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Scene14 -4-

  イカロスの爆撃を受けながらも疾走する機械虫。後方から追いかけるガイファルドは1匹ずつ倒していくが、先頭はとうとう前回上陸した際に破壊されていない市街地へと突入してしまう。そのためイカロスは不用意に攻撃ができなくなってしまう。


  Y市のある地点に到達した機械虫はピラミッドに現れた個体と同じように地面に刺さり連結していく。


  「博士、やっぱりあそこには」


  剛田が言うあそことは、機動重機隊隊長ライゼインが敗れた地だった。そして、そこを囲うように機械虫は集結していく。


  「Dゾーンの濃度増大。このままでは外からのイカロスの攻撃は無効かされてしまいます」


  「誘導弾発射。できるだけ接近した上で爆雷投下だ」


  イカロスは艦首のガトリングガンを撃ちながら機械虫たちに向かって降下していく。照準をロックし誘導弾を発射したところで航路監視士のヒナコが振り向く。


  「Dゾーンの範囲拡張。接触すれば航行に支障が出ます」



  「急速上昇!」


  「せあーーーー!」


  ジョーが力いっぱ操縦桿を引っ張った。Dゾーンの圧が高い範囲に接触し艦が激しく振動するも、どうにか上昇して回避する。置き土産に投下した爆雷だったが、Dゾーンの中では大きな効果は得られず、機械虫たちは次々に集結していく。


  「レオン、このままDゾーンに突入。機械柱をへし折る」


  ヘビーアームズでレオンの前を走行するノエルが先んじてDゾーンに飛び込んでいった。


  「セイバー、ストレニックスを近づけさせるな。柱になった機械虫がDゾーン内で次元の壁を破るには、その力を収束させる機械獣が必要なはずだ。前回はスフィンクスがそれをおこなったのなら、今回はストレニックスがその役割を果たすのだろう」


  「わかってます!」


  マシンキャノンを撃ちながらドッグファイトを繰り返すセイバーとストレニックス。セイバーの善戦によってかストレニックスはDゾーンに近づけない。セイバーはバリアブルガンをドッキングさせてライフルモードにし、ここぞというときのフルバーストを準備していた。


  「その調子だセイバー。ノエルとレオンは今のうちに柱を」


  機械獣が来る前に柱を破壊してしまえば次元の壁を破るだけのエネルギーが足りなくなってセガロイド解放は防げるはず。


  ノエルは濃密なDゾーンに抵抗しながら連結してエネルギーを発する源となった機械()に突進した。


  続いてレオンがDゾーンに飛び込んだとき、前回とは違う電撃がレオン体表を弾いた。


  「なんだ?!」


  ダメージこそ無いが予期せぬ現象に一瞬足を止める。


  「敵性個体を確認。セガロイドかと思われます」


  ミキの報告を聞いてイカロス艦橋に緊張が走る。


  少し遅れてノエルの身体情報が入ってきた。


  「ノエルが攻撃を受けました。電撃です」


  濃度の濃いDゾーンの中では電子的情報が制限される。Dゾーン深くにいるノエルから送られてくる情報をDゾーンの外側にいるレオンが受信し、それがイカロスに送られたためにタイムラグが発生していた。


  「すぐ行くぞ!」


  レオンはダブルハートによってノエルの位置を確認し、最短距離で向かっていく。


  上空を旋回して戻ってきたイカロスは、すでに電子機器では見えなくなったDゾーン内部を目視する。その光景はピラミッドのときと同じく、Y市の市街地と重なって半透明の別の景色が見えていた。同時にノエルとレオンの反応も弱くなって消えていく。


  「なぜだ、機械獣はセイバーと交戦しているのに」


  博士はDゾーンを見ながら考える。


  「エネルギー、急激に増大。発信源はノエルとの最終交信地点の近くです」


  その情報を聞いて博士は気が付く。


  「セガロイドだ。現れたセガロイドが前回スフィンクスと同じ次元隔壁を破るためのコアになっているんだ」


  機械獣だけを警戒していたガーディアンズはこのことを想定できずに完全に出し抜かれたしまった。


  空間が(ゆが)み視認もままならないDゾーンの中で、ガイファルド2体はそのセガロイドと交戦していた。


  「こいつは、ウィザードってやつだな」


  赤黒い朱殷しゅあん色のコートとマントに身を包んだセガロイド。腕や足にいくつかの黄色い球体が埋め込まれた細身の体型をしている。


  「(申し訳ありませんが少しだけ待っていてください。この状態で戦うのはなかなかにしんどいのでね)」


  レオンたちにはわからない言葉を発しながら、Dゾーン内に増幅されたエネルギーが広がっていく。ここはもう別の空間となっており、広がる空は今までの晴天ではなく今にも降りそうな雨雲に覆われていた。


  ウィザードが立つ後方にはすり鉢状に掘られた地面があり、その中心にある物をレオンは見たことがあった。


  8本の柱に囲まれたその場に石造のように立っている巨人。ウォリアーのように膝を付いて座っているのではなく、手足に繋がれた鎖を引き千切るために暴れているといった印象だった。


  Dゾーンに満ちたエネルギーによってか、空間を電撃が弾く。その電撃は8本の柱に影響を及ぼし、徐々にその威力を上げながら柱を崩していった。


  「I well stop it.」


  ノエルの前に立つウィザードを回り込んで走るレオン。ノエルはオプションスタイルを分離して反対側からウィザードに向かっていった。


  「(おとなしくしていてください)」


  外装のマントが展開し腕部の黄色い球状の装置が明滅するとガイファルドは激しい光に包まれて一瞬動きを止める。そして、バランスを崩してその場に倒れた。


  「なんだ?!」


  振り向いたレオンに手のひらを向けるウィザードを見て、レオンはとっさに両腕で体を覆った。


  カッと腕の球体が光るとレオンは衝撃を受けてひっくり返ってしまう。


  「レオン!」


  立ち上がったノエルへ手を振り下ろすと、今度は上から重圧を受けて地面に倒された。


  「どんな手品だ?!」


  起き上がろうとしたレオンが腕を見ると、両腕のピンポイントガーダーがへこんでいる。フォースフィールドでの守りをおろそかにしていたわけではなかったが、それを破ってピンポイントガーダーをこんな状態にしてしまったのだ。


  ノエルを押しつぶした圧力はすぐに収まり、自由になったノエルは跳ねるように立ち上がって距離を取る。そしてすかさず右手に抱えていたスナイパーライフルのトリガーを引いた。


  大口径の弾丸が高速で射出される独特の爆音を発し、その爆音の速度を超えるスピードで弾丸がウィザードに迫る。


  わずか数十メートルの距離から、フォースコーティングされた弾丸がDゾーンの抵抗を貫いてウィザードに直撃した。


  感覚的にはウォリアーに比べれば華奢なウィザードの半身を吹き飛ばしそうに思える攻撃だったのだが、弾丸を中心にいくつもの波紋が広がると、弾丸はマント状の装甲に弾かれて()れていった。


  ノエルはその現象に一瞬動きを止める。しかし、その反対側からレオンがその手にフォースを(まと)わせて迫っていた。


  「(それは危険です)」


  レオンの掌圧(しょうあつ)が最大に高まった途端、体が前に進まなくなって目の前に波紋が広がる。


  「進まねぇ!」


  特に衝撃はない。ただ体がその場から前に進まないのだ。厳密にはわずかずつ進んではいるのだが、急激に減速してしまい、その手がウィザードに届く間合いまで達しない。


  背部スラスターを全開にしていたレオンだったが、む無く1歩引き、目の間の波紋が広がったその場所に掌撃のフィーチャーフォースを叩きつけた。


  体が止まったように手ごたえはないのだが、広がる波紋が乱れてレオンの腕に衝撃が返ってきた。手ごたえのない壁が消えたのだと感じたレオンは、さらに1歩踏み込んで胴回し蹴りをウィザードに叩きつけた。


  今度こそ本体に届いたのだが、1発程度では勝負は決しない。かと言ってに2、3発殴ったところで同じことだとレオンは判断する。


  その状況を見たノエルが再びスナイパーライフルを構え、逆にレオンはウィザードから離れて8本の柱に囲われる新たなセガロイドに向かって踏み出していた。


  「(行かせませんよ)」


  ウィザードが両手を広げてマントを立ち上げると全身の球体がバリッと弾ける。そして、レオンとノエルが居る半径40メートル程度の範囲が電撃のフィールで覆われた。


  「ぎいぃぃぃぃっ!」


  「あぐぅあっ」


  1秒ちょっとの高出力電撃フィールドに捕らわれたガイファルドはその場に倒れてしまった。同時にその攻撃を放ったウィザードも機能を停止したように動かなくなる。


  『(このエリアを保持しながら戦うのはさすがに負担が大きいですね)』


  大きなダメージを受けたレオンとノエルが震えながら立ち上がろうと動き出し、ウィザードの目にも光が戻り始めたタイミングで、セガロイロを囲う8本の柱が倒壊した。


  「(グルルルルルルルゥゥゥゥゥッ)」


  崩れた柱の中央で封印されていたセガロイドが唸り声を出し、長い眠りから解放されて動き出した。

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