妄想かな?」

「私に、分かるわけがないでしょ。それに、リリーまた職業変更したでしょ? その職業の説明見てみたら?」

「シルク、ありがとう」



 俺はそう言って、自身の職業を【マウスLV1】を使用して確認することにした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「リリーちょっと訊きたいんだけれど、さっきの魔法なによ」

リリー「ファイアーダガーの事?」

シルク「最弱火属性魔法が、なんで極大魔法になっているのよ? それに、よく

    大洞窟が崩壊しなかったわね」

リリー「ファイアーダガーの事は、初体験だから仕方がないよ。それに、土の精霊

    ちゃん達がわんさかいて、崩壊を防いでくれたみたいなの」

シルク「初体験の所で、モジモジしながら言うのやめなさい! それに、わんさか

    って……微精霊であってもそんな一カ所に集中するなんて聞いたことが

    無いわ」

    シルクの話を半分聞きながら、スノーが振り向く度に微精霊達が一瞬怯え

    る姿を不思議に思うリリーであった。

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