episode10 レイ、冒険者になる
レイとセナは冒険者ギルドに戻り、受付嬢の元へ着いた。
私の姿を見た受付嬢は慌てた表情をして髪を乱しながら頭を下げた。
「す、すみません!!私の確認不足で中級モンスターへ派遣してしまい…!」
「あぁ…大丈夫ですよ…むしろ私こそ!ちゃんと見てなくてすみません…!」
謝れられるのは正直慣れない。元々は私が発端だし、私の方が謝るべきだろう。
「お詫びにギルドの入会は無料に致しますので!」
「なら!ぜひ!」(よっしゃ!散々な目に遭ったけどプラマイゼロ!むしろプラス!!)
心の中でガッツポーズをすると、受付嬢はセナの方に体を向けた。
「セナ様も、緊急のご依頼の対応、本当にありがとうございました。こちら報酬になります。」
「いえ、これも冒険者の務めですから」
そういってセナは銀色のコインを十枚受け取った。
今回は私のミスで私の実力に見合わない依頼を受けたのだから、討伐者であるセナに渡るのは仕方ないな。
…仕方ない仕方ない。
レイはそっと目を逸らすとセナはコインを五枚レイに渡した。
「え…!いいのですか!」
「まぁ、依頼を受けたのはあなただしね。」
な、なんて優しい人なんだ…!討伐できたのはセナさんだけのおかげなのに…!
「ありがとうございます!!」
レイは深く頭を下げると、セナは戸惑いながら手を振った。
「いいのよ、このくらいは私も毎日稼げるし。」
改めてレイは銀色のコインに目を凝らした。
色や形は日本の百円玉と変わらない。けど一枚一枚が結構重い。まるでポーカー用のチップのようだ。
「では、レイ様。改めて冒険者登録を進めさせていただきます」
受付嬢は笑顔でペンを差し出してきた。
「あぁはい!」
慌てて銀貨をポケットにしまい、ペンを握った。
登録書には名前、年齢、使用武器の欄があった。
(名前は…"万金の支配者"…いややめとこ。)
ゲームのアカウント名、"万金の支配者"にしょうか悩んだが、
流石にそれで呼ばれたくないので、捻じりなく"レイ"にした。
(あと年齢は…サバ読んで19歳!そして武器は…)
レイは脳裏にごみガチャで引いたショートナイフを浮かべ、しぶしぶ"ショートナイフ"と書いた。
書き終えたレイは受付嬢に紙を渡した。
「えっと、レイ様、年齢が19歳。武器がショートナイフですね!問題ありません!では…」
受付嬢は針を渡してきた。
「え…もしかして…。」
長年のアニメとラノベを見た経験が体を震わせてきた。
「ここに血を1滴垂らしてください」
「や、やっぱりぃぃぃいいいい!!??」
レイは針を持って先を指に近づけた。
(はぁ…はぁ…!む、無理!!)
何度も刺して(浅く)いるが血は出なかった。
すると状況を見兼ねたセナは針を奪った。
「なにやってるの…このくらい!」
「え…え!?」
セナは容赦なくレイの指に刺した。
「ぎゃああああああぁあぁぁぁあああああああ!!!????」
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「では、こちらが冒険者証になります。初めての依頼、本当にお疲れ様でした!」
受付嬢が手渡してくれたのは、手のひらサイズの金属製のプレートだった。表面には、レイの名前、そしてG級の文字が刻まれている。
「はぁはぁ…」
プレートをみつめるレイ。だが、その隣でセナが深くため息をついた。
「こんなので音を上げてたら冒険者F級にすら上がれないわよ…。」
「いいんです…全部避けるんで…。」
「何言ってるの…。」
セナは再び深い溜息を吐いた。その顔は、まるで胃薬を欲しているようにも見えた。
その光景を見て、受付嬢がこっそりセナに耳打ちした。
「セナ様……もし差し支えなければ、あのレイ様のこと、暫く見て差し上げませんか? まだG級ですし、何よりあの依頼を無自覚に受けた勇気と運は、見所があるかと……」
「……仕方ないわね」
セナは苦虫を噛み潰したような顔でそう呟いた。
「ただし、私の活動の邪魔はさせないわよ」
「ありがとうございます!セナ様!」
受付嬢は深々と頭を下げた。これでしばらくは、この危険な新人を一人で暴走させずに済むだろう。
一方、レイはそんなやり取りには全く気づかず、既に新たな金策の計画を脳内で練っていた。
(そういえば、所持金結構溜まっているし、次はどのガチャ引こうかな~!)
こうして、レイの異世界冒険は、強くてクールなB級冒険者セナを巻き込みながら、新たなフェーズへと突入したのだった。
――――――【 レイ 】―――――
所持金:64,570G
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