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#12 幼女であり悪魔でもある。



 現在レベルは63、今のところ実感はしていないが、ステータスもかなり上がっているはず。

 ヘルサからは、大体100レベルになると中級魔法が使えるようになり、200レベルからやっと治癒魔法が使えるようになるらしい。

 先が思いやられる……。

 やはり、強敵を倒して、一気にがぁーっと行きたい。


 それでなんだこれは……?


 〈ここから先、魔王軍幹部ミリエルの城あり!!〉


 主張の激しい看板には、デカデカと乱雑な文字が綴られていた。

 なんだこのヘタクソな文字は? 子供の悪戯か?

 しかし子供の悪戯だとは思えない程に看板通り、この先からは不穏な空気が漂ってくる。

 絶対に通りたくはないが、ここを通らない限りミミィの村には着かないのだ。

 しかし魔王軍幹部か、もし倒すことができたのならば、レベルが大幅に上がること間違いなし、ここは一攫千金で勝負を挑むのもありだが……。


 「お兄ちゃん? なんて書いてあるの?」

 「え? 読めないのか?」


 ここになって思ったが、俺はなぜこんな記号的な文字が読めているのだろうか。よくわからないがスラスラと読めてしまう。


 「ここから先、魔王軍幹部ミリエルの城ありって書いてある」

 「まじか! 魔王軍幹部! 行こう!」


 強者が好きなミミィはいつにも増して、興奮している。


 「よし、じゃあ行くか!」


 大きく息を吸って身を引き締めた。ミミィもそれを真似するように大きく吸っている。


 看板を超えた。すると景色がとつじょとして変わった。

 ギンギンと照らす太陽の光は遮断され、もやもやと淀んだ空気が佇んだ。

 そしてなんだろう、心臓がバクバクと音を立てて、身体中から汗がでてくる。

 少し遅れて、そこに踏み込んだミミィもやはり同じ景色が見えているのか、辺りをキョロキョロ見回している。

 よく見たらここら辺、木が一本も生えていない。というか生命を感じない。


 来てはいけない所に来てしまった。そんなことを考えながら、後戻りはできないと自分に言い聞かせた。


 「お兄ちゃん、これヤバいやつだね」

 「だな、俺ですらわかる」

 

 会話をするのもいっぱいいっぱい、非常に息苦しい。

 そして一歩踏み出すごとに、どんどん圧力というのを感じさせてくる。


 「あそこか、」

 「あそこだね」


 城とは言い難い大きめの小屋を見つけた。


 「よく来た……」


 小屋に近づくと図太い声が聞こえてきた。


 「おい、あれ、ちょっとどこ行くんだ!」


 別に小屋に入らなければいけない義務はない、この世界は生きるか死ぬかの世界、勝てない勝負は挑まないのが当然の判断。

 珍しくミミィと意気投合し、あからさまに小屋を避ける。


 「そこは挑むとこだろ! おい!」


 声の持ち主は予想外の行動に焦っている。


 「仕方あるまい、《テレポート》ッ!」


 すると、俺たちは突如として謎の場所に瞬間移動した。

 そこは、まさに城内という感じで、ジャイアントモッグを4体ぐらいを入れるとすっぽり収まる大きさだった。

 

 「くっくっく、よく来た迷える者たちよ!」


 そこには幼女がぽつんと腰に手を当てて堂々と立っている。

 背丈はミミィより低い。

 そして腰からは細長い漆黒尻尾をゆらゆらさせて、耳の上からはツノがぐにゃりと出ている。

 幼女は小柄な身体を背伸びをして自分を大きく見せようとしている。


 「ワシの名はミリエル、あの恐ろしい魔王軍の幹部であり悪魔じゃ!」

 

 小柄ながら堂々した様子で自慢気に語り出した。

 幼女だからみくびってはいけない、この圧力の元凶は確実にコイツだからだ。


 「この圧力はあんたがだしているのか?」

 「ヌシは年上に対してタメ口で話すのか? ワシを何歳だと思っておるのじゃ」


 いや流石にその見た目で年上とか言ったら……。


 「3000歳くらい?」


 そこにミミィが参加してくる。

 しかし3000歳はふざけすぎではないか。多分高くて9歳くら……。


 「5324歳じゃ、あれ6千だったかのー。そんなに若く見えたか?」


 そうだここ異世界なんだ。

 悪魔ってそんな生きるものなのか……。


 「なんか、すいません」

 「いいのじゃ、いいのじゃ。それとワシの前では敬語は使う必要はないのじゃぞ」


 どっちなんだよ……。


 「おっとこの圧力は紛れもない、ワシのものじゃ、使わない魔力が溢れ出てこうなってしまったのじゃ」

 

 コイツは強い。それはわかる、魔力があんなところまで溢れ出るなんて信じがたい話だ。


 「さてワシは退屈しているのじゃ、始めるなら始めるぞ」

 「一応聞くんだけど? この戦闘辞退はできるのか?」

 

 そう言うと、ミミィとミリエルの表情がえーっと言った顔になった。


 「ま、まあ、できなくはないんだが……まさかヌシがそんなことしな……」

 「いや、する」


 振り返ると、帰りのドアのようなものがあり、「いやだ、いやだ」というミミィをホールドしながら、ドアの方へ。


 「ちょっと待って、ワシはヌシらと戦いたいのじゃ、暇なのじゃ、退屈なのじゃ!」


 突然、駄々を捏ね出すミリエル、俺はそういうことされてもキッパリ断れるから……から? なんだろう、身体が、ミリエルと戦いたいと言っているようだ。どうなってんだ?


 そんな様子を見たミリエルはニヤリと笑った。


 「驚いたか? これはワシの固有スキル【我儘】の効果じゃ」


 固有スキルだって? ちょっと待て、それは俺たち勇者の特権じゃ……。


 「なぜあんたが、固有スキルをもっているんだ?」

 「なぜだったかのー。昔のことだったから忘れてしもうた」

 

 曖昧な回答。なにか裏があるに違いない。

 僕は撤退という選択肢を失い、ミリエルと戦わなければいけなくなった。


 「ミミィ、俺たちはコイツと戦わなければいけなくなった。……もし、少しでも命の危険を感じたら、俺を置いてでもいい。逃げてくれ」

 「でも、お兄ちゃんが」

 「お兄ちゃんは大丈夫、わかったか?」

 「う、うん!」


 ミミィに嫌々頷かせた。

 俺たちは命を賭けているのに、悪魔メリエルはこの戦闘を暇つぶし程度に思っていないようで、まだがだかと、赤い絨毯の上を寝転んでいる。

 絶対的自信というのか、それとも舐められているだけなのか。


 「《速度上昇》《攻撃力上昇》《防御力上昇》《物理攻撃耐性Ⅰ》《魔法攻撃耐性I》……」


 ヘルサから教わった強化魔法を次々にかけていく。時間はたっぷりある、この戦いで今まで貯めてきた魔力を全て使ってもいい。絶対に負けられない。

 ミリエルはというと、何もせずただ俺を見つめぼぉーっとしていた。


 「よしっ!」


 全て唱え終え、拳を握った。

 するとミミィは行くんだねという顔で俺を伺い、ミリエルはパッと立ち上がった。


 「いくぞ、ミミィ!!」

 「うん‼︎」


 俺とミミィは何も考えず、ただミリエルを倒すことだけを考えて、飛び出した。




僕ってロリコンなのかもしれないっと、最近思った。

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