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episode12 武器なんて売ればいいっしょ!

 冒険者ギルドで受付嬢の説明を受けたレイは、セナとともに森の奥地へと進んでいた。

新調した冒険者服は動きやすいが、普段の運動不足が祟り、既に息が切れ始めていた。

「はぁ……はぁ……森、広すぎ……」


 レイは疲れ果てていた。現代の運動不足が響いているようだ。対照的に、隣を歩くセナは涼しい顔で、まるで散歩でもしているかのようだった。

「あなた…なんで冒険者なんかに…冒険者なんて命の危機と隣り合わせなんだから。」

「憧れだから!それに…いや何でもないや。」

「何それ…その続き気になるんだけど。」


 続きなんて、言えるわけない。

(ゴブリンの武器とか装飾品売ればお金儲けになるし…依頼報酬でさらにウハウハね…!)


 セナはますますレイへの不信感が高まった。

(こんな子が冒険者になったら一月も経たずに死にそう。)

けどセナは無闇に否定はしない。もしかしたら興味以外に深い理由があって冒険者をやろうとしているかもしれない。

セナはそんな冒険者を何人も見てきた。冒険者としての血がそう言ってる。

まあ、レイにそんな雰囲気は全くない。

全く危機感を感じてなさそうだし、油断大敵だ。


 しばらくして、開けた場所に出た途端、草むらからガサガサと音が響いた。

"キシャァァァ!"

「あ!!ゴブリンだ!すごい!本物だ!!」

「本物ってなによ。」


 ゴブリンの群れが、醜悪な笑みを浮かべながら現れた。レイの視線はその数匹のゴブリンを捉え、すぐにゲーム画面を思い浮かべる。

(……よっしゃ、経験値稼ぎの時間だ!)


 その様子を見たセナは、内心で静かに頷いた。

(さて、どんな戦い方をするのかしらね。私の忠告を聞かなかったんだから、せいぜい頑張ってもらいましょうか)


 セナはレイの実力を見ようと、あえて手伝うふりをして様子を見ることを心に決めた。あくまで非常事態に備えるため、と自分に言い聞かせる。


 レイはセナがすぐ後ろについてきていると安易に思い込みながら、ショートナイフ一本を構えてゴブリンの群れに立ち向かった。

(無茶な…!あんなナイフ1本って…!ゴブリンを舐めすぎてるわ…!)

セナはすぐに救出したい気持ちを抑えつつ、レイに少しでも現実を伝えないと、いつでも行けるように構えていた。

(ゴブリンの武器はこん棒…1撃くらったところで打撲で済むわ…。それに雑魚中の雑魚なら死ぬことはない。少し痛い目遭ってもらおうかしら…。)


きっと自分の弱さを知れば、冒険者を志すレイも諦めるはず…。


 その時、レイの目の前にゴブリンがこん棒を振りかぶった瞬間だった。

レイは怯むどころかナイフを持っていない右手で振りかざして何か叫んだ。

「『売却』!!」

その瞬間、ゴブリンの持っていたこん棒が光になって消えた。こん棒を失ったままゴブリンは振り下ろし、レイに当たらなかった。

「は…!?」

一部始終を見ていたセナだが、訳が分からなかった。

(武器を消し去った…?でも"売却"って叫んでたし…一体どういうこと…??)

不信感と不安に塗れていたセナは一気に好奇心に駆られた。

「あぁ…たったの10Gか…まあそんなもんか。」

レイはまた訳のわからないことを言い出して、他のゴブリンにも手をかざし始めた。


「『売却』『売却』『売却』『売却』!」


こん棒を持っていたゴブリンは1人残らずこん棒が消え去ったことに戸惑っていた。

(売却…もしかして!?武器をその場で売ることが出来るの…!?)

あり得ない。世の中いろんなスキルがあるが、あのスキルは例外中の例外。

(あまりに規格外…!常識を外れているわ…!)


――――――【  レイ  】―――――

所持金ポケットマネー:64,620G

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