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そうだ、免許を取ろう! 03

黒くて暗くて







心が煮えたぎるようだ







君は僕を知っているかい?










clarity love 番外編











1時間後、香南はトンビラ山に到着した。

平日だからか休憩所には数台停まっているがほとんど老人たちだった。

休憩所があったためそこに車を止め近くの自動販売機でコーヒーを買い飲み始める。

そうしないと心が落ち着かなかったからだ。

すると下りのほうから一台の教習車がやってくる。注目するとどうやら七海が運転している車だった。

駐車もどことなくふらついているが、ちゃんとできていた。

香南はほっとしていると中から人が出てくる。七海にばれては危ないとなるべく物陰に隠れることにした。

見ていると七海以外全員男だった。講師は何か話すと早々に喫煙所へ向かっていた。

その他の男たちはなれなれしく七海に話しかけていた。

香南の缶を握る手が強くなる。

耳をすましていると少しだけであるが話が聞こえてきた。

「日向さん運転うまいっすよ~!俺帰りするのつらいです」

男Aは七海に向かってべらべらと喋り捲る。

「ええ、そんなことないよ。いっぱいいっぱいだったもの。」

「けどこれでまた免許に一歩だね!七海ちゃんは車とか買う予定なの?」

男Bはなれなれしく七海の方に触れていた。

「え?あー…えっと、一応もううちにあって、それに乗るために免許を取るというか…」

「えええ?!もうあるって…七海ちゃんち金持ち…?」

「すげえ…」

「いやいや!」

「だって七海ちゃん来てる服かなり高級なブランドのじゃん。」

「ちっちがうの、私はお金持ちではないの。その、車は親の形見というか…」

「あーわりい。変なこと聞いちゃったね。」

「大丈夫。私こそごめんなさいね。あ、のどかわきませんか?ジュース買ってきますね。」

七海もどこかしら砕けたしゃべり方である。

香南の心のもやもやはイライラに代わりいつしか缶の形が変わっていた。














香南のイライラが頂点に達する中七海がこちらの自動販売機に向かってきた。

これ幸いと七海がジュースを買おうとするところを見計らって後ろから声をかける。

「えーっと…どれにしようかな…」

「変に甘いものを飲むと酔うかもしれないぞ」

「へ!?」

七海が驚いて後ろを向く。

「か、香南さん…!?」

どうして?というように目を見開き香南の方をむく。

香南は壁に手を付き七海を壁へ追いやる。

「それより、あまりなれなれしく男に近づくな。」

「え?」

「これ。」

そう香南が言うと七海の左手を持ち上げる。

「指輪。ちゃんと奴らに見せつけろ。自分はもう旦那がいるって。なんなら俺の名前を出してもいい。」

「香南さ…?」

「あんな軽そうな奴ら、七海の周りに置いておくだけでもイライラする…」

唇をかみしめ香南が舌打ちする。

七海はぽかんとしていたがそのうちくすくすと笑い始める。

「なんだ?」

「いいえ。香南さん、それ、私喜んでもいいのでしょうか?」

「…は?」

今度は香南が訳が分からないと七海を見つめる。

ますます七海は笑い始める。

「香南さん、私嬉しいんです。」

「どうして?」

すると遠くから七海を呼ぶ声が聞こえてきた。振り向くとどうやら休憩時間が終わりのようだった。

七海は香南の手を握り締めた。

「帰りはなるべくお話しません。旦那さんがいるってはっきり言いますよ?自慢しちゃいます。」

そして誰にも見えないように香南の陰でこっそり香南の左手の薬指にはまっている指輪にキスを送り再び笑顔を見せる。

「香南さん、それは嫉妬っていうんです。」










香南がぽかんとしている間に七海は教習車まで戻ってきた。

すると一緒に受講していたとこたちがやってくる。

「日向さん大丈夫っすか!?なんかナンパされてましたけど…いい車乗ってナンパするなよな…」

「七海ちゃん俺から言ってこようか?変なことするなって」

遠くから見ただけであったが、いい車に乗った男ということである程度怖気づいていたようだった。しかし七海のためならばと二人は意気込んでいた。

心配の声に七海は苦笑しながら答える。

「いいえ。あれ、私の旦那なんです」

「「…へ?」」

びっくりしている彼らに左手を見せる。

「私、結婚してるんです。」

その時の七海の笑顔はいたずらに成功したようなそんな顔だった。

のちに男Aは語る。

「山岳教習で一緒になった女の子がすげえ子で…絶対金持ちのお嬢様だった!なのに結婚してるとか…ないよなあ…けどその旦那って言われた人どこかで見たことあるんだよな」

のちに男Bは語る。

「うーん高級なものばかり身に着けているからいいカモになるかなと思ったけれど、もうすでに旦那がいたとはね。しかも山岳教習についてくるなんて。あれは俺にも無理だったなあ。」









数日後七海の実技本試験が行われた。

心配な日向家の男たちはこっそりとルートを聞き散歩がてら自転車で近くまで来ていた。

「あ、七海だ。」

「ほんとだー!」

「ななちゃん、がんばれー」

七海はもちろん気づいていないが前よりもふらふらしていないところを見るとどうやら受かりそうであった。

帰ってきた七海の答えはVサイン。香南はもちろん双子も大喜びだった。

次の週には都内の学科試験を受けに自動車センターへ向かいそれまた一発合格だった。

そしてようやく七海は車の免許を取得することができたのだ。

「香南、電話。」

「!?ああ。」

香南は仕事をしており苦笑した雅からいつものごとく携帯を受け取る。

そしてスタジオから急いで外へ出た。

「もしもし」

『香南さん!私やりました!無事取れましたよ!』

「そうか、やったな!」

香南はまるで自分が取得したかのように喜んだ。

七海はようやくてんとうむしをはばたかせることができるようになったのであった。

後日、事情を知ったメンバーからお祝い会を開いてもらった。

そこで香南が山岳教習についてきたことが七海によって暴露され香南はまたもやいじられることになったのは言うまでもない。

何やら無理やり感ありますがこれにて終了です。

香南君初めての嫉妬の回(笑



活動報告にておまけ書きます。もしよければ見てやってください。


拍手いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします!



追記:29日朝に途中追加しました。

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