17話 女子寮の中は中々豪華です
ドアを開けると玄関はなく入ってすぐに広々としたリビングと左側にダイニングキッチンがあり、奥にはベランダが見える。
リビングとダイニングキッチンの間には一部にしか壁がなく開放的なのですごく広く感じる。
白いソファとテーブルセットに、これまた白いダイニングチェアはクッションつき。アイランドキッチンは明るい茶色の木材にテーブルはこれまた白い。
全体的に白で統一してるのかな。床はクリーム色だけど白っぽいし壁も白いから。
ベランダの窓からは寮までに通った花がいっぱいのレンガ道も見え景色が良いし、白いガーデンテーブルセットがあるのでベランダでティータイムをしたら楽しそうだ。
それから、リビングの右側の壁際真ん中辺りから廊下になっていてドアが右に2つ、左に1つある。左の部屋はベランダの隣に突き出ている。
「ふぁ〜、ほんとに広いね。ここからリビングもダイニングも、ベランダからは外まで見えるから一層広く見えるのかな?」
「女子寮はどこも金かけてるからな。学校としてもできるだけ女性に通ってもらいたいんだろ」
「そっかぁ。ん?そこの2つの部屋のドアよりこっちのドアの方が豪華なのはなんでだろ?」
「そこが女性の部屋だからですよ」
「えっ、そうなんだ」
部屋をあちこち見ながらお兄ちゃんと喋っていると、右側にある3つの部屋を見て不思議に思った。
廊下を挟んで左に1つ豪華なドアの部屋が、右に2つ普通のドアの部屋があった。
エドヴィンさんから豪華なドアの部屋は女性の部屋だと教えてもらい、中に入ってみる。
まず入ってすぐに、先程のリビングよりは小さいが、十分広いリビングがあった。
左右には扉があり、右側のドアを開けると茶色の落ち着いた家具にお姫様ようの天蓋つきの真っ白なベッドのある寝室があり、
反対の左側のドアを開けると化粧室がありそこからドアが2つあって風呂・トイレがあった。
「うわぁ〜すごい広い!家具が落ち着いてる分ベッドが目を引くね」
「こんな地味な色の家具で良かったのか?父さん達は今の花美はこういう色が好きだからって言うからさ。
ベッドだけは女の子が喜ぶように天蓋つきのにしたんだが、昔花美が好きだったピンクを俺は推したんだが父さん達が反対してな」
「あ、ありがとうございます!ってかこれ全部お父さん達が選んでくれたんですか!?」
「ん。そりゃ女の子の嫌がる部屋じゃ意味ないからな。学校と両親が話し合って家具や壁紙や床も全部決めるんだよ。今回は保護者の俺も参加してな」
「壁紙まで……」
お兄ちゃんの話を聞いて遠い目をしてしまったのも仕方ないだろう。
お金持ちのスケールでかすぎ問題。
それから隣の2つある部屋も見せてもらった。
「こっちの2つの部屋に俺達が住むんだ。それぞれの部屋に風呂・トイレついてるから、顔合わせたくなきゃ部屋から出なければいい」
お兄ちゃん達3人が住む部屋はベッドとタンスが置いてあるだけのシンプルな部屋だった。
奥にドアがあってお風呂とトイレもあるけど、私の部屋と比べると酷い差だ。
いや普通にホテルの部屋くらい広いけどね。女性の部屋が広すぎ豪華過ぎなんだよ。
しかも同じ広さの部屋が2つあるけどお兄ちゃんは1人で、アーヴァさんとエドヴィンさんは2人一緒なんだって。
なんか私だけ広くて豪華な部屋で申し訳ないな。
……というか、
「お兄ちゃんも一緒に住むの?」
「こいつらが花美に悪さしないとも限らないからな。誰が監視で住むか喧嘩になったんだけど、父さん達は母さんを守らなきゃいけないしシュン達はまだ学生だろ?
だから俺が側でしっかり監視してやる」
ギロリとアーヴァさんとエドヴィンさんを睨むお兄ちゃん。
厳しい試験を受け合格したのにその信用のなさは何なの?
ほんと失礼だよね。
でもさお兄ちゃん!
「お、お兄ちゃん会社は? それに結婚してるって聞いてたんだけど」
「会社は女性関係なら優先的に休めるから心配ない。離婚したしそっちも問題ない」
「えええ!?」
衝撃の事実に仰天する。
お兄ちゃんがいることも独り立ちして出て行き結婚したってのも聞いてたのに、まさか離婚してるなんて!
女性関係なら休めるってのも驚きだけど、離婚の方がインパクト大きくて全部そっちに持ってかれたよ。
なんて言ったらいいのかオロオロしてしまう私の頭をお兄ちゃんが笑いながら撫でてくれるが、その内容はあまりに衝撃的だった。
「ハハ。しょうがないだろ?メイみたいな魅力的な女性を見ちまうと、妻が煤けて見えてさ。
愛せなくなるのもしょうがないだろ?」
「……え?私のせい?」
頭をハンマーで殴られるようなそんなショックを現実に体験するなんて思ってもみなかった。
呆然とする私に、困ったように微笑みながらもエドヴィンさんが追い打ちをかけてくる。
「私も妻と離婚しています。結婚なんてもう懲り懲りだと思っていたのですが、貴女を知ってまた結婚したいと思ったんです。
貴女を知った者が他の女性を愛せなくなるのは仕方ないことですよ」
その言葉に頭が真っ白になる。
私のせいで離婚した夫婦がいるなんて考えたこともなかった。私、本当にとんでもないことしちゃったんじゃないの?
そんな自責の念で俯く私をアーヴァさんの優しい声が慰めてくれる。
「わたしはけっこんしてないですヨ!じょせいに、きょうみなかった。こいびともいない。いたことない。
おや、しんぱいさせてた。でも花美にあってこいした。すごくしあわせ、ですヨ!」
「あ、……うん。ありがとう、ございます」
なんとか笑みを作って笑ったのに、3人は心配そうな顔をして私を見ている。
いけない、もっとちゃんと笑わないと!
「そうなんですね!なんか、申し訳ないなと思っちゃいました!ごめんなさい」
「謝るな!」
明るく言ったらお兄ちゃんに怒鳴られて、驚いて硬直してると抱き締められた。
「ああ違うっ、そうじゃない!メイのせいじゃないんだ!
俺達がお前しか愛せなくなっただけでっ、だからお前は悪くない!」
「今までの夫婦の関係は一方的に男性が我慢して女性に合わせて何とかできていただけのものなんです。
花美のことを知って、自分達がおかしかったと男性が気付いた。ただそれだけなんです。
貴女が責任を負うべきことじゃない」
「そうよ〜!だからわたし、じょせいにきょうみ、わかなかった!
いっぱいがまんするかち、ないと思ってたの!花美にあうまでは!」
お兄ちゃんに抱き締められてアワアワしてたんだけど、3人が必死な慰めてくれるから何だか笑えてきて、我慢できずクスクス笑ってしまった。
いけない、笑い事じゃないのに3人が必死にアワアワしながら慰めてくれるから……
「大和、いつまで花美にくっついてるんですか?離れなさい」
「はあ?兄妹のスキンシップに何嫉妬してんの?器の小せぇ男」
「や〜ま〜と!きょうだいでけっこんできる。だからあなたはただのケモノ。はなれろ」
「アハハ!待って、兄妹で結婚なんてしないよ!おっかしい〜」
なぜか3人は喧嘩を始めて、しかもお兄ちゃんと私が結婚なんておかしな話が出るから余計笑ってしまった。
笑いながらお兄ちゃんを見るとなぜかガックリと項垂れていて、さっきまで怒っていたアーヴァさん達はニコニコしていた。
???
もしかしてお兄ちゃん、ジャックお父さんが言ってたみたいに小さい頃私に「大きくなったらお兄ちゃんと結婚する〜!」って言われてたの?
覚えてないけど、そしたら申し訳ないな。
「え、えっとお兄ちゃん。私はお兄ちゃんがいてくれてすごく嬉しいです!
あの、覚えてなくてごめんね」
壁に両腕を置いて項垂れるお兄ちゃんを元気づけようと声をかければ、チラリとこちらを向いたお兄ちゃんと目が合う。
にこっと笑いかければ「可愛い!うちの妹が可愛すぎる!!」と叫んで抱き締められた。
う、う〜ん。この短い時間で理解したよ。お兄ちゃんめちゃくちゃシスコンですね。
嬉しいけど恥ずかしい。
今もアーヴァさんとエドヴィンさんが私達を引き剥がそうと躍起になってるよ?
ちょっと落ち着こうかお兄ちゃん。




