君の気持ちを僕は知らない 2 ※BL
がっつりBLです。ご注意ください。
君の笑顔を閉じ込めて
僕の中で生きて
そしたら僕は
どれだけ幸せなのだろうか
clarity love 君の気持ちを僕は知らない
土砂降りは夕方以降も続いていた。香南が早めに帰ってくることが事前に連絡されていたため七海は早々に買い物に行けて何とか雨からさけることができた。
香南がゆっくりとご飯を食べれるということで豪勢にすき焼きにした。
具材を切るとさらに敷き詰める。そして双子を呼び出す。
「お手伝いさん集合してくださーい」
「「はーい」」
香南と一緒にテレビを見ていた双子は勢いよくキッチンに入ってきた。
双子のほうを振り向くと香南も双子の後ろからついてきていた。
「そのお手伝いさんってなんだ…?」
「えっと二人も小学一年生になりますし、いろいろお手伝いしてもらおうと思いまして。」
「おてつだいするー!なにする??」
「おてつ、だい!」
双子たちは嬉しそうに七海のそばで待機していた。香南も納得するとその双子の後ろに待機した。
「え?」
「俺もお手伝いさんだ。なにしたらいい?」
「にーちゃもおてつだいさん!」
「おてつ、だいさん!」
双子の後ろに並んでいる香南があまりにも不自然すぎて七海は思わず笑ってしまった。
香南は七海がなぜ笑っているのか全く分かっていない様子だった。それがまた七海のツボを刺激した。
七海が何とか笑うのを抑えて3人にお皿やお箸を並べてもらう。ホットプレートはもちろん香南が用意をした。
久しぶりのすき焼きに双子は大興奮で早く早くとせがんできた。
「それでは本日はすき焼きです。瑠唯と美羽はプレートに触らないこと。私と香南さんがよそってあげるからね」
「ああ。まかせろ」
「「はーい!」」
「では、お野菜投入です!」
さっそく第一弾を作り始めようとすると突然チャイムが鳴り始めた。
「こんな大雨の中誰でしょうか…?」
「俺が出てくる。」
香南は席から立つとインターフォンに向かった。
「どちらさま、ってなつ?おい、どうした?!」
インターフォンを取った香南が突然焦った声を出す。
「夏流さんがどうかなさったのですか?」
「わからん。」
香南と七海は急いで玄関に向かう。ドアを開けるとそこには土砂降りの中傘も差さずにずぶぬれになった夏流が立っていた。
これでは風邪をひくと七海は夏流にお風呂に入ってもらった。
案内した時も声を発することなくただ頷いていただけだった。
七海は心配そうにリビングでうろうろしながら夏流がお風呂から上がるのを待った。
双子たちも食事を中断しどこか不安げに七海を見つめていた。
「なつにーちゃ、どうしたの?」
「ど、したの?」
「ああ。ちょっと、元気がないみたいなんだ。」
「おなかすいたのかな?」
「ななちゃの、ごはん、げんきに、なるよ!」
「ああ。そうだな。」
香南は双子のそばで安心するように二人の頭をなでてあげていた。
しばらくするとリビングのドアが開いた。目が腫れており元気のない夏流に七海はどのように話しかけたらいいのかわからなかった。
夏流をソファのほうに案内しソファの机の上にお茶を置く。
「あの、夏流さん、お茶入れましたのでもしよければ…」
「ななちゃん、ごめん。」
小さな声で謝罪をする夏流。そんな彼に七海は首を振る。
「いいえ。お菓子もたくさんありますし、ご飯もよろしければ今日は豪勢にすき焼きなんです。食べていってください。」
「…」
反応のない夏流の隣に七海がそっと座った。
「えと、あの…」
「ななちゃん、僕、バカなんだ。」
「え?」
不意にしゃべり始めた夏流に七海は反応する。
「こんな気持ち、許されるわけないのに、気持ち悪いよ。自分が。」
夏流が自分自身をぎゅっと抱きしめる。
「男が男を好きになる?ましてや両想いになるなんて奇跡に近いよ。そんなこと信じてた自分がすごく、すごくバカで、まぬけで…」
再び夏流の目から涙があふれ出る。七海はこの会話で周と何かあったことを悟った。
しかし自分と全く違う恋愛である。男と男、理解してあげたくてもできないもどかしさがあった。
「夏流さん…」
「消えたいよ。このまま。泡のように消えていきたい。」
予想以上に強く自分を抱きしめているのか爪が皮膚に食い込みそこから血が流れていた。
七海が声をかけるのに悩んでいると不意に後ろから夏流のその血を流している手をつかまれた。
「なつ、ふざけるな。」
「かな、…」
「消えたいなんて、絶対に言うな。特に俺や七海、双子の前では。」
夏流ははっとしたように七海のほうを見る。七海は笑っていたがとてもさみしそうな顔をしていた。
香南は夏流の前に立つと夏流のおでこにでこぴんをした。
「いたっ!」
「お前たちの愛はそんなもんだったのか?その奇跡、信じ続けようとは思わないのか?」
「けど!!!」
「俺が!俺がどれだけお前たちの愛をうらやましく思っていたのかわかんねえのか!?」
香南が夏流の方を揺さぶりながら叫ぶ。
それはまるで高校時代に言えなかった想いを叫んでいるようだった。
いつも隣で見ていた二人。
異様な光景でけれども暖かい。
そんな二人を見るのが苦しくて、けれども嬉しくて。
「香南…」
「なつ、周が何をしたのか知らねえが、俺は奇跡をこれからも信じ続けてほしいと思う。俺の、初めて見た愛をこれからも見せてほしいと思ってる。」
夏流は香南を見てから七海を見た。そこには先ほどと違い本当の笑顔で笑っている七海がいた。
「私にはお二人の気持ちがわかってあげれません。けれど、周さん違うんですよ?」
「…何が?」
さらに七海はクスリと笑い思い出したように話を続ける。
「私たちの接し方と夏流さんに対する接し方。いつも違うんですよ?夏流さんに対してはいつも見守ってるようなオーラがあるんです。だから私はいつもお二方を見ていてぴったりだなって思ってるんです。」
「ななちゃん…」
「だから、ぜひ、自信を持ってください。万が一周さんが何か言ったときは私、周さんを殴りに行きます!」
「なっ七海!?」
流石の香南も声を出して驚く。
「ですから、まずは、そうですね…」
ちらっと後ろを見る。そこには双子がすき焼きの入った茶碗を持ってきていた。
「なつにーちゃん!これ、ぼくがえらんだおにくととうふとこんにゃく!」
「ぼ、ぼくは、たまご、といだっ!」
「美羽、瑠唯…」
「「だから、げんきだして?」」
双子がコテンと首を横にかしげながら話しかける。
さらに七海がにっこりと笑う。
「ご飯を食べて敵の侵略に備えましょう!」
この後勝手にすき焼きをホットプレートからよそった双子は七海に怒られます。(笑
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