思い出アルバム作り
遠足の翌日、園では「思い出アルバム作り」の日。写真を貼って、子どもたちが絵やコメントで彩る。保護者も参加して、楽しい記録を作る時間だ。
マオは園長室から段ボール箱を運び、カメラで撮った写真を広げる。そこには滑り台で笑う顔、ゼリーを追いかける瞬間、桜の花びらに包まれた一行の写真が並ぶ。
「……記録、整理、保存……これも戦略的に重要だな」
魔王がそう呟くと、サクラが笑って「園長、かわいいコメントも入れてね」と言う。魔王は少し照れながらも、アルバムの見出しを飾ることに。
子どもたちはシールを配り、キラキラした紙を貼り、色鉛筆で「たのしかった!」とびっしり書く。マオは写真の裏にこっそり短い一言を書いた。
「みんなが笑ったから、世界は少しだけいい場所になった」――素直にそう感じたのだ。
ただ、魔王の手作業はひと味違う。ハサミを使う手つきは意外にぎこちないが、魔法で紙をふわっと整えたり、写真の角を優雅に丸くする“ミニ舞踏”を披露する。子どもたちは「園長のマジックだ!」と目を輝かせる。
しかし、魔王流の華やかさを出しすぎて、アルバムのページが一時的に空中で舞い、飛び散るシールの嵐が発生。サクラとケンジが慌ててキャッチする。笑いながら作業を続けるうちに、子どもたちの言葉や絵がページに溢れていく。
その合間、ミオが「園長、これ見て!」と呼ぶ。写真に写った小さなシーン——ユウトが転びそうになった瞬間、マオが手を差し伸べているスナップだ。
「園長、すごい顔で助けてるね」とリナ。マオはその写真を見て、少し赤くなった。
「……本気だと、顔つきも変わるな」とつぶやく。園長が本気で守る姿は、子どもたちの心に確かに刻まれている。
アルバムが完成し、親たちに配られると、皆が感動しながら「ありがとう」と言ってくれる。保護者代表のミカさんが「こんなに温かいアルバムは初めて」と涙ぐむ場面に、マオの胸は熱くなる。
「守る、ということは、記憶をつむぐことでもあるのだな」魔王は静かに微笑み、そして実感する。
夕暮れに、園児たちはアルバムを抱えて家に帰る。夜になっても、今日のページをめくるたび、遠足の笑い声が蘇るだろう。マオは一人、園庭に残り、星空を仰いだ。
「……小さな幸せが、大きな力になる」
そう呟き、次のイベントの構想を練り始める魔王であった。




