Scene8 -11-
イカロスを乗せたグランドホエール号が基地に戻ってからほどなくして、作戦実行部隊の面々はミーティングをおこなっていた。
今回は司令官のアーロンの秘書である三浦春歌がミーティングに参加する。彼女はいつもは別の業務があるため、こういったミーティングに参加するのは初めてのことだった。
最初はアーロンから労いの言葉が話され、その次には博士から機械虫が持ち去ったタマゴについて語られた。
「……そう、あのタマゴは機械虫のコアの集積体だ。その総数はわからんが千や二千ではないだろう」
「あれを使って機械虫を増産するってことなのかもしれねぇな」
剛田の考察に博士もうなずいた。
「ひとつがどれだけのエネルギーを保有できるか不明だけど、もしも、あのひとつひとつがA級かそれ以上の機械虫、つまり今日戦った新種だったら、いかにガイファルドでも今のままでは対応しきれない」
今日出現した新種の機械虫が数千匹。想像した者はぶるりと震えた。
「その新種の機械虫だが」
剛田が口にした不安の原因である新型機械虫についてアーロンが話しだした。
「こちらでも分析をしていたのだが、あの新種のコアは今までの機械虫とは違うことがわかった」
「やはりそうか。僕もこれから調べようとしていたところだったんだけどね」
「春歌、博士にデータを」
「はい」
分析結果を博士の端末へ転送する。
「なるほど、これならあの爆発もうなずける」
機械虫たちのコアは簡単に言えば充電式の電池と同じだと以前博士は説明した。しかし、今回現れた機械虫のコアは動力炉だったというのだ。そのメカニズムまではわからないが、あの巨体を動かしたり、内蔵された高出力兵器を使ったり、空に浮かび上がり飛び回ることは、電池式のコアでは持久力に乏しく実戦に適さない。B級上位以上でなければビーム兵器を使ってこないのはそれが理由だろうと推測されている。
つまり、今回の機械虫は級では測れないひとつ上の次元だということだ。
ちなみに飛行型機械虫が爆発しなかったのは、セイバーの放った超破壊エネルギーが強大すぎて、動力炉のエネルギーを飲み込み暴走する間もなく消滅させてしまったからだった。
「強力なエネルギーを叩き込んで暴走前に消滅させてしまえばいい」
レオンの腕が吹っ飛んだのは、装甲を貫いた時点でフォースが尽いてしまい、その勢いのままに素手でコアを破壊したからだ。
今回の戦いにおけるポイントとして、ジェット・スタイルが挙げられる。
「備えあれば憂いなしだったな」
と趣味的な要素はあれど開発を進めていた三人(博士、剛田、アクト)のおかげで飛行型機械虫に対抗することができた。もうひとつのポイントはマイナスポイントとして、ルークのオプション・スタイル嫌いが挙げられた。
さすがのルークも今回は観念したのか反論することなくおとなしく聞いており、レオンに合ったオプション・スタイルを考えるようということで決着する。
ミーティングが終ろかというところで、エマがアクトに質問した。それは変則的で急激な動きをする飛行型機械虫をジェット・スタイルで追従したことについてだった。
「どうしてって聞かれてもなぁ。必死だったから」
その話を聞いて博士は思い出したようにアクトに問いただした。
「なぜセイバーはあの電撃を避けられたんだ? 今後同じようなことがあった場合の対応策として共有しておこう」
その質問に対するアクトの回答を聞いて、みんは肩を落としたり首を傾げたり口を開けたりといったアクションを起こす。
「見えたというか感じたんです。機械虫の角から伸びる通路みないなモノが。電撃はその通路を走るから、その射線軸みたいなのをを避ければ当たらなかったというわけです」
その通路は機械虫が展開する力場によって作られているようだった。
ちなみに機械虫が発する力場。A級を超える部類が使う新たな能力は周辺一帯を海の中のように抵抗を与える。その力をDゾーン(ディープゾーン)と命名された。
大きな損害を受けたガーディアンズはイカロスとオプション・スタイルの修復と開発、ガイファルドの治療に多大な時間を要してしまう。そのため、その後二回に渡り同じようなエネルギーの奪取をする機械虫の活動を止めることができなかった。
グランドホエール号から降ろされたイカロスは本格的な改修整備をするために各部をチェックがおこなわれていた。艦外と艦内をくまなくチェックしていたPRLたちだったが、その一台がガイファルド待機室に訪れたとき、部屋の隅に偏っていたコンテナの裏で赤い大きな宝石を発見するのだった。




