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秘密の恋人  作者: 峪明博
2/11

初めてのデート

「勿論だよ。人間だから秘密ごとくらいあるよ。」

「良かったわ。有難う。宜しくお願いしますね。」

そして二人は無事に付き合うことになった。

とは言っても、別に変わること無く、教室で小説談義をするくらいだった。ただ星野の距離感はかなり近くなった。

ある放課後。

「ねぇ。小林君。」

「どうしたの?」

「『白壁の山』を読んだことある?」

「いや、ない。」

「これ、ファンタジー小説なんだけど、面白いのよ。」

「そうなんだ。ファンタジー小説はあんまり読まないから。」

ふふ、と言いながら、小林に寄り添った。

地味な女子と小林が仲良くなっても、別に妬かれることも無かった。

そして、付き合って一ヶ月が経つ時、小林は思った。

(星野さんとデートがしたい。)

小林は星野さんを今週の土曜日にデートに誘ったが、

「ゴメンなさい。その日は用事で。」

小林は星野に断られた。

「けど、来週なら大丈夫よ。」

で来週、二人は公園でデートをした。

相変わらず星野は服も地味だった。

「素朴な私服だね。」

「えぇ。」

二人はくっ付いて歩いた、と言うか星野がぐいぐい寄ってきた。

「星野さん、近い。」

「良いじゃない。恋人同士なんだし。」

星野は鼻歌を歌っていた。

腕が胸に当たっているのだが、まな板のような感じで、少し痛かった。

二人して幸せそうだった。

「ねぇ。ボート漕がない?」

「うん。いいよ。」

池にあるボートを小林が漕いだ。

池の真ん中辺りに差し掛かった時、

「ねぇ。私の秘密知りたい?」

「知りたくないって言うと嘘になるけど、星野さんが話したい時で良いよ。」

「有難う。小林君。」

小林は漕いでいたら、

「下の名前で呼びあわない?」

星野は言った。

「えっ?」

小林はドキッとした。

「えっ、良いけど・・・。」

「有難う。勇二君。」

「加奈さん。」

「私には加奈って呼んで。勇二君。」

「加・・・奈。」

小林、もとい勇二は赤面した。

「有難う。勇二君。」

加奈は微笑んだ。

喫茶店に行って、二人でご飯を食べた。まだ時間があったので、漫画雑誌を見ていると、

「あっ、えーと、信濃夏帆だ。」

勇二は言った。すると、加奈はドキッとしたが、勇二は気づかなかった。

「最新、男子の間で人気なんだよなぁ。」

勇二は独り言を言っていると、

「この子どう思う?」

加奈は勇二に聞いた。

「どう思うって?まぁ、可愛いとは思うけど?」

「へぇ。そうなんだ。」

加奈はしょぼくれた。

勇二は、?となった。

「どうしたの?」

「男はやっぱり顔を言うんだ。」

「えっ?」

勇二はドキッとした。

「可愛いけど、現実的じゃないというか、高嶺の花というか。」

何一つフォローになっていなかった。

「私は地味だもんね。」

勇二は引きつりながら、目を反らした。

「でも君は性格が魅力的だから、僕は外面より内面かなぁ。」

「そうね。勇二君はそういうタイプだもんね。」

「勿論、そうだよ!」

勇二は強く意志を持って言った。

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