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閑話:Santa Claus

 「はーるーたーん」

 あっちゃんがもこもこのコートを来てエレク家のレノアの部屋へ突如扉をバーンと勢いよく開けて入ってきた。

 「あ、あっちゃん?」

 驚いて目を見開けばあっちゃんは何を思ったかクルクルとレノアの周りを回りだす。

 

 「はーるーたーん! サンタさんがもうすぐ来る時期だよ?サンタさん!」

 

 (サンタさんって……子供か……)

 レノアはため息をあっちゃんに見えないようにコッソリとつく。


 この国には冬が無い。正確に言えば、肌寒くなることはあるが雪が降るほどでもないし日本の様に冬を感じる事も無い。

比較的平均して穏やかな国なのだ。ただ、一応カレンダー的なのはあるし、ゲームが作られたのが日本だからなのか、ご都合主義よろしく1日は24時間だし、1週間は7日で1か月は約4週間で存在はしている。ただ、月だけは12ヶ月で1年となってはいるものの毎月の呼び名が異世界っぽく別の表記とはなっている。

 

 そして丁度今月は日本で言うところの12月にあたる。


 「でも、あっちゃん? ここは雪が降らないしその格好は暑いんじゃ無い?」

 と言うか、見ているだけでもモコモコのコートは暑そうだ。


 「バカねえはるたん。形から入らなきゃ! 今は冬って考えて!ほら、外は雪!」

 じゃないとサンタさんがそりに乗ってここまで来れないじゃない! とあっちゃんは頬を膨らませれば、ちょっと可愛いなとレノアは思ってしまう。

 「だけど……」

 レノアが何かを言いかけた瞬間、再びレノアの部屋の扉はバーンと開く。

 「はるたーん! クリスマスやっちゃおうよー! サンタさんが来るよー?」

 

 (メリー、ユア……お前らまでもか……)

 呆れてレノアが見れば、メリーとユアはサンタのコスプレをしている。

 「「はるたんだってサンタに会いたいでしょ!?」」

 

 メリーとあっちゃんは声を揃えて上げるため、レノアが呆れて眉間に皺を寄せてしまった。それを見た2人はユアも連れてレノアにより迫る。

 多分ユアは2人に洗脳されたのだろう。


 「わかった……わかったから。はいはい、サンタに会いたい会いたい」

 3人に推し寄られ、レノアは早く解放されたくて適当に相槌をうてばレノアはフワリと後から延びてきた腕に引き寄せられる。

 

 「リスが会いたいサンタって男か?」

 「レノ!?」

 なぜここに? そう聞こうと思ってレノアが口を開きかけた途端、あっちゃんとメリーがレノアの言葉を遮る。

 「レノ様! サンタが殿方じゃなければ誰が殿方なんですか?」

 「サンタさんは皆のアイドルですよ? 会えば誰しもときめいちゃうんです!」

 「はるたんだってサンタに会いたくて会いたくてしかたないんですって!」


 2人の戯れ言にユアも加わり、なぜか語弊がある言い方をする。


 「リスが……俺以上に会いたい男って……」

 若干レノが顔を引きつらせつつ、何か勘違いしている雰囲気を醸し出すとあっちゃん達はニヤリと笑う。

 「レノ様よりはるたんはサンタに会いたいんです!」

 「はるたんはサンタが大好きなんです。」

 「はるたんはサンタを望んでいるんです!」

 

 3人が口々に話す言葉はレノにトドメの如く突き刺さる。

 「なっ! や、3人とも! やめて! ちょっ……レノが黴に!」

 

 レノアを後から抱きしめたまま、どんよりとレノが黴の塊になりつつある。 

 「あ、やっ……ちょっとレノ!」

 レノー!とレノアが叫ぶもレノはどんよりとブツブツ何かを呟きながらレノアを抱きしめる手に力を込める。


 「あらー。はるたん抱きしめながらレノ様黴の塊になってる。」

 「これははるたんがレノ様にクリスマスプレゼントとしてキスでもあげなきゃ治らないかもね」

 「そうそう、若しくははるたんがレノ様に大好きとか、プレゼントはわ・た・しとか言わないとダメかもねー。」

 

 3人は好き勝手レノアに言い放つと、まぁ、後ははるたん頑張ってとしれっと居なくなってしまった。


 (な、な、なんだった!? アイツら何しにきた?)


 「リス……」

 

 黴の中からレノの声が聞こえ、ビクリと身体を縮ませつつゆっくりレノアはレノに向き合う。

 「リスは……サンタが、好きなのか……」

 

 ズモモモとBGMが流れて来そうな程どんよりとしたレノにレノアはこれまた盛大なため息をつく。

 「あのな……、サンタは、その、アレだ。えっと……この時期赤い服を着てプレゼントを持ってくるおじさんの事で……」

 「リスはおじさんが好きなのか? リスに何かを貢ぐおじさんが……」


 (貢って……うーん。プレゼントって貢ぎ物にもとれるのか?)

 実に説明が面倒臭い……。

 そして相変わらず斜め上に取るなコイツと、思わずレノアが半目になってしまう。

 

 このまま説明していても、レノには上手く通じないかもしれない。


 レノアはうーんとうなると、眉間に皺を寄せて考える。

 いっそのこと説明を辞めて解らせれば良いのではないかとふとレノアは思いつく。

 

 「まぁ、貢ぐおじさんも好きだけど……。」

 「好き!」

 「いや……そこだけ取るなよ……」


 (面倒臭いな。ええい!この際、俺も男だ! 男は度胸!)

 すぅっと息を吸い、レノアは気合いを入れる。

 

 そして、勢いよくジャンプしてレノの首に抱き着くと…… 


 「!!」


 突然首にレノアの体重がのしかかり、思わず前のめりにかがみ込む形になったレノの唇に柔らかく暖かいものが触れた。

 レノが驚いて目を見開けば、その柔らかく暖かいものは直ぐに離され、代わりに耳まで赤くしたレノアの瞳が目に入る。

 突然の事に抱きしめていたレノの手が緩む。

 

 「サンタより誰が好きだか、分かれ……レノの、バカ」



 そう言ってレノにまわしていた首の手を離し、レノアは脱兎の如く部屋から逃げていった。




 後日……

 エレク家では、ニコニコ笑うレノがエレク家当主とスカーレットによって、縄で巻かれ木につるされて居たというのはまた別の話。

今度こそいったんおっさんだって悪役令嬢出来るもんはまた完結となります!


サンタクロースは時期的

そして、レノアに誰がすきだかワカレバカを言わせたかっただけって言う……。


作者が月の名前を異世界っぽく考えられなかったって言う……ポンコツさ加減半端ないです。すいません。


では、また何処かで~

お読み下さりありがとうございました!

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