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  作者: 赫映
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昭利の悩み

僕は、悩んでいた。

柚子のことについてだ。


今は理性を感情が抑えているが、いつ理性が勝るか分からないと。

僕と一緒に居たいからといって、何か悪さをするのではないかと。


柚子はとても優しく、大雑把なところもあるがとにかく良く働く。

言われたことはきちんと守ることができる子だ。

どこかへ働きに出し、僕のことを忘れた方が良いのではないか。

何度もそう考えたが、あの髪の色にあの目の色だ。

見世物にされたり売られたりする可能性が高い。


僕は考えていた。


雛菊はいつ手放しても大丈夫だ。

ただ、柚子と椿と比べて幾分、不思議な世界を自分の中に持っているようで一人立ちさせるのが不安であった。


椿は人と話したりするのは得意でないが誰よりも思いやりを持った子だ。

感情の起伏は激しいが、ほとんど落ち着いていて大人しい。

それに笑った顔は三人の中で一番美しい。


この赤子の目が墨色でなかったら引き取ろう。

そして、柚子をどこかへ働きに出そう。

田舎でも、探せばあるだろう。

引き取ってくれるところが。


「あかん。私お魚食べたいって雛菊に言うの忘れてた。ちょっと行ってくるわ。椿、赤子をよろしゅうな。」


扉の閉まる感触がした。

今、出ていったのは誰だ。

雛菊が晩御飯の用意を買って帰ってきたところか。

いや違う。

雛菊は真っ先に僕の部屋に来る。


「おい、今誰が出ていった?」


僕は自室の扉を見つめながら問うた。

扉を開けて入ってきたのは椿だ。


「柚子。」


そう言った椿の唇を読み取れたときの、いつもと違う胸騒ぎはなんだ。

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