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多分、朝?

試練の迷宮のボス部屋で一泊して、自然に目覚めた私は鳥の本能でそれを感知するといまだぐっすりと言うよりぐったり眠り続ける皆を起こす気にはなれず、こっそりとリアンの側を離れた。


眠る時に籠の中で寝るかリアンの側で寝るかでひと悶着あったけど、どう見てもリアンの精神が限界ぽかったので私は美貌の次代の勇者様の手に包まれるようにして彼の顔を視界で一杯にしながら眠りについた。


うむ。自分が人間の乙女なら間違いなく眠る処ではなかっただろう。


しかし不死鳥に生まれ変わったせいか人間に親しみは感じても恋慕はない。


リアンの顔だって綺麗だなとは思うけど、そこどまり。


まぁだからと言ってホムラが好きとはならないけどね。


そのホムラもまだ籠の中で眠っている。


相変わらず鳥の自覚のない不死鳥様だ。


私は皆を起こさない様にそっと飛び立つ。


部屋全体が見れるぐらいの高さまで飛ぶと眠る前にはなかった物を見つけて興味津々で近づいた。


《これって………噴水?》


さして大きくはない、とはいっても鳥の私から見ればかなりの大きさではあるけれども噴水らしき物がいつのまにか出来ていた。

今は水を出してはいないけど真ん中にある女性像の持つ壺から水がでる仕組みだと思われる。

女性像のポーズからすると水を出すと言うより汲んでるって感じ。

少し膝を曲げて腰を落としているから間違いないと思う。


《うん。水は正常って言うのかな?害は特に無しね。味はどうかな?》


毒物検知には問題無しの青色表示。


噴水の縁に止まろうと近づいてみたら鳥の足では止まれそうもない太い縁に、止まっても飲めそうもない水井。

まぁ毒は無いんだし良いかな?なんて思いながら飲むついでに水浴び決行。


《あっ!少し冷たくて気持ちいい♪おっと味見、味見》


一口飲んだらそのあまりの美味しさにまるで砂漠でオアシスにであった様な勢いでゴキュゴキュと飲み続けた。


《ふはー…………生き返る♪……むむ!もしや?》



美味しいだけでは言い表せない何かを感じて水面を鑑定すると…………


ビンゴ!疲労回復薬って出てきた。

しかも説明文には24時間戦えるかもしれないって…………をい!

まさかのリ○イン?

それともドーピング薬?


一応、説明文によると後遺症は無いって書いてあるけど………


まぁいいや。

後遺症が無いなら空き瓶に汲んで持っていく様に進言しようっと♪


「ホノカ!!」


目覚めた次代の勇者様の悲痛な?声に、いつかは彼にも私以上に大切なパートナーを見つけて欲しいものだと思いながら念話で現在地を告げると真っ青な顔したリアンが私を恭しく掬い上げ頬刷りしてくる。


うむ。一刻も早く彼女を作らせないと益々、こじれそうだ。

ってか彼女出来たら絶対に言われそうだ「雛と私のどっちが大事なの?」って………

ヤバイ「ホノカ」って即答するリアンの幻聴と言うか幻影が見える(笑)


いやいや笑い事じゃないわ( ̄▽ ̄;)


さて気を取り直してリアンがしっかりスルーしてる噴水の存在と水の効力を伝えなくては。


「………疲労回復薬?」

〔そうそう。リアンもまだ少し疲れてるでしょ?飲んでみて冷たくてすっきりするよ〕


ちなみにリアンが私を掬い上げたとたんに今まで溜まってた水は排水されて、女性像の持つ壺から水が勢いよく噴出して、元の水井に戻るとピタリと止まった。


はいはい。すいませんね。

飲み水で行水しちゃって。


水の音があまりにも大きかったので寝てた皆も起き出してきて、噴水の周りに集まってきた。


「これは?」

「ホノカの鑑定によると疲労回復薬だとか」

「………タウリン配合?」

〔いやそれ地球組にしか分からないからね………〕


ぼそっと呟く隼人につっこみいれたら嬉しそうに微笑まれた。

芽衣だとキレイにスルーされそうだもんね(笑)


そして一番に飲むのはリアンと隼人。


リアンは私の能力に絶対の信頼をもっているからで、隼人は面白がってるのと私にたいしての信頼から戸惑いがない。


「美味い」

「くぁー!冷たくて美味い。おお!体から倦怠感が抜けていく」


二人の感想を聞くなり我も我もと飲みだす。


「これはいいな。リアン空き瓶に汲んでいくから出してくれ」

「はい先輩」


飲み水を入れてた空き瓶。全部で20本に噴水の水が汲まれていく。


えっ?7人なのに空き瓶が20本っておかしいって?

そうかな?

戦闘前に飲みきってたのがたしか14本で一人2本でしょ。

戦闘後に一気飲みしたのは前衛のカイ・隼人・ディルク先輩の3人で、その後のキャンプっていうか夕飯でお茶するのに3本使ったから………うん。あってるよね?


「リアン。この卵形の魔石なんだが……」

〔あ!それ今朝産み落としたの。うっかり忘れる所だったわ〕

「忘れるって………まぁホノカならありか……」


ちょっと!それどういう意味よ!!


「効力を知りたいんだが」

「分かった貸してくれ」


私が産み落とした魔石とはいえリアンが直接、触らないとその能力までは分からないんですって。

ちなみに私のぶっ飛んだ鑑定でも分からないから私の産んだ魔石を鑑定?出来るのは世界中でリアンただ一人。

それが分かってから目に見えてご機嫌な飼い主様です( ̄▽ ̄;)


「………エクソシストの魔石って出てる」

「エク何だって?聞いたことないが、効力は?」

「エクソシストって言うのは悪魔払い師とも言って俺と芽衣の生まれた世界では、悪魔とかその配下って言われる幽霊とかを退治する人ってか職業?」

「………悪魔は分からないけど………アンデッド系の魔物に有効って書いてある」

「またタイムリーな物を………」

〔魔石は私の意思で産んでるから当然の結果ね〕


ふふんっとどや顔してみたり。


「使い方はなんか書いてあるか?」

「直接、対象に触れる事で発動されるようだ」

「直接か……………杖に加工するより隼人の剣につけた方がいいか……」

「俺の剣につけるとせいぜいもって2時間だから他の物にした方が」

「いや。これは隼人の剣専用の魔石だから君の魔力さえ尽きなければ問題ない」

「俺の剣専用?」

「説明文に書いてある」

「…………ホノカちゃん………愛してるよ」

〔止めて!リアンとホムラが本気にするから〕

「あっ!うん。ごめん…………え~っと……ありがとうホノカちゃん」

〔どういたしまして〕


まったく危うく大惨事になる所だったわ!


隼人のあれはただの冗談よって言うか信頼の証みたいなものだからと伝えて、朝食を作るリアンの肩で頬刷りスリスリ。

ご飯も「あ~ん」ってしてリアン手ずからいただく。

うむ。美味美味。

ちなみにこのパーティーメンバーで料理を作れるのはリアンと隼人とルカとアランの4人なんだけど朝食は一番早起きのリアンが担当してます。


隼人は作れると言っても凝った物は作れないので基本?の焼くか炒めるぐらい。

ルカも野営料理が出来るって言うかまぁ実力は推して知るべしみたいな?

アランは以外にと言うか細かいので分量をきっちり計って作るタイプ。

さすがは錬金術師?


まぁそんな3人には夕食担当っていうかボス部屋での打ち上げ?担当です( ̄▽ ̄;)


現状、安心して休めるのがボス部屋だけだから一日一ボスが合言葉(笑)


普通?の迷宮なら安全圏のボス部屋を拠点にして進むって方法もあるけど、この迷宮はどこが迷?宮ってぐらいただ山道をぐるぐると昇っていくだけなので、進むより戻るリスクの方が高い。

なので無理に進まず消耗した料理や薬を、ある程度作ってから進むって事になりました。


武器の手入れを必要としないリアンが料理を、アランが薬を作っています。

カイは槍のお手入れ。

隼人はディルク先輩と模擬戦。

魔石の特性考えると隼人がメインで戦う事になりそうなので少しでも底上げしたいと隼人がディルク先輩に頼みこんで稽古つけてもらってます。


芽衣とルカはテントを噴水近くに張り直して何やらゴソゴソやってます。


〔リアン。芽衣達が気になるから見てくるね〕

「ああ。分かった…………ついでに手が空いたら空き瓶に水を汲んで欲しいって伝えてくれる?」

〔オッケー♪了解。任しといて~♪〕

「頼むね」


ちょっと返事がくどかったかな?って思ったけどリアンが楽しそうに笑ったから良しとしましょう♪


〔芽衣~。ルカ~お邪魔しても大丈夫?〕


テントの入口がしっかり閉まってると私の力では開けられないし、入れそうな隙間もない。


「ホノカちょうどいい所にきた。入って入って」

〔お邪魔しまーす〕


いったい二人で何をやってるのかと思ったら…………


〔……………なんで猫足のバスタブなんかあるの?〕

「ブランシュのアイテムボックスに入れてきたのよ♪あれば便利かな程度だったんだけどね」


いやそれおかしいでしょ!

せいぜい盥どまりにしてくださいよ。


〔今からお風呂?〕

「さすがにそこまでは……ただ汗を流したいな~なんて………」

〔…………なるほどそれでいい所にきたなのね〕


とはいえ私だけだとさすがにこの水量を温めるには時間がかかる。

ここは先程からイジケテいる不死鳥様にも手伝ってもらうのが一番でしょう。


《ホムラ~お願い。ちょっと来て~》


語尾にハートマークがつきそうな感じに聞こえるように意識してホムラだけに届けばいいのでピヨピヨ鳴いたら案の定、釣れました。


《どうしたホノカ♪》


うむ。相変わらず飼い主と一緒でチョロイ。

鳥のデレッとした顔なんてはじめてみたよ。


《一緒に行水しない?》

《む?》


テントの中にデンと置かれたバスタブを見て私の意図が分かったらしいホムラは、一瞬嫌そうに顔をしかめた。


《俺はホノカと違って水は苦手何だが》

《あら不死鳥なのに魔力で浮くこと出来ないの?》

《………出来なくはないが………》

《私と行水………嫌?》

《うおお………》


葛藤してます。葛藤してます。大事な事なので2回言ってみました(笑)


《………妻のおねだりぐらい叶えてやれないようでは夫として不甲斐ないと言うものだな》


妻になった覚えはない。

ないが面白いから言わないでおこう(笑)

芽衣とルカも面白がって何も言わないというか声を必死におさえて肩を震わせて笑ってます。


もう一押しって所で野生の感?リアンが乱入。


「ホノカ!ホムラに何かされてたり…………なんでバスタブ?」


リアンの乱入によって私の行水は中止。

バスタブ見つけたリアンがすぐに事情を察して魔法でバスタブにはられた水をお湯に変えたから。

自分の事には鈍い癖に私が絡むとニュータイプ?ってぐらいに察しがよくなるな。


結果、ボス部屋でもう一泊することになりました(笑)


お風呂に入ってすっきりしたのもあるけど疲労回復の泉があるから大丈夫だろうと、やりすぎたディルク先輩のせいで肝心の隼人がつぶれたから。


体は疲労回復薬で治っても精神が尽きた。


でもしごかれたおかげで隼人はアンデッド系の魔物に対抗する剣技を身につける事に成功。

私の魔石と合わせると威力は倍増。


それを聞いたリアンもディルク先輩と稽古をはじめて………ものの数分で二人してアンデッド系の魔物に有効な剣技をマスターしました。


さすがは次代の勇者と剣豪の再来だわ(笑)


「天才なんて………天才なんて大嫌いだ!!」


隼人。君には努力の天才って二つ名をつけてあげるから頑張れ♪

おかしい?何故にこうなった??

迷宮突破するのはいつになるやら(笑)

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