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女性が少ない世界でVTuberやります!  作者: ブル(犬川)


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25話 エドヴィンの帰還



エドヴィンさんがフリードリヒ君を迎えに行って5日経つ。

メールをしても「大丈夫。心配しないで」と来るだけで、電話をしても繋がらず心配だ。

彼のドイツ行きは私が思っていた以上に危険だったみたいで……

普通に遠出することを心配していた私と違って、なんか真面目な顔で別れ話をしていたお兄ちゃん達が気になって。

こっそりスレを覗いてしまった。

そこは呪詛に溢れた地獄のようで、怖くてすぐ閉じてしまった。

画面いっぱいに「憎い」の文字。

夢に出てきた。怖かった(´;ω;`)


あの呪詛は夫候補になった2人に向けられたもので、エドヴィンさんを名指しで妬んでる人もいた。

あの量の呪詛……殺されるんじゃないかとめちゃくちゃ不安になった。

でも出かけてからずっとエドヴィンさんに電話は繋がらず、メールも殆ど返信がなくあっても「大丈夫」「心配しないで」の一言だけ。

心配するなと言う方が難しい。

悪い人に捕まってるんじゃないだろうか、殺されてて他人がなりすましメールしてるんじゃないのかとか。

そんなことばかり考えては益々不安になっていった。








「元気がないわね花美。そんなにエドヴィンが気になるの?」

「うん。すごく気になる」

「そんなに気になるなら追いかけてドイツまで行けばいいわ」

「そんなのダメ!」

「それは駄目だ!」

「「「それはだめです!!」」」



この5日間はみんなに心配をかけてしまい申し訳なく思っているが、こうやって少しでもドイツに行く話しが出ると一斉に大反対してくる。

麗華ちゃんは行けばいいと言ってくれるけど、マリアちゃんお兄ちゃんその他の人々は絶対だめだって止めてくる。

なんで麗華ちゃんの護衛やマリアちゃんのお父さんまで反対してくるんだろう?

アーヴァさんは「花美が行きたいなら」って私に賛同しようとして暫くの間どこかに連れてかれて……

戻ってきたら顔が腫れてて落ち込んでた(´;ω;`)

一体何があったの?? 男同士の話し合い!? なんで顔が腫れるの!?



「女性が国外に出るなんて危険だし私だって反対よ?

 でもここ数日の花美はずっと暗い顔してるんだもの。そんな気になるなら行って確認した方が早いわ」



呆れたように溜息を吐いてから賛成理由を教えてくれる麗華ちゃん。

うぅ、心配かけてごめんね(´;ω;`) でもありがとう!

それだけ女性が国を移動するってことは危険なんだろうなと私でも思うよ。

この世界では世界旅行なんて女性はできないし、国内旅行も難しい。女性が国を出ることは許されていないからね。

絶対にできないわけじゃないみたいだけど、とにかく止められる。

そりゃ少ない女性に出て行ってほしくないのは分かるけど、エドヴィンさんとフリードリヒ君のこと気になるもん。

迎えに行くよう言った私にも責任があるから。2人に何かあったらと思うと不安で……

重い溜息を吐く私をマリアちゃんはギュッと抱き締めてくる。これは慰めてくれてるわけじゃなく行かないように拘束してるんだよね(^_^;)

麗華ちゃんはそんな私達を見てやれやれと首を横に振る。

そんな感じで日々を過ごしていたんだけど……



「ただいま戻りました花美」

「えっ!? …エドヴィンさん!?」



声をかけられ振り返るとそこにはエドヴィンさんと、入学式で初めて直接会った英和(ひでかず)お父さんがいた。

英和お父さんは海外をあちこち飛び回っている外交官で中々こっちに戻る時間がなく単身赴任状態だった。

何とか時間を作り入学式に来てくれたけど、ちょっとしか話せなかった。

私からすればテレビ電話で話たことはあるけど初めて会った人だから緊張しちゃうし、娘さん乗っ取ってるみたいな状況で気不味さもあるんだけどね。

すごく可愛がってくれてるのは分かったよ。

それが今ベルギーに外交でいるからってエドヴィンさんに同行してくれたんだ。

英和お父さんも私の配信を見てるらしく、彼だけだと大変だろうからって。

そんな2人が、なぜか所々怪我して服もなんかボロボロで薄汚れている酷い状態で立っていた。



「えっ、なっ、なんで怪我してるの!? 大変!すぐ手当てしないと!」

「大丈夫だ。落ち着きなさい花美」

「そうです大丈夫ですから心配しないで。ちょっと銃弾がかすっただけですから」

「なんで銃弾がかするの!?」



驚く私に苦笑いする2人だが苦笑いで済まないよね!?

「ちょっと銃撃戦になって。それに国から出さないとか言うから脱走するのに手間取って…」とか英語でお兄ちゃんとアーヴァさんに報告してるけど分かりますから!

なんでそんなことになってるの!?

慌てる私に「大丈夫大丈夫」と血が出てる状態で言う2人を保健室まで連れて行こうとしたとき、エドヴィンさんの抱えるものに気付いた。



「えっ、それ…」

「フリードリヒです。疲れたみたいで眠ってしまって」



エドヴィンさんが両腕で大事そうに抱えていた布の塊から、わずかに見えたあどけない顔。

真っ白な肌だが健康そうな赤い頬、水色の髪と睫毛で目を瞑るビスクドールのような愛らしい顔。

「ふわっ、可愛い!」

思わず声を出してしまい慌てて塞ぐ。

こっちでは少ないが赤や青や緑とか現実に存在しない髪や目の人がいるが、エドヴィンさんの息子さんも水色の髪なんて珍しい色をしていた。

それも幼いながら長い睫毛にクルッとした癖髪が可愛らしい!



「うわ〜天使みたい」

「あら本当、可愛らしいわ」

「うわっ、お人形さん!! っ!」



エドヴィンさんの腕の中を覗き込んでいたら、酷い惨状の2人の登場に遠く離れて行った麗華ちゃんとマリアちゃんが戻ってきた。

同じように覗き込み大きな声で「お人形さん」なんて言うマリアちゃんの口を慌てて塞ぐ。

驚いて私を見るマリアちゃんに「起きちゃうから!静かに!」と小声で叱るとコクコク頷いてくれたので手を離す。

そっとフリードリヒ君を確認するもスヤスヤ寝たまま目を覚まさなかった。

「色々あって疲れてるんですよ」

と言うエドヴィンさんの表情は優しい父親の顔をしていてホッとした。

良かった!ちゃんと息子さんのこと大事に思ってるんだね!



「こんな小さな子初めて見たわ」

「ほんと!小さくて可愛い!」



エドヴィンさんから少し離れ喋っている2人に驚くと、英和お父さんが「息子が小さいうちは何をするか分からないから、ある程度大きくなるまでは娘とは会わせないようにするんだよ」と教えてくれた。

なるほど。

でもキャッキャッしてる2人を見ると、女の子は可愛いものが好きだからね、触れ合わせるのも大事な気がする。

弟の面倒を見て優しい子になるんじゃないかなと思うけど、男の子が何かして女の子怒らせたら収拾つかなくなるのも分かるからしょうがないのかな。

うちの蓮は5歳で、最初のうちは家族…特に弟達が私達を引き離そうとしたのもそのせいだよね。

蓮を心配する気持ちも分かるから複雑だったよ。






触りたいとはしゃぐマリアちゃんを落ち着かせて、3人を保健室へ連れて行く。

保健室に着いて保健の先生と一緒に手当てを手伝った。

お兄ちゃんや周りの人からは止められたんだけどね、私が手当てした英和お父さんは「花美がこんな優しい子に育って…」と涙ぐむから治療し辛かったよ(^_^;)

昔の私がワガママだったのは知ってるけど、どれだけ酷かったんだってその度に思う。

これからは良い人間になれるよう努力していくからね。

それと、私としてはドイツでの旅のことを知りたかったんだけど、お父さんは殆ど家に帰れずどれだけ私達に会いたかったかと長いこと溜まっていた愚痴を沢山話してくれた。

「ジャックのせいでどれだけ俺に負担がきたことか!」と。なんか大半がジャックお父さんの悪口だった。

米軍だったお父さんがお母さんに恋して、色々調整とかしなきゃいけないのに強引に辞めて結婚したから周りに多大な迷惑をかけたらしい。

今もお母さんと一緒にいたいと言いだしては仕事しなかったりして、そのしわ寄せが全部英和お父さんに来てるらしい。

ジャックお父さん……



「ジャックお父さんは酷いね。英和お父さんはすごく頑張ってるんだね!いつもありがとう」

「花美!」



お礼を言ったらギュッと抱き締められた。

「こんな良い子に育って!攫われないかお父さん心配だ!!」なんて騒いでいた。

落ち着いてもらう為に背中をトントンしてたんだけど、中々お父さんの興奮は収まらなかった。

黒髪をビシっと後ろに撫でつけ切れ長の目の一見冷たさそうな見た目の章司お父さんと似たタイプの人なのに、結構甘えん坊みたいだ。

「ふふ。お父さんは子供みたいだね」と笑ったら、突然真面目な顔をして「花美、お父さんと結婚しようか?」なんて冗談言うからビックリした。

その後お兄ちゃん達がブチギレて大喧嘩したのは勘弁してほしい。

保健室がめちゃくちゃだし、来たとき以上怪我してるしもう!



英和お父さんの花美への言葉は8割本気です。

ジャックお父さんのせいで本当に心身共に疲れてるので、花美の優しさが身に染みる(^_^;)

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