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Scene5 -1-

  「惜しかった、もう少しで近接戦闘でレオンに勝てた」


  合身を解除して降りてきたエマがボソリと言った。


  「俺の土俵で負けるわけにはいかないけど、けこう危なかったな。やっぱりS2は伊達じゃないか」


  まだ余裕がありそうな感じのレオンにエマは少し口を尖らせた。


  「いやはや、以前よりもノエルの動きが数段良くなってる。それに比べるとレオンは直線的な動きのときは凄まじいがガイファルドの特性をいかした戦い方はまだまだだぞ」


  「うーん、そのあたりのイメージがなぁ。やっぱり俺自身の闘い方のイメージが強すぎるのが原因だよな」


  「格闘能力が高すぎるために逆にその殻が破れないのは勿体ない。ルークの課題はまさにそこだ」


  指摘を受けたルークは手を広げ、またまたおどけて見せた。


  「昼休憩を取ってから午後はセイバーの格闘と射撃訓練をするとしよう。エマ、ルーク、それぞれの指導を頼むぞ」


  「OK!」「わかりました」


  「アクト降りてこいよ、ランチ行こうぜ」


  呼ばれたアクトだったが模擬戦の衝撃が大きすぎて耳に届いていなかった。なにしろレオンとノエルの動きは今まで機械虫との戦闘で見せたモノよりも数段上だったのだ。ガイファルドの能力はもっともっととんでもないのだとその片鱗を見せ付けられ、セイバーがシャドーをして興奮をあらわにしていると、

  ビービー!

  広いテストグラウンドにも鳴り響く警報音。


  「shit!  出やがった」


  「機械虫出現。場所はA国N州。数は二十体以上。内A級は最低でも二体確認されています」


  警報に続いて流れる機械虫情報ではこれまでにない規模の機械虫軍が現れたと報じられた。


  「共命者及び共命体はイカロスに搭乗してください」


  「アクトはそのまま合身してレオンとノエルについていけ」


  ルークはエマと一緒にハンガーを抜けて走っていった。


  「セイバー、こっちだ」


  セイバーはレオンのあとを追う。

  ハンガーを抜けるとその奥にガイファルド用のエレベーターがあり、そこに三体の巨人が乗り込む。エレベーターがゆっくりと下降して降りた先は薄い灰色の丸みを帯びた巨大な乗り物らしき物が停泊していた。


  「でかいな、なんだこれは……」


  三〇〇メートルくらいありそうなそれを眺めていると、


  「潜水艦です。これで海中を進み外洋に出るのです。私たちの発進場所を知られないために」


  「俺たちの移動要塞、グランドホエール号だぜ。とは言ってもまだ未完成なんだけどよ」


  セイバーの呟きに二体のガイファルドが答えた。


  「おい、行くぞ。そんなの帰ってきてからじっくり見たらいい」


  潜水艦が停泊するドッグの横にある扉を開けると、そこにはニュースで何度か見たことがある大型の輸送機が止まっていた。


  「超速機動揚陸艦イカロス。こいつで現場に向かう」


  実物を間近で見ると軍隊が所持していそうな輸送機の四倍くらいはある大きさだだった。どこか戦闘機チックなデザインが潜水艦に続きメカ好きなアクトの心をくすぐる。

  開口している後部ハッチから中に入ってみると艦の中はセイバーたちが三体乗り込んでも有り余るスペースだった。


  「ガイファルド三体の搭乗を確認。後部ハッチを閉じます」


  艦内放送が流れてハッチが閉まるとレオンたちは各々自分たち用の椅子に座ってセイバーを手招きする。こんな椅子まであるのかと感心しながら座席についたところにいそいそと作業ロボと作業員たちが後部格納庫に入って来た。その中に柳生博士とメカニックの剛田も居た。


  「おーい、アクト。ブリーフィングをやるから降りてこい」


  「わかりました」


  アクトがブリーフィングルームに到着するころ、艦内に放送が流れた。


  「本機はこれより発進態勢に入ります」


  四方にあるシャッターのうちのひとつが開き、円形のターンテーブルに乗るイカロスの向きが変わる。何かの作用によって浮き上がった機体は発進口に向かって動き出した。地上には広大なロボタウン敷地の四隅に、地下への繋がるトンネル状の建物があり、その東側の射出口のシャッターが開かれた。


  「機関正常、出力安定域、推進システムに動力伝達完了」


  「ディストーションミラー展開」


  艦橋では兵装管理士長と機関士長の合図を受けた艦長が操縦士に発進の指示を飛ばした。


  「超速機動揚陸艦イカロス、発進!」


  まだ人類が作りえない特殊な技術によるインパルスドライブによって、三・三キロメートルの滑走路を加速していくイカロスが射出口より飛び出した。だがディストーションミラーによって不可視となっているため、轟音と暴風をまき散らすのみであるが、ロボタウンと言う人里離れた広大な敷地施設には風に吹かれる木々もなく、誰にも気づかれることはなかった。

  猛烈な加速で飛び立ったイカロスの中は慣性抑制機能によってさしたる加速Gを感じることなくブリーフィングがおこなわれていた。

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