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あとがき
ここまで読んでくれて、ありがとう。
世界を滅ぼす側だった魔王が、
世界でいちばん小さくて、いちばん騒がしい場所を守る話でした。
この物語では、強さの形が少しずつ変わっていきます。
力でねじ伏せる強さから、
待つこと、聞くこと、見守ることへ。
保育園という場所は、毎日が事件で、毎日が奇跡です。
転んで泣いて、仲直りして、昨日できなかったことが今日できる。
そんな小さな成長の連続は、魔王にとっても新しい世界でした。
園児たちは弱く見えて、とても強い。
魔王は強く見えて、とても不器用。
だからこそ、ちょうどよかったのかもしれません。
世界征服より難しく、
勇者との戦いより気が抜けず、
それでも一番「やめたくない仕事」。
この先も、魔王は園長として怒られ、濡れ、振り回されながら、
今日と同じような明日を迎えるでしょう。
もしどこかの保育園で、
やけに背の高い園長が本気で砂場をならしていたら。
それはきっと、まだ世界を守っている魔王です。
ここまで付き合ってくれて、本当にありがとう。
また、騒がしい日常で会えますように。




