鎌曰く——
今年も一年よろしくです
リガートゥルから逃げるために俺たちは途中から森の中に入って走って逃げている。 空を飛べば目立つためにレインとミセリアは人化をしている。
「ちょっと待って!」
「どうしたんだ?」
言いながら振り返ってみれば、フロースが俺たちより遅れて走っていた。
一旦止まってフロースを待つ。
「はぁ、はぁ、あなた達速すぎるのよ」
少しして追いついたフロースは息を切らしていた。
「お前も結構速いけどな」
人化しても身体能力が変わらないドラゴンや半竜の俺と比べれば遅いかもしれないが、フロースの速度は一年の中では上位だ。
本当なら休憩するべきだが一刻でも早くリガートゥルから離れたい。
「背負われるか、走るかどっちがいい?」
「どっちもいやだけど……自分で走るわ」
「よし、行こう」
再び俺たちは走り始める。
しかし、その速度を少しだが遅くしている。
フロースも後ろにしっかりと付いてきている。
程なくして森を抜けるというところで目の前に剣を持った生徒が立ちふさがっていた。 その耳は尖っているので、エルフだろう。
〔一撃いれて、突破しよう〕
左手にシルバードを構えて、心の中で三人に伝える。
〔うん、わかったよ〕
〔一撃離脱ね〕
〔はいはい、りょーかい〕
返事を確認した瞬間、不意に感じた衝撃にシルバードが吹っ飛び離れた場所に突き刺さる。
「げっ……!」
たまらず足が止まる。
待ち構えていたエルフが動く様子はない。
「どうしたの? 剣が吹っ飛ぶなんて……」
「わからん。 衝撃に弾かれた感じ」
「クロエ、周りに」
レインに言われて見ればどこからともなく三人のエルフが現れて周りを囲んでいた。 その中の一人、ライトが俺の剣を拾って森の中へと放る。
——おいおい、人様の物を雑に扱うなよ。
「竜装を失った君はただの人……だと、思ったらその腕があったか」
ライトは興味深げに俺の右腕を見ていた。
「今はお前らに構ってる暇は無いんだが」
「もちろんだとも。 すぐに終わるさ」
ライトが剣を上に向けると上空に四頭のドラゴンが現れた。 四頭の羽ばたきに大量の落ち葉が舞う。
空なんか飛んでたらリガートゥルに見つかるだろうが。
〔これは、やるしか無いぞ?〕
〔負けたら終わり。 勝ってもリガートゥルがやってくる。 どっちも最悪ね〕
〔アティアお姉ちゃんのためにも勝たないと!〕
〔やっぱ、楽しく行かないとね!〕
満場一致、徹底抗戦。
〔各自全力で、迅速に。 いくぞ!〕
〔〔〔おおー!!〕〕〕
レインとミセリアが人化を解き、竜の姿に戻る。
フロースはミセリアの背に乗るが俺は一人、空気板を作って空へと上がった。
そして、もう一つの竜装を呼び出す。
「錬成、竜装」
瞬間、両手に現れたのは黒と赤の鎌、サクラナだ。
シルバードよりも重いずっしりとした感覚に、母さんの言葉を思い出す。
「鎌曰く——」
大きく飛ぶと、一番近くのドラゴンの首に鎌を振り下ろす。
「首を狩るもの」




