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青柳紅葉編その5

「どこへ行くんですか?」

「ついて来たらわかります。」

このやりとりを何回か繰り返しながら団地の中を黙々と歩いている。他に会話らしい会話はない。少し気まずい。青柳姉の方とこんな空気になったことはない。いまから刑務所にでも連れていかれるかのような雰囲気だ。まるで罪悪人なったような気分。まあ、自分は何もしてないはずなのだが。

 それからしばらく歩いた。かれこれ30分は歩いたんじゃないだろうか?いつの間にか坂道を歩いている。山のてっぺんでも目指してるのだろうか。いい加減自分も疲れてきた。のども乾いてきた。ちらっと青柳さんの方を見ると顔色も変えずただひたすら無表情で前々と歩いている。機械のようだ。

「着いたわ。」

目の前にあったのは大きな屋敷だった。

この屋敷は知っている。何しろこのあたりじゃ有名だ。幽霊屋敷なんじゃないかと。

「ここ?」

「そうよ。」

「家?ここが?青柳さんの?」

「そうよ。何か不満?」

「いや、そういうことじゃないけど。意外だなって。」

「まあいいわ。入りましょ。」

そう言うと青柳さんは門の扉を開けてなに構わぬ顔をしてはいっていく。

俺は少し躊躇していた。入っていいのだろうか。何か良くないことが始まりそうなそんなただならぬ雰囲気がある。

「どうしたの國木君?入りましょ。」

「ああ、うん。」

そうだ。家の人が入っていいと言っているのだ。俺は吸い込まれるように中に入っていった。

「ささ中に入って。」

彼女は屋敷の扉を開けて中に入るように促す。

「それじゃ、お邪魔します。」

中に入って俺は思わず目を疑った。まず、目についたのが。玄関の目の前にある立派な階段。シャンデリア。綺麗に整えられたカーペット。ギリシアの彫刻を思い出させるような素晴らしい彫刻。どこかの高級ホテルに迷い込んだかのような錯覚に陥る。圧倒されて少し放心していた。

見惚れていると後ろの方でガチャリと扉がしまる音がした。

「ふふ。ふふふ。」

後ろで青柳さんの笑い声が聞こえる。どこか嬉しそうなそして、どこか残念そうな笑い声が・・・・。

「眠りなさい。國木君。」

えっ?どういうこと?

後ろを振り返って言おうと思っていた言葉は結局自分の口から発せられることはなく。自分は頭に鈍い衝撃を受けたと思ったら、意識が飛んでいく。

目の前が真っ暗になる前におやすみという声が聞こえた気がした。

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