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第14話 ダンジョンはただの洞窟だった

俺は、ちょっと、結構、いや、かなーり焦っていた。


トッププレイヤーが初心者よりもステータスが雑魚な件について。


そんな言葉が脳内をよぎる。


ライトノベルにありそうだ。


今は、コラボ相手のシーナさんが枠を立てていて、大部分がシーナさんとルナさんに向けてのコメントだったが、俺宛のコメントも相当な数送られてきていた。


俺は登録者数ならシーナさんより上だし!


付き合いの長いリスナーは一瞬動かなくなった俺を見て異変を察知していると思われる。

あれ......?といったコメントがちらほらと見つかった。


俺のステータスはこんな感じである。



LV25  ハヤト


HP 100/100 MP 225/225


STR 60    VIT 50


AGI 40   DEX 60


INT 0


称号 歴戦の猛者 死神 不死身

ーーーーーーーーーーーーー


DEXは命中率といったものを、素人同然な俺たちが上げるために必要なステータスだ。

当然上げる。


VITを上げないと攻撃を食らった時に死ぬので上げる。

HPは正直いらない。VITで代用できるし。


MPはスキルを使う時に必要。

魔法を使うときに必要なのかと思うけれど、そんなことはないらしい。


やはり、よくわからない職業だ。


それは置いといて、結果。

魔法使いが、剣士である俺より攻撃力が高い。


???


魔法使いが威力を上げるにはINTが必要。

STRの必要性はない。

はずなのにSTRがいっちゃん高い。


そんでもって、速い。


何この生物。


そしてレベルとステータスがあってない。

はぁ?


取得経験値増加でもした?(正解)


流石にないか......



ないよな?



▲▽▲▽▲


今、ハヤトさんがレベル上げをしているという場所に着いた。


「ほほぅ。ダンジョンとな?まじでこの世界観どうなってるの。」


シーナが何やらキャラ崩壊してる気もするが、無視。

ハルトさんも無視してる。


「どんなモンスターがいるのかな.........」


私の独り言を拾ったようで、ハヤトさんが答えをくれる。

うん.........顔色が悪い気がするのは私だけかな?


「熊と蛇が出てきます。名前は長かったから忘れた。マーダーグリズリーとポイズンサーペントだったかな。ボスはウィッチです。魔女......人型モンスターで心は結構痛みます。」


名前からして蛇の方は毒がありそう。

リアルでも毒耐性ないからな。気を付けないと。


毒霧のタイプだったら風で吹き飛ばせるけど、液体はなぁ。

水分だけなら飛ばせるんだけど。


え?人型モンスター?

心配するだけ無駄だって。


つまり!懸念事項は毒のみ!


どうしようかと悩んでいると、ハヤトさんは思い出したかのように「あぁ」と声を上げた。


「毒消しを持ってるから心配はしなくて大丈夫ですよ。」


小さなガラス瓶を振っていて、中の液体が揺れている。

透明な色をしているので水に見えなくもない。

正確には半透明だけど。


ありがたくはあるんだけどねぇ......


「いやぁ、使うのは申し訳ないし......」


シーナが私の言いたいことを代弁していた。

穏便に断ろうとしているけれど、ハルトさんは鈍いのか何なのか、まったく気づいてない。


「俺のメンバーが好きなだけ使っていいと言っていたので大丈夫ですよ?」


シーナが苦笑いになっていた。


貸しを作りたくないのかもしれない。

単純に気が引けるのもあるとは思うけど。


うーむ.......あれ?使わなきゃいい話では?


「シーナ、全部避ければいいだけの話じゃない?」


その手があったか!と言わんばかりのキラキラと輝いて見える瞳をこちらに向けてくる。


毒霧とかだと難しそうだけどね。


私は風の魔法......こっちじゃ使ったことないけどいけるかな?

水の魔法が一番得意なんだけど。


風を起こすくらいならできるでしょう!


というわけで、頑張って避けるのはシーナのみになりました。はい。


「あのぉ、シーナさんとルナさんは後衛職だし、攻撃食らう場所にはいないんじゃ......ルナさんは違うのか?え、でも........いや、どうなんだろう。」


最後の方は聞き取れなかったけれど言いたいことはわかったよ。


シーナが矢を剣みたいに使ってるイメージが強くて忘れてた。

遠くから打てばいいもんね。


私はどうしようかな。

魔法を打てる数には限りがあるし......


三回くらいは魔法を使おう。そうしよう。

あとは剣で応戦しよう。


「とりあえず、中に入りません?」


入り口を指さすと、二人は大きくうなずいた。


▲▽▲▽▲


めっちゃでかい洞窟。というイメージ。

本当にうっすら紫色の霧がかかっているけれど、これはエフェクトなだけでダメージはないらしい。


天井から紫色をした怪しげな雫が落ちてきているところがあり、水たまりになっていたりする。

こういうやつはダメージを食らうらしい。


ちょくちょく敵が出てきてはいるものの、ハルトさんが一瞬で倒してしまっているので暇だ。

熊や蛇ですらない雑魚敵だし。

紫色の、なんだろう。トカゲみたいなやつ。


ゲームでいうスライム的感覚よ。

最弱モンスターといえばスライムのイメージだけど......見たことないな。


ともかく、暇だし、コメントでも読もうかな。


コメント


トッププレイヤーはさすがに強いな。


シーナ様たちの戦闘も見たいかも。


俺はルナって人の戦闘が見てぇ。というか、魔法が見たい。


激しく同意。


―――――――――――――


ふへ、ふへへ......


いやー、褒められるとね?(褒められてない)

調子乗っちゃうわけですよ。


にやけている私を見てか、シーナがちょっと引いていた。


「ルナが限界化してるので、私たちも参加してもいいかな?」


「はい、でも気を付けた方がいいですよ?そろそろあいつらが出てくるころで。」


あ~、熊とか蛇ね。大丈夫じゃない?知らんけど。


これかな?なんとなく、さっきのトカゲよりは幾分強そうな気配を感じる。

猪よりちょっと強いくらい。


「はいはい。私の魔法初披露かな?配信では。」


まもなくやってきた熊!熊ですね。三メートルはありますね。

デカいですね。


「水槍」


ありゃ、一撃で死んでない?

もう二発撃っとくか。


「水槍、水槍......」


脳天撃っても死ななかったねぇ。

私の火力の問題かなぁ。

ゲームの仕様もあるとは思うけど。


え、もう一匹来た......今度は剣でいっかな。


三発かかった魔法よりも威力が高いらしく、二撃......感覚的には1.5撃で倒すことができた。


「ナイス~。ルナ、次は私にもやらせて?」


「どうぞ~」


熊はねぇ、お母さんと魔法の練習に行ったときに狩らされたことがあったけど、やっぱり、返り血がない分、こっちの方がすごい楽だなぁ。


強者の意見も聞いてみたいと思って、ハルトさんのもとに除けた。


「私の戦闘どう思いました?」


ハヤトさんがうつろな目でこっちを見た。

そして一言。


「下手をすると、運営に通報されるレベルでやばいですよ。」


どういうこと!?



ルナ「ボスはウィッチ.......魔女?私からすると同胞になるのか......?ゲームだしいいか。」


シーナ「魔法使いだからって魔女とは限らないでしょ。」


ルナ(脳内)「リアルで私は魔女なんですよねぇ。魔法使い関係なしに。」


黙ってうなずいておいた。

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