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リアルで魔法を使える私(魔女)はゲーム内でも魔法が使えるようです。  作者: みかんの実


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番外編3 それは退屈な前奏曲

多くのプレイヤーがあまたのモンスターの恐怖に苛まれる中、私は別のベクトルの恐怖を感じていた。


「音声だけじゃなくて、メッセージとか文字として残るやつを送れよ!!」


呼吸を整える。

焦っても仕方がないと。


シーナはどうなのだろうか、いや、あの人のことだから秒でクリアで悠々自適に過ごしているに決まっているはず。


無性に腹が立ってきた。

モンスター出ないし。


意味もなくフィールドをたださまよっているとガサゴソと茂みが鳴る音が聞こえた。やっと一体お出ましか、と臨戦態勢になる。


「氷槍」


まずは小手調べの魔法。

エフェクトが出るなり、鳴き声が聞こえるなりすることを予測していた私の耳に、想定外の音が届いた。


金属と金属をぶつからせたような、キィンという甲高い音。

続いて、「まって、敵じゃないわ!」

という焦りの滲んだ柔和な女性(お姉さん)の声。


色々とムチムチな、すっごいお姉さんである。

金髪ロング碧眼

ふと自分の体に手を当ててみた。

ま、まあ、別に肩凝るだけだし..あ、全国の女性に怒られそう。ごめんなさい。


あ、ごめんなさいとすぐに体を落ち着かせ、しゃがみこんでいる女性の手を取って立ち上がらせる。


ポーションがもらえたりしないかを聞かれイベントリを確認した。


ポーション、ポーションねぇ......ないな。うん。ないわ。


「ごめんなさい、持っていないんです。」


「そうなの......まぁ、そうやすやすと敵に塩を送る様な真似はしないわよね。回復アイテムは3つまでしか持ち込めないもの。」


どうやら女性は私が回復ポーションをあげるのを渋って嘘をついたと解釈したらしい。

私は嘘なんて一切...いや、稀に...いや、たまにしかつかないというのに。


そこから五分弱会話をした。

女性の名前だとか、職業だとか、好きな食べ物とか、どうしたら大きくなるのかとか....


「ねぇ、ルナちゃん。試験の合格条件の力を示すことって、何もモンスターじゃないとだめなわけじゃないでしょう?...ごめんなさい。」


楽しく話していると急に女性が私に隠し持っていたのであろう短剣を向けてきた。

なるほど、油断させて不意打ち...みたいなつもりだったのかな。


カキン。


普通に間に合った。多分私の方がAGTが高いのだろう。めちゃめちゃ余裕だった。


「あの..お姉さ「は?貴方、魔法使いって言ってたはず...騙した?」」


いや、あの、魔法使いであってます。騙してないです。


会話しつつも別に剣裁は続いている。

一歩強く踏み出したように見せた。実際は浅く。


フェイントをかけて、剣をふるった。

手ごたえがない。手ごたえがなさ過ぎて次の攻撃を予測して大きく飛びのいた。


....違う。


私のSTR(攻撃力)が高すぎるのか、相手のVIT(防御力)が低すぎるのか。


たった一撃で、プレーヤーを光の粒子(死亡エフェクト)へと変えていたのだった。


あっけからんと。楽に倒せたはいいことなのだろうが、私は欲求不満もいいところだった。


そもそも、これは武闘大会。

戦うために来ているのだからこんなにも手ごたえがないとちょっと愕然してしまう。


いや、これはきっとあれだ。お姉さんが非戦闘職だったりしたんだ。他のプレイヤーは、もっと、もっと強いはず。


私は意識を集中して、周りを探った。


見つけた生体反応を、切り裂いて切り裂いて......

そう、予選終了時刻になり、強制送還されるまで。


私はあずかり知らぬことだったが、私はプレイヤーをすれ違いざまに何人も戦闘不能にしたことで、殺戮の悪夢だとかいう異名をつけられていたらしい。


いや、昼だったよフィールド。


***


予選突破。

本戦。


本戦はやけに人数が少なかった。

まるで本来本戦に出れるであろう実力の持ち主であるプレイヤーが一気に試合を辞退せざるを得なくなったようだ。

不思議だね。


シーナと私は運が悪いのか決勝で試合をする感じである。

まぁ、いい。お楽しみは最後にね。


とりあえず、目の前の相手に集中。


いや、時間を使うまでもない。一刻も早く、戦いたかった。

シーナと、全力で。


彼女なら、私が何をしても全力で受け止めてくれると知っているから。


「氷槍・連弾」


あぁ、一時間後が、待ち遠しい。


***


控室。


何か動いていないと感情に押しつぶされてしまいそうで。

ひたすら狭い部屋をぐるぐるぐるぐる繰り返し歩いた。


呼び出されて、舞台に立つ。


決勝戦は一般観客も許可されてドームの客席にあふれんばかりの人がいた。

広い、広い舞台に立つ。


湧き上がる歓声。

どっちにかける、何て声も聞こえるから賭けでも行われているのではないか。


そんなことはどうでもよかった。


私の視線は目の前のシーナただ一人に注がれる。


私達は口角を綺麗に上に持ち上げ、満面の笑みを浮かべた。


試合開始を知らせる高らかな音と同時に、お互い一歩踏み出して。

一度完結済みにしていたのですが、投稿ができない?ので連載中に戻しました。上手く仕組みが分かっておらず、上手くいかないことが多いと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。30話程度で番外編も終了させ、本当の完結になる...つもりです。

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