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「質問する人・できない人」(上)

 「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という。知ったかぶりをしてその場をやり過ごすよりも、恥を忍んでその場でわからないことを聞くほうが良い、という言葉だ。


 大学受験の際は大変この言葉に振り回された記憶がある。教師や予備校教師に質問をするのが怖い。具体的に何が怖いかと聞かれれば、自分が無知であることがばれてしまうことが恐ろしいのである。薄っぺらな自尊心を保護するため、私は質問に行くときは無意味に高度なことを聞いたり、行われる解説でわからない単語が出てきても知った風な顔をして頷いたりした。本当に聞かなければならない基礎・基本をないがしろにしたために、いつまでたっても私の成績は上がらず、結果浪人をすることになったのだが、まあそれはさておき。


 今、塾講師のバイトなんかで教える側になると、こういった浅はかな隠蔽は簡単に見破ることができることがわかる。わかってないのに難しい事を聞いていたり、明らかに理解するのが早すぎたりと、「あーコイツわかってねーな」感は随所に現れる。


 という事はあの時の教師や予備校講師共は私のそんな様子を鼻で笑っていたのだろうか。忌々しい。仕返しに私も生徒を鼻で笑うことにしよう。


 ふふん。お前がこの単元わかってないのはお見通しだよん。証拠にこの問題解いてみ。ほら、できない……。え、できた?あ、そう。え、先生も解いてみろって?馬鹿にしやがって。ほら、こうやって……。あれ?んーと。まあ、あれだ。あれだから(解説をチラ見)そう!思い出したわ!これをこうやって……。あ、知ってた?え、じゃあなんで質問してきたの?


 どうやら試されたのは私だったらしい。生徒にもまた、私が知ったかぶりをしているのはお見通しなのだった。復讐どころか返り討ちに合ってしまった。やはり悪いことは考えるべきじゃない。


 閑話休題。


 大学に入ってからも、私のこの中途半端な自尊心保護の精神は続いていた。ゼミで教授の発する言葉がほとんど理解できずとも、わかったような顔をして頷くばかりだ。そんな基本的な言葉も知らんのか、と鼻で笑われ、その鼻息で薄皮の自尊心が飛んで行ってしまうことが怖がってしまう。他に質問する人間がいないために、余計に質問しにくい空気になっていく。どうか意見を求められませんように、と心の中で祈りながらゼミやら授業が終わる。我ながら、情けないと思わないでもない。


 一方で、臆面もなく質問をぶつけられる他の学生に憧れに近い感情を抱くこともある。無知と悟られることを恐れず、次々と基本的な部分も含めて質問する輩に、なんでそんなことができるのかと驚く。

 彼らは自分が無知であると知られることが恐ろしくないのか。それとも恐ろしさを克服したとでもいうのか。


 なんてことだ。ぜひその方法を質問したい!


 が、そんな質問ができるくらいなら端からこんな葛藤は抱かない。


 質問できるようになるための質問ができるようにならなければならないのか。

 それは困った。

 これではいつまでたっても質問ができるようにならないではないか。


 これはまるで金を稼ぐために金が必要という資本主義の構造ではないか!

 このままでは質問のための貧富の差が激しくついてしまう!

 私のような質問弱者にも生活保護的を!!公的扶助を!!


 長くなってしまった。次回、どんな扶助が必要か考えてみることにしよう。


 疑問、質問があればどしどし連絡お待ちしている。もっとも、それができるくらいなら(ry

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