第6話 スキルと配信と
誤字報告をいたしました!
教えてくれてありがとうございます。
ここかな?スキルとか売ってる場所。
少しこじんまりとしているものの、中身はしっかり整っていて汚れ一つない。
綺麗なガラスのドアを開けると、チリンと鈴の音がした。
品書きを流し見していき、とあるスキルの目の前で視線を止めた。
「「スキル:鑑定」......これなんてよさそうじゃない?」
値段はかなり安く、剣に使ってほぼなくなっていたお金でも何とか買える。
「これ、買いたいです。」
店員さんを呼び、お金を払うと店の奥から持ってきてくれた。
ただ、「スキルの書」という名前のくせに、見た目はその通りではなかった。
これ紙ですらないでしょ。
見た目は無色透明に透き通った飴玉。
大きさは飴にしてはかなり小さかった。
「それを飲み込むとスキルを入手できますよ。」
コップに入った水を私に渡してくる。
にこやかな営業スマイルを張り付けて。
えぇい!ちょっと大きいけど......
ゴクリ。
水で「スキルの書」を押し流すようにして飲み込む。
......これ名前詐欺だと思うよ。
飲み込んだけど......特に変化ないな?
軽く腕を振って画面を表示させると、『スキル・魔法』という枠ができているのを見つけた。
スキル一覧―――――
第六感 鑑定
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「鑑定」の文字を試しに押してみる。
反応がない。
魔法のように口に出すのかな。
「スキル:鑑定」
いや、何もないな......魔物に使わないとダメなやつかな?
シーナが来たら試そう。
お金も尽きたので、先程狩ったウサギを冒険者ギルドで換金した。
やはりお肉は除いて。
この第一の町はかなり、大分広く、一日で回りきることはできなさそうなくらい。
「この後は町探検と行きますかね。」
たどり着いたのは『絶品スイーツ』と書かれた店の前。
お金......は、さっきウサギちゃんを換金したから大丈夫。よし。
ドアを開けると、甘い、おいしそうなにおいが伝わってくる。
「おひとり様ですか?こちらにどうぞ。」
案内されたのは、窓側のテーブル席。
景色も日の当たり具合も完璧!!
どれにしようかな?イチゴのタルト......これにしよう。
飲み物は紅茶で。
注文して少し時間がたてば、甘酸っぱさが絶妙に交差しているタルトと香り高い紅茶が出てきた。
まさしく絶品。
お、おいしい~!
思わず破顔すると、店員さんが私を見つめてきたかと思えば。
「あの、ルナさんの写真をこのお店のSNSにあげていいですか?」
「別にいいけど......私以外にも適任がいそうだけどな。」
時たまパシャリと写真を撮る音が聞こえてきたが、気にせずに食べ進め、なんならおかわりもしてしまった。
お会計時、ほんの少し金額が足りなくて焦ったものの、写真のお礼だなんだと言われ半額にしてもらえたので事なきを得た。
私のおいしそうに食べる写真が大バズりをし、このお店が行列のできる有名店になったとかならなかったとか......
▲▽▲▽▲
翌日。
私は椎名からの着信音で目が覚めた。
通話をオンにすると、「おはよう」という椎名の声がスピーカーから聞こえてきた。
「ん......おはよ.........」
ベットの上で寝ぼけながらも返事をする。
時刻を見れば、なんと午前5時を示している......
道理で眠いわけだ......
「今からVRMMOできる?話したいことがあるの。椎名は先にログインしてる。」
「うん........ちょっとしたら行く......」
通話を切り、眠い目をこすりながら立ち上がる。
洗面台に向かい、パシャパシャと冷たい水で顔を洗えば頭が少しだけすっきりとした。
「朝ごはん......トーストでいいか。」
食パンを焼いてマーマレードジャムを塗りたくる。
......おいしい。
やることは終わったので、ログインをしようとカプセルに電源を入れた。
▲▽▲▽▲
ログインすると、この世界、このゲームで初めて会った時のように椎名は噴水の水で遊んでいた。
「それ楽しいの?」
「そんなにかな。ここはちょっと......こっちに来てくれる?」
シーナが私の袖を掴んだかと思えばぐいぐいと引っ張ってくる。
STRの関係もあるから払いのけることもできるけど、私はそんな野暮なことはしない。
連れていかれたのは宿だった。
シーナはここに泊まっているらしい。
宿がなくても別に大丈夫だけれど、宿にある一部の機能が使いたくて数日間まずはお試しで止まっているらしい。
シーナの泊まっている部屋に連行される。
「ここなら聞かれる必要もないかな。」
そういったシーナの顔は思ったよりも真剣だった。
「しーなね、配信者なの。」
プロゲーマー兼配信者ってこと?
自分でも分からないくらい冷静だった。
少し拍子抜けしてしまっていたくらいには。
「このゲームで配信をするってことかな?」
「そう。ルナって大丈夫?」
「何が?」
少し首をかしげる。
「配信一緒にできないかなって、アカウントの運営はしーながやるよ。」
「私が配信!?つまらなくならないかな......それでもいいなら」
「ルナありがとう!では早速。」
何やらシーナが操作をしたかと思うと、ウサギのような何か......私たちが初めて(私は違うけど)倒した魔物に酷く似たウサギが出てきた。
違う点は、二足歩行なことと、カメラを持ってアングルを私たちに合わせていること。
『配信を開始します』という音声が聞こえてきた。
どうやらこの子が撮影してくれているらしい。
シーナはウィンドウを出す。なにやら文字がどんどんと打たれている。
「さて。今話題のVRMMOをやっていくよ。」
ウサギに向かって手を振れば、文字は加速して流れ出した。
流れるっていう表現あってるのか......?
「後ろの人は誰?か。紹介するね。」
ちょいちょいと私のことを手招きする。
「私はルナ。シーナのリア友やってるかな。」
コメント
シーナ様に負けず劣らずのビジュ......
そりゃゲーム内だからな。
馬鹿野郎!この顔面は設定にねぇよ。
それはそうと、シーナ様に友達いたんですね......
マネージャー:許可取れたんですね!
マネージャー公認なのかよwww
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といった文字が高速で流れていく。
私はほとんど読み取れなかった。
文字の流れが落ち着いてきたところで続きを話す。
「私は魔法使い、シーナは弓使いの職業だよ。」
「しーな達のPTには前衛がいないけどそこは技術でカバーするよ。」
コメント
ルナってやつも強いのか?
シーナ様なら百発百中させそう。
ま、ネタには困らなそうじゃね?
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酷い言われようだ。別に何とも思わないけど。
「シーナ様って何?」
「あー......」
シーナが歯切れ悪そうにしていると長文のコメントが目に付く。
説明しよう!シーナ様とは数々の神プレイを成し遂げてきたシーナ様に向かって尊敬と敬意を示すために様とつけている。シーナ様が偉業は数えきれないほど。
一番のお薦めはやはり、全弾必中事件ですかね。
最高難易度と呼ばれる落下しながら的に当てるというあのプレイは.........
コメント
何をどうしたらそんなに早く打てるんだ。
自分、国内最速のタイピング技術という称号持ってます。公式の。
えぇ......
ここのリスナー有能多いよな。
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収拾がつかなくなりそうなので、話を逸らそうとしよう。
「よし、シーナ!自己紹介は終わりにしてLV上げに行こう!」
勢いを増すコメントから目をそらし、部屋の扉を開けた。
氷月瑠奈――――――――――――――――――――――
高校一年生。
身長155センチ。
誕生日は1月17日
極めて珍しい魔女。
本気を出せば隕石並みの威力を出すことは可能。
自分も死にかねないので試したことはない。
現実で使える系統は水・火・風・土・光の五属性のうち
水・火・風のみ。
それの上位属性の氷・炎なんかは使える。
回復の魔法や身体能力を強化する魔法はできないため、防御面で見れば通常より少し再生速度が速くて硬いだけの一般人。
握力は30kg。
成績はそこそこ良い。
病気にかからない体質なので、風邪はもちろん、虫歯にさえなったことがない。
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梨井椎名――――――――――――――――――――――
瑠奈と同級生。
誕生日は2月9日
身長150センチ
普通の人間。
運動面や勉強面は可もなく不可もなく。
ゲームの腕だけは世界トップレベル。
プロゲーマー配信者として活躍している。
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VRMMOについて。
PK可能。
ただし、一部エリア(街など)や、プレイヤー同士のレベルが離れすぎていると攻撃ができない。
PKを何度も繰り返したプレイヤーには賞金がつけられる。
襲ってきたのを返り討ちにしただけなら例には含まれない。
スキルは、店で購入or特定の行動をすることによって取得可能。
取得条件を開示してはいけないスキルがある。
その場合、取得条件を話してしまうと自分も相手もそのスキルが使えなくなってしまう。
性能だけならば教えてもよい。
魔法も店で購入or特定の行動をすることで取得可能。
魔法は扱いが難しいので、一朝一夕にはうまくいかない。
一番簡単な初期魔法を発動させるのにも3週間は練習しなければ使えないと言われている。
(Bテストより)
キャラクター設定について。
現実の自分を反映するか、新しく作るかの二択。
現実の顔のパーツが選択肢と同じことはそうそうないので、現実の顔をそのまま使っているのかはバレる。
瑠奈と椎名は元がいいからか何も気にしていない。
職業は
剣士、双剣士、盾使い、槍使い、弓使い、薬剤師
特殊枠として魔法使いがある。
一番人気は剣士。
「なんで今パソコンの前に座っているんだろう......おかしいな。」




