#36 死は恐怖だ
ジェルナは俺を試すかのように、俺の剣を受け止めてくる。しかし、全て防がれてしまう。やはり剣術を知らない僕では、相手にもならない。
俺は防御を捨て、ただ一方的に剣を振るう、それでもジェルナに俺の剣は届かなかった。
ジェルナは余裕の表情で片手で剣を持ち、ジンをあしらう。
ジンはあることに気がついた、そう何故自分は剣で真っ向勝負を挑んでいたのか、この世界の戦闘においての基本、魔法を完全に忘れていたのだ。
魔法においては、ジンは多少の自信と才能があると自負していた。
そうだ、この世界、魔法を使ってなんぼの世界だ。
ジンは手の平に魔力を蓄えながら、剣を振るう。
そしていい感じになったときジンは叫んだ。
「『ファイアーボール』っ!!」
戦闘に置いて、使うのは初めてだろう、『ロウヒート』の完全上位互換のこの魔法は中級魔法であった。しかし俺はまだ100レベに達したわけではない、何故使えるのかそれは幸運なことに俺は固有スキルによってレベル関係なく魔法が使えるのだ。
「……魔力の波長がバレバレだ」
ジェルナは自信満々にそう呟き、片手で魔法を受け止めた。
しかし俺が狙っていたのはそこではない、『ファイアーボール』が物体に触れた時に発生する少しの煙、それをジェルナの視界で爆発させることで、一時的に視界を覆うつもりだったのだ。
案の定、ジェルナの顔面付近で煙が湧き出し、視界を覆った。
そしてジンはいまだと、ジェルナの身体に剣を振るった。
完全に勝ったと思ったその時、甲高い音が聞こえジンの剣の進行が止まった。
そして、防がれたことで煙が消し飛ばされ、ジェルナとその剣を目の当たりにした。
ジェルナの剣は、ポキッとちょうど真ん中のところで折れ、剣先が地面に落ちていた。
ジェルナは流石に不意を突かれ、冷や汗をかいていた。
それにより、ジンの勝利が目前に迫った。
相手の剣を折り、ジェルナは攻撃も防御の手段もない。
あとは剣で切り裂くだけの作業、そう思っていた。
しかし、ジェルナは不思議にも笑っていた。
「くっくっ、はっはっはっ!!」
「何がおかしい?」
「いや、私も貴様を少し見くびっていたよ、まさか魔法が使えるとは。さて、ここからが私の本気モードだ」
ジェルナはそう呟くと、右手で握った剣を投げ捨てた。
するとジェルナの身体中から魔力が溢れ出す。
ジンはこの感覚に懐かしさとともにトラウマを思い出した。
この感覚はミリエルと初めて戦った時に似ている。流石にあの時とは劣るが似ていた。
身体中が鳥肌を立て、汗がビッショリと出る。これは間違いない、死に対する恐怖だった。
「リッチーの本質は魔法にあるのだ、私を本気にした自分を天界で誇るといい」
「俺が死ぬって? 冗談じゃない、」
「よく言えたものだ、口だけは達者のようだな。足が震えているぞ」
知っている足が震えているのも、身体が震えているのも、ただ言葉で誤魔化さなきゃ身体が持たないのだ。
ジンは唯一の可能性である剣を強く握りしめて汗を拭った。
モンスター飲んで覚醒中




