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例え悪でも進化はする


「なぁ誠司?」

「なんだい文哉?」


 あれは、出会って・・・飛ばされて早々だっただろうか?


「これからどうするんだ?」

「夢を見たんだ」


 自分の能力に振り回される俺と、自分の能力の可能性に恐怖する誠司は何故かウマがあった。


「夢?」

「うん、前の夢だったのか、今の夢だったのかはわからないんだけどね」


 映画みたいな怪物を潰しまわっていた俺は、何故か誠司に惹かれた。


「ふ~ん?それがこれからと繋がるのか?」

「うん、笑ってくれてもいいし、つき合いきれないというなら離れてもいい」


 自身には戦闘力が皆無なのに、怪物を潰していた俺に声をかけた誠司。


「笑わないし、離れもしない」

「ありがとう、僕が見た夢で・・・僕は、僕達はね」


 今となっては誠司の能力で自分は、忠誠、愛情、敬意を持っているのかはわからない。それでも


「僕達は――――」


 こいつの語った夢だけは俺には最高に――――魅力的に感じた。






 歯車が外れた気がした。


 










 決死の覚悟で魔王に対し匂香臭と認識自在を使う誠司。

 だが一度敵対してしまったからか、それとも魔王故か、匂香臭で好む匂いを出そうとも認識自在で敵じゃないことを印象づけさせようにも魔王の歩みは止まらない。


 そして、魔王が歩みを止めたのは自分達からわずか5m程だろうか。夥しい量の腕がボロマントから零れ出て6本の太い強靭な腕になる。その腕を全て地面に突き刺し、まるで砲台のように視線をこちらに固定する魔王。


 戦闘経験の少ない誠司にも魔王の口にあたる場所から嫌な気配を感じ取ることが出来た。

 つまりは自分達は文哉を置いて逃げないと死ぬということだろう。

 いや、文哉を置いて逃げても追いかけられたら死ぬ、魔王が追って来なくても文哉という剣と盾が無くなればこの世界では生きていけないだろう。


 どっちにしろ同じ事かと・・・誠司は諦めて、自身が仲間だと思っている彼らと最後の一時を過ごすために魔王から視線を外し文哉を見る。


 



 誠司達3人はキンッと何かが外れる音が聞こえた気がした。

 持ち上げようとしていた、絵美と優子は思わず手を放してしまう。

 誠司が文句を言おうと口を開くが、すぐに閉じ・・・いや、呆然と文哉を見る。

 手を放されてしまったのにも関わらず、文哉が俯いたまま立ち上がっていた。


 

 その場にいる者達は魔王を含め、文哉の後ろに巨大な機構と、何故か文哉であるとわかる歯車が外れて落ちていくのを幻視した。

 


 


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