第12話 冒険者らしいこと
―――クエストを受注しました―――
目の前に浮かんでいた文字が消え、紙切れの内容を見れるようになった。
【これを見た誰かへ】
いまからいうそざいをべっとのうえにおいてほしいです。
ほーしゅーはちゃんとあります。
あたしにはおかねがないので、おかねははらえません。
でも、あたしはすごいひみつをしっています。
そのひみつをほーしゅーがわりにしてほしいです。
ししゃのかわをせんこ。
いびつなほねをせんこ。
きよきたましいをさんこ。
じょうかのせいすいをいっこ。
これをあつめてきてほしいです。
ぜんぶあつめおわったら、■■れた■■■■とひきかえにほーしゅーをあげる。
じゅんびしておいてね。
たどりつくには■■ととくしゅなぶきがひつようだよ。
ところどころ塗りつぶされていてわからないけれど、大まかな内容は読み取れた。
「今のクエストの達成率は確認できるらしい。」
ゾンビとスケルトンのドロップアイテムが上二つのだから、ちょっとは足しになってるといいけ......ど...?
あれ?
おかしいなぁ。
「ルナ、何匹倒したの?」
既に上二つは必要数に達しているらしい。
インベントリを開いてみてみる。
死者の皮が1414個
歪な骨が1001個
歪な骨はギリギリだけれど、どちらとも間違いなく目標数には達していた。
幽霊のドロップアイテムはないっぽい。
清き魂とか......幽霊になってる時点で清くない説あるかもしれないが。
襲ってきてるし。
アンデット系統のものには変わりないかな。
「期限は決められてないし、今はまだ無視でいいんじゃないかな。シークレットって言ってるくらいなんだからまだまだかかるでしょ。」
それもそうか。ゆっくり進められればいいな。
忘れないようにマップをよく記憶してから小屋を出る。
屈託のない少女の笑い声が聞こえた気がするんだけど、シーナは分からなかったらしいからきっと聞き間違いだよね。
「なんか疲れちゃった。今日はここらへんで終わりにしようかな。」
「はーい。シーナも終わりにしようかな。」
「また明日ねー。」
相手がログアウトしてからログアウトしようと考えていた二人だったので、少し出るまでに時間が空いてしまった。
ふふっ。
▲▽▲▽▲
今日は、私たちが個人で進める日だ。
観光もいいけどなぁ......クエストのアイテムでも探そうかな?
でもなぁ、今は夜だしなぁ......
夜じゃないとスポーンしてないかもしれないけど。
「冒険者ギルドにでも行こうかな。依頼受けれるし。」
このゲームではクエストを並行して受けることができるので簡単なクエストをこなして暇をつぶそうという作戦だった。
......作戦か?
冒険者ギルドは第二の街にはなく、始まりの街のみにあることが分かった。
マップ様様です。
転移があるのですぐに街の間を行き来できるのはいいと思う。
初めて来たときよりも冒険者ギルドはプレイヤーで賑わっていた。
魔法使いがほとんどおらず(私を除くと一人だけ)、ちょっと悲しくなったのは黙っておこう。
依頼は戦闘、素材採取、制作など、多岐にわたっていた。
面白いギャグをここで披露!報酬はみんなの笑顔とかいうふざけた依頼もあった。
やる人いるのか?
見たところ、戦闘が一番楽そうだな。
素材採集は残念ながら採取ポイントというか、どこで取れるのかが書いてない。
ちなみに、アンデット系統の素材を求めている依頼はなかった。
死者の皮とか使いたくないよね。
何となく。
戦闘の依頼は、魔物が出ていて困っているという建前があるので、どこに魔物がいるかは書いてくれていた。
出会えるかどうかは自分次第みたいだけどね。
素材採取や謎の依頼には目を向けず、いい依頼がないか探していくと中々に骨のありそうなものが見つかった。
ジャイアントボアの討伐。
推奨レベルは30と高いけれど、当たって砕けろということで。
私が最初に倒した猪と同じ森に湧くらしい。
ランダムエンカウントなんだ......遭遇できるかな。
この前知ったんだけど、某鳥。
名前は.........なんだっけ。なんちゃらバード。
あれの推奨レベルが15?とからしくて、苦戦しなかったし、いけると思うんだよね。
意外と高かったんだね。あの鳥。
受付に並び、依頼の内容を受付のお姉さんに言えば受注してくれるらしい。
いいね。楽だね。
列もどんどん捌けてるし少し待てば私の番になりそうだ。
NPCだからかな。お姉さん有能すぎる。
「依頼を受注しますか?」
「はい。えーと、ジャイアントボアとかいうやつの討伐をします。」
「わかりました。パーティーを組んでいるようですが、パーティーで受けますか?」
「いや、自分一人で。」
シーナも受けることになってたら個人で進める日じゃなくなっちゃうからね。
少なくとも今日は一人でやろう。
駄目そうだったら一緒にやろうかな。
と、つらつら考えていると。
「お嬢ちゃん、今最高レベルのパーティーがレベル20なんだ。悪いことは言わないから止めといたほうがいいぞ。」
「そうそう。一人は無謀だ。しかも、魔法使いだろう?」
後にいた人が私の依頼を聞いたからか、心配そうに声をかけてくる。
魔法使いがダメ......?
魔法が通じない相手ってことなのかな?
「魔法が通じないってこと?」
「そうじゃないが......ほら、レベルが。他にはな......」
そういうことかと納得がいく。
余計なお世話になっているなぁ。
気持ちだけ受け取っておこう。
「はは、ソウデスネー」
放っておくと永遠にしゃべり続けそうだったので。
適当な合図地を打ちながら依頼の受注ができていることを確認する。
よし、受けれてる。
「後も混んでるし退きますね!」
私のためだったとしてもごめん。正直ちょっとめんどくさいです。
愛想笑いを張り付けて、目的地へと走っていった。
例の森に着く。
ランダムエンカウントだろうが、私はこういう確率にはめっぽう強い。
チーターレベルで遭遇できる。
宝くじは何回やっても当たらなかったからやめた。
霧がかかってくる。
別のモンスター(最初の猪)を引いちゃったかぁ。
自分の目を疑った。
猪の上に浮かぶHPバー。
その右には≪討伐対象≫という文字が浮かんでいた。
今回ちょっと短いです。




