前へ目次 次へ PR 33/38 デビュー たまには明るいのでもいいよな。 いつもなら買わない少し派手なストライプ柄のスーツ。やっぱり少し攻め過ぎかな? でも、店員の陽気さが、晴天の青空が、俺の背中を押した。 「ありがとうございました」 翌日、出勤前に鏡を見る。 今日から俺は変わるんだ。本当の俺、デビュー。 後ろから母の上ずった声が聞こえる。 「あんた!そんなチンドン屋みたいな服着て何処いくの!」 そして、一度と着ないまま、新しいスーツはタンスの肥やしとなった。 兄の実話です。