47.逃げた空の迷宮
〔はい?今、なんと仰いました?〕
空耳かしら?空の迷宮が逃げたって聞こえたんだけども?
『空の迷宮が逃げたっていうか、もぬけの殻』
「…………それは新たな試練ですか?」
『うん。普通そう思うよね。でもね。違うんだなこれが』
ホルディア様によると空の迷宮のボスである天空竜から辞職願いが出されていて、それに気づいて慌てて空の迷宮を調べたら天空竜どころか魔物もいなくなっていたと!
「そんな!」
『今、神々総出で天空竜を探してるから見つかるまで待機宜しく!』
言いたい事だけいってホルディア様からの連絡は途絶えました。
待機って………
「逃げるとは卑怯な!出てこいや!!」
隼人、人格変わってるから!
「どうする?」
「チケットは反応しているから空の迷宮には行けるけど………」
「行ってどうするんだ?」
〔手がかりぐらいは見つかるかも?案外、水の迷宮の時みたいに次の迷宮へのアイテムが置いてあったりしてね(笑)〕
冗談だったんだけど!
「あるね。チケットとオーブの欠片」
「こっちには天空竜の鱗と涙、これは汗?ああ、ちゃんと血もあるな。おっ!爪まであるぞ」
「壁には《探さないでください》って書いてあるわよ」
「形振りかまって要られない。夜逃げさながらの逃げっぷりですね」
それは誉めてるのルカ?
「チケットがあるからにはこれを持って迷宮を出れば紋章も刻まれるんだよな?」
「…………多分、もう増えてると思うけど……」
リアンの紋章って額に出るから鏡がないと確認出来ないのが欠点よね。
普段は幅広のサークレットで隠してるけど。
ちなみに勇者専用装備。
素材はミスリル銀で色はおさえてあるので、いぶし銀です。
金色だったら間違いなく装備しなかったでしょうね。
「ああ、本当だ。今まではハッキリしなかったけど流石にここまでくると形が分かるようになったな。次代の勇者リアンの紋章」
なんかみんなで左手の紋章見て納得してる?
〔見せて見せて♪〕
リアンは恥ずかしがって見せてくれないのよ。
「ほら」
〔わーい〕
隼人に左手の紋章を見せて貰ったら、うん。これは納得するわ(笑)
〔…………中央のは私?〕
「どう見てもホノカちゃんだろうね」
そうなんですよ。
どっからどう見ても私!
それも今の雛バージョン横向き。
ポテっとしたフォルムが愛らしい(笑)
でもどうせなら成鳥バージョンにして欲しかった!
「なんか………可愛い」
「普段は隠そう。これはなんというか恥ずかしい!」
女性陣は可愛いって盛り上がってるけど、流石に男性陣には抵抗あるみたい。
元々、みんな中途半端な紋章を手袋で隠してはいたけど今後も隠す方向で決定した瞬間でした。
「攻略完了で良いのかな?」
『やっと天空竜を見つけたのに、なんで空の迷宮に居るの!しかも紋章まで刻まれてる!!』
あらホルディア様。一歩遅かったわね。
『もう、もう、もう!』
牛の真似ですか?
『ありがちな切り返しで面白くない!』
ダメだしくらった!
〔まぁ別にお笑い目指してる訳じゃないから〕
『そこはもうちょっと頑張ろうよ!』
「ホルディア様、本題を」
『歴代の勇者の中でも君が一番、面白くない!』
「………みんな帰ろう。ホルディア様は忙しすぎて僕達と会話はしたくないそうだ」
『それ、どんな嫌味!』
ホルディア様。引っ張るだけ無駄よ?
『ううっ………次代の勇者が冷たい。はぁー………紋章まで刻まれちゃったら仕方ない空の迷宮、攻略完了を認めるよ』
あざーす。
『でね。君達には申し訳ないけど水と空の迷宮が正しく機能してない関係から、最後のチャレンジする迷宮を交換することなった』
あらま。
『て、言うか最後の迷宮のボスまで夜逃げしたんだよね』
うむ。根性のないボス達である。
『そこは今後の課題って事で世界神に報告するけど、今回は間に合わないから急遽、最後の迷宮を最果ての迷宮に交換ね』
〔そこのボスは夜逃げしないの?〕
『ボス居ないから』
「ではどうやって攻略となるのですか?」
『最果ての迷宮は最下層から始まって出口を目指すってのが攻略方法なんだけど、今回はイレギュラーだから最下層から始まるのは変わらないけど、探すのは出口じゃなくて世界神と会うためのアクセスポイント』
へ?
『最果ての迷宮だけは勇者候補者じゃなくても入れるんだよ。世界神にどうしても会いたいって強い思いさえあれば』
もっとも入れても攻略出来るとは限らないけどねって!
あれ?最果ての迷宮って勇者候補一人で攻略が基本じゃないの?
『だから今回はイレギュラーなんだ』
ボス付きの迷宮だとまたボスが夜逃げするかもしれないから、それならはじめからボスの居ない迷宮にしてもう直接、世界神様に丸投げしちゃえと決まったそうです。
まぁオーブの欠片が揃えばどっちにしろ世界神様に会わないといけない訳だから、ついでに最果ての迷宮のどっかにオーブの欠片を隠したそうです。
「ついで………俺達の帰還がついで………」
『いや。君達には感謝してるよ?君達が居なかったら次代の勇者が生まれるまで何年かかったか分からないし今代の勇者だって後、何年持つか』
今代の勇者の精神がかなりヤバイ事になっているとか。
幾ら精神力が強いっていっても人間であることに変わりはないから永遠を生きる事は出来ない。
それでも先祖の罪を償う為と子孫が自分と同じ想いをしないようにと、鋼の精神力で耐えてるとか。
鋼というより超合金。
スーパーウルトラミラクルスペシャル精神力とよんであげましょう。
うむ。自分で言ってて訳が分からん。
『まぁそう言う訳だから最果ての迷宮に行ってらっしゃい』
ほへ!?
足元、消失!!
「いきなりすぎー!!」
休憩ぐらいくださいよ~。
『必要ないでしょ?ああ、条件は他の迷宮と一緒だから。まぁ君達のレベルなら楽勝だと思うけどね』
それでもいきなりすぎー!!
『世界神に宜しくね~』
ホルディア様の無責任な声を聞きながらどこまでも落ちていくのでした。
〔鳥籠から出て飛びたい!〕
「出ても飛べないぞ。能力制限されてるからな」
〔死んじゃう!?〕
「それは流石にないと思うがな」
「ホノカちゃんとホムラが平常過ぎて笑えるんだけど!」
顔強張らせて言われても説得力ないよ隼人。
それにしても何時まで落ちるのかしら?




