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タイトル未定  作者: niti
2/5

第2話

...


森で岩に腰をかけた黒髪の少女が本を閉じて立ち上がる


車が来たようだ


親指を立ててサインを送るが車は止まることなく1台2台と過ぎていく


やがて雨が降降り始めた頃、1台の車が止まる


小太りの老夫婦が窓越しに見える


窓を少し開けて老人が聞いてくる


老人「お嬢さん、どこに行きたいね?」


地図を取り出して顎で挟んで指差す


「地図には乗ってないんですけどここから30キロ先にいったところにある町まで」


老人「ああ、それなら丁度と行きがけの道中だよ、乗りなさい」


ガタガタと揺れる車に揺られて流れる景色を眺める


(なんて古い車...)


老婆が水筒のコップにお茶を差し出してくる


老婆「そんなにずぶぬれで...寒かったでしょう、飲むみなさい体が温まるわよ?」


「あ、ありがとうございます、いただきます」


老人が言う


「ところでお嬢さんが向かおうとしている場所、例の薄気味悪い新興の町だろ?何だってそんなところに行くんだい?」


「私の父が設計したインフラ設備の交換で父の代わりに私が行くことになったんです」


老人「それは凄いな...でも気をつけな、神の奇跡がどうとか...とにかくあそこの連中はまともじゃない」


老婆が横で怪訝そうな顔をしている


「お気遣いありがとうございます、でもきっと...大丈夫ですよ」


車を降りて手を振って去る二人に手を振り返す、そして足元に広がる酷い泥道に目をやる


(入った人の足跡はあるのに外に出て行った足跡はない)


森に続く道に入っていく異様に静かな森を数時間ほど休みながら歩いたところで、丘の上に扉のなくなった城門が見える


門をくぐると近代と中世の入り混じった村が見えた暫く歩き回って教会のような建物に近づく


(中欧文化圏だったんだ...もう何の建物で何を祭ってたか誰も知らないけど)


写真を一枚撮るが異常はない


暫く回って教会を離れ、もう一件の教会も見たが収穫はなった


疲れて噴水に腰掛ける


(どちらもカメラに画像の乱れや高エネルギーによる影響は無し...)


高台に上って写真を撮るが変化はない


(エネルギーが遮蔽されてる?)


街を散策して一番奥の神殿のような建物を撮影すること映像が歪んだ


(多分ここなんだろう)


神殿に足を踏み入れると瘦せた男が話しかけてきた


瘦せた男「あなたも”奇跡”の噂を来たのですか?」


「ええ、そうです」


...


「その...失った手足が再生したとか、死んだ人が戻ったとかって噂...本当なんですか?」


男が笑って言う


瘦せた男「ええ、本当ですよ 今夜儀式を執り行います、あなたもどうですか?あなたのその失った腕も戻るかもしれませんよ?」


「本当ですか!?じゃあ...お願いします」


瘦せた男「分かりました、待ってますよ」


夕方、ジリジリと揺らめく蠟燭の光の中、多くの人間に交じって教会の奥の洞窟の中に数んでいく


(洞窟、まあ偵察衛星にも映らないのはこのせいだよね)


無数の長椅子が並ぶ洞窟の壁に木材を張ったような巨大な空間に出る


後ろから男の声がする


瘦せた男「おや、来ましたか、あなたの席はそこですよ」


「わかりました、それにしても凄いですね、ここは」


瘦せた男「ええ...そうでしょう、なんとこの 大聖堂 は20年もの時間をかけて造られた物なんですよ」


瘦せた男「おっと失礼、時間ですね、それでは」


席に座ってしばらくすると”儀式”が始まった


それはまるで、旧石器時代の祈禱のようだった


横を板の上に乗せられ、担がれた男が通り過ぎる。


(あれ死んでるのかな)


男は左右に像の立つ祭壇の上に座るように置かれ、その手を司教が持ち像の手に触れさせると


ゆっくりと立ち上がり、混乱するようなしぐさを見せながらどこかに連れていかれた


周囲は時が凍ったように微動だにせずただ見ていた


瘦せた男が壇上からこちらを見て言う


「さあ、あなたの番ですよ」


それに合わせてぐるりと周りの人間達も振り向いてこちらを見る


促されるままに祭壇に座る


無くなった腕の先に象の手が触れた瞬間、編まれるように腕が生えていく


「おお...」


瘦せた男「どうですか?まさに神の奇跡、素晴らしいでしょう?」


「これが神の奇跡?...ですか」


後ろにいた人間に手をつかまれた瞬間体が硬直した


「ええ...では暴れられる方もいますので別室で待機してください」


(神経の伝達が阻害されてる)


そのまま引きずられて暖炉の前に放置される


(熱ッ)


モーター駆動に切り替えて立ち上がった


「君凄いね」


声のした方に振り替えると同じくらいの年の少女がいた


少女「簡単には解けない麻痺なんだけどな」


「あなたは?」


少女「ここの管理者、の...娘 安心して、地上の奴らみたいに宗教ごっこはしてないよ」


「管理者?生存者がいるの?」


少女「分からない、ここにずっと閉じ込められたから」


「なるほど、だったらついてくる?私はここから出ていくつもりだけど」


少女「できるの?」


「できるよ」


少女「ならあたしは止めておく、一人で行って」


「分かった、じゃあ私は行くよ」


服のポケットから顔の装甲を取り出してつける


...


少女「あなた顔は見えなかったけど顔の上に顔...人間に擬態してたのね」


(え?私の顔が見えるの?)


「まあそんなところ」


固定ネジを締めた後コフマンスターターを繋いで地面に置き思い切り叩くと


機械の低い稼働音が聞こえ始める


少女「気が変わった、あたしも連れってて」


「いいよ、でも今から4分間あなたに何かあっても守ってあげられないけど」


少女「構わないわ」


直後、何かが激しく戸を叩き突き破って現れる


少女「ヒッ」


人の頭を割ってシュルシュルと音を立て陽炎のように歪んだ空間に文字の塊が浮かぶ異形が現れた


(カテゴリー5、初めて見た)


≪喋ったり言葉を発したりしないで!コイツは言葉を話す物しか生物として認識しない!≫


「私が引き付けるから、できる限り明るいところへ暗闇を避けて隠れて」


少女が首を縦に振る


怪物の攻撃を両手で受け止め身を引いていなし通路側に逃げる


すると通路側から二匹目が現れた、咄嗟にカメラのストロボを使って怯ませすり抜ける


「これ使って!」


少女の方にカメラを投げて通路に走り込んだ


(調整室は...あっちね)


簡易ライトを使い、異形を避けながら進んで行く


(標準型の船舶ならここかな)


扉の緊急解放装置を使って開けると、そこには老人が椅子に座っていた


「あなたが管理者?」


老人が銃を構えて言う


老人「そうじゃ、だがその前に調べさせてもらうぞ、アンドロイドも例外ではないからの」


老人がスコープをつける


老人「どういう事じゃ...頭より下に魂がない?」


「肉体の有害さから魂を隔離できるようにできてる、だから感染してないよ」


老人「...」


「そして私はあなたの後ろにある装置を壊しに来たの」


老人「そうか...分かった、じゃがその役割、ワシにやらせてはくれんか?」


「いいですよ」


老人「ワシの...けじめじゃ、手伝ってくれ」


「もちろん」


二人で装置の解体を始めた


老人「その...どうだお前さんは見たところ軍用アンドロイドだが、戦うのは怖くないのかい?」


「私はむしろ人を戦ったり殺したりするのが好きになってるんじゃないかとさえ思ってますよ、何度も夢に見るので」


老人「はは...おぬしも人の子か痛みを感じてないだけで、内心ではちゃんと恐怖しとる、そういうのは大事にした方がええぞ」


「そうしときます」


装置の解体が終わり、老人が装置のプロセッサーを工具で打ち壊す


老人「終わったか...さあもうお行きなさい、それと...もし娘にあったら伝えてくれすまんかった と」


老人が銃を自分の頭に突きつける


「わかりました」


通路を出るとカメラに内蔵された追跡信号が近づいてくる


(まさか食われたとか?なんでここが分かったんだろ)


少女が怪物に追われている姿がライトの明かりの端に見え始める


防火シャッターの開閉装置を叩いて怪物をシャッターで潰す


(一体抜けてきた)


少女に向かう怪物の攻撃を両腕で受けていなす


「カメラ使って!」


カメラのフラッシュで怪物が固まる


「もう喋っていいよ、このままいけば地上だからついてきて」


少女「ちょっとその腕!大丈夫なの」


「大丈夫、真空管の過熱が終われば治るから、それよりも進まなきゃ、後ろの怪物はそんなに長く固まってないよ」


少女「うん」


暗い通路を二人で歩きながら話す


少女「そういえばお父さんはいたの?」


「居たよ」


少女「じゃあ」


「責任を果たした」


少女「悲しいけど、よかった...人間として最後を迎えたみたいで」


そう話している内にハッチが現れた


「先に行って、私は後ろを守るから」


少女の手を取って引き上げる自分の後ろに立たせる


少女「痛ッ」


「ごめん、手に金属か何かが刺さってたみたい」


後ろから迫る足音が徐々に大きくなる


手元で生成した銃でハッチを撃って開ける


「登って」


少女「う...うん」


少し姿勢を落として怪物の群れに照準を向ける


拍動する木に人の体を実らせたような怪物を背に異形の群れが眼前に迫る


金属音と共に怪物の体がはじけ、壁が赤熱して溶け、腕から湯気が立ち昇り静寂が訪れた


ハッチから出ると、森の隙間から朝焼けがかすかに見える草原だった レーダーで辺りを捜索する


(周辺7キロ内に一つを除いて生命反応なし)


後ろから少女が話しかけてくる


「あの...助けてくれてありがとう」


「あれ?まだここにいたんだ」


(追跡装置が無駄になったかも)


「うん...でもあたし、もう行かなくちゃ」


少女が背を受けて走っていく


銃声が一発響く


倒れた少女に近づく


少女「な...ぜ...」


「私にも魂が見えるからね、騙せると思ったの?」


少女「なんだ君、知ってたんだ...でもなぜ わたしをここまで泳がせたの?」


「知りたかった、あなたがこっち側か、奴らと同じなのかを」


「原子プリンターで複製された時、何かが入り込んで複製で補填されたの質量分、魂が奴らに入れ替わって


浸食されて形而学上の人以上人未満になる、でも元を正せば奴らも同じ源素の情報体」


「それって私達AIと同じじゃない?特にあなたみたいに丸ごと複製された自我のある個体は」


「昔の人たちは宗教っていうよくわからない技術で免疫つけてこのバケモノと戦ってたけど、今の時代にはないから真贋つかないけど」


「知りたいの、あなたはどっち側?」


少女「...」


2発の銃声が響く


(答えは永遠の謎、ね)

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