アルテミスの怒り
第一回人気投票第一位だった双子の話です
きみがひかりで
ぼくがかげ
まるでせいはんたいなぼくたち
clarity love アルテミスの怒り
「うわああああああん!!!みうなんかだいっきらい!!!」
二階で洗濯物を畳んでいた七海に聞こえてきた突然の叫び。
驚いた七海は急いで下へ降りるとそこには号泣している瑠唯とどうしたらいいのかわからず立ちすくんでいる美羽が立っていた。
「ちょちょっとどうしたの…」
二人のそばへ駆け寄ると瑠唯は泣きながら二階へ上って行ってしまった。
美羽を見ると徐々に目には涙が浮かぶ。
「うわああああああん!!!」
「えええ…」
今度は七海が立ちすくむしかなかった。
香南は上機嫌だった。
仕事が思った以上に早く終わり七海や双子たちと長くいることができる。
明日はオフ、今日はゆっくりと3人の話を聞こう。そう思いながらドアを開ける。
「ただいま」
玄関の棚にサングラスを置くがなかなかお出迎えがない。
いつもだと双子が走って自分のほうへ向かってくるがそれがない。
電気はついていたのでいるはずなのにおかしいと思いながらリビングへ向かう。
「ただい…ま…」
そこには元気がない美羽とそれに元気に声をかける七海が夜ご飯を食べていた。
「あっ香南さんお帰りなさい!ほら、美羽、香南さんが帰ってきたわよ。」
「…」
「こら、おかえりなさいは?」
「…なさい」
「あ、ああ、ただいま…」
ソファに荷物を置き美羽に近づくと美羽の目は真っ赤に腫れていた。
「美羽どうしたんだ?…瑠唯は?」
瑠唯の言葉を聞くと美羽は肩をびくっと上げ唇をかみしめる。
そして静かに泣き始めた。
「ああああ、今ちょっとそのワードは…」
「は?」
「ふえええええ、」
「あああ、わかったわかった!男でしょ?泣かないの!ほら早くご飯食べてそしたらもう一回謝りにいこ?」
その言葉にこくんと頷くと鼻水をずるずるたらしながら美羽はご飯を食べ始めた。
七海は少しため息をつくと香南の方を向いた。
そして少し離れたところに行くとひそひそ話をするように香南の耳に顔を寄せる。
「実は、双子が喧嘩しちゃったんです」
「喧嘩?」
まさかというように香南は七海を見やる。しかし七海は苦笑するばかりだった。
双子は仲がとてもいい。今まで喧嘩など見たことがなかった。
そんな双子がまさか喧嘩するとは思ってもみなかったのである。
「どうして?」
七海に従いひそひそと話しかける。
「最近瑠唯大好きなものを最後に残す食べ方をするようになったんですよ。ところが美羽は好きなもの最初に食べるものだから、嫌いだと思っちゃって、お菓子に出したショートケーキのいちご、瑠唯が最後に残しておいたのに食べちゃったらしいんです。」
「それは…」
美羽にとっては親切で食べてあげようと食べたのにまさかそれが好きなものだったとは思わなかったのだろう。
しかも瑠唯がひっそり好物としていたいちごだ。つい怒りが爆発したようだった。
美羽を見るとどうやらご飯を食べ終わったところのようだった。
「じゃあいこっか。」
「うん…」
「待て、俺も行く。」
香南は美羽に近づき美羽と同じ身長までかがむと目を合わせ頭をなでる。
「瑠唯もわかってくれるはずだ。な?」
「うん…」
2階へ行くと七海は双子の部屋と書かれたタグがかかっている部屋の戸をノックする。
「ななちゃんだよー美羽謝りに来たから入れてあげて。」
「るい、ごめんな!ごめんなさ…」
香南は優しい瑠唯のことだからちゃんと許してくれると思っていた。
しかし、食べ物の恨みは恐ろしいということを知ることとなる。
「しらない!!」
半分ぐらい意地になっているところもあるかもしれないが、まだまだ起こっている様子だった。
時間がたっているのだから許してもいいだろうと七海もつい躍起になってしまう。
「こらーっ!ちゃんと謝ってるんだから!許してあげなさい!!」
「しら、ないっ!!!わああああんんっ!!!!」
七海の言葉がよけい腹が立ったのか再び泣き始めた。
瑠唯の泣き声が響く中、七海がため息をつく。
「これはだめね…美羽、明日にしよ?今日はななちゃんの部屋で寝よ?」
美羽が泣きそうな顔でこくりとうなずいた。
下に降りると七海は美羽に風呂に入るよう促す。
そしてその間に香南にご飯をよそう。
「私美羽を風呂に入れてきますのでご飯食べていてもらえますか?」
「ああ…けど瑠唯は食べたのか?」
その質問に七海は首を横に振った。
「呼んでも出てこないので…あとからおにぎりを持って行ってあげようかと…」
「ならおれが持っていこう。おにぎりも俺が作るし、七海は美羽についていてあげてくれ。」
「けど、香南さん疲れていらっしゃる…」
「大丈夫だ。瑠唯は何が好きだったっけ?」
「えっと、昆布が好きです。それではお願いします。」
「ああ、まかせてくれ。」
七海にもあれだけ反論したのだ。おそらく七海が持って行っても相手にしてくれないと思った。
だからこそここは自分が言って仲裁に入らなければと香南はおにぎりを作り始めた。
「おい瑠唯、俺だ。おにぎりもってきたぞ。」
二階に上がりドアをノックするが鼻水をすする音はするものの返事がなかった。
「一緒に食べよう。ほかの二人はいないから。」
「…」
「…」
「…」
「…瑠唯のために、作ったおにぎり、いらないか?」
しばらくするとドアがゆっくりと開いた。
そこには美羽以上に目を真っ赤にはらした瑠唯がタオルケットをもって立っていた。
再び目に涙がたまると香南の足にギュッと抱き着いてきた。
「中で食べよう。瑠唯の好きな昆布だぞ。」
瑠唯はズボンに引っ付きながらこくんとうなずいた。
部屋に入ると電気がついていなかったためつけてやる。
そして瑠唯の机の上におにぎりをおいて美羽の椅子を瑠唯の机へ近づけ二人で食べ始めた。
「おいしいか?」
「うっん…」
泣いてよほどお腹がすいていたのだろう。いつもよりも勢いよくおにぎりを食べていた。
食べてくれたことに安心した香南は瑠唯の口はしについていたご飯粒を取ってやる。
ご飯を食べ終えお茶を飲みほし一息ついているところに香南はつぶやき始めた。
「瑠唯は賢いから美羽が反省してるってわかってるよな?」
「…」
返事はしないものの何やら複雑な顔をしていた。
「美羽のほうがお兄ちゃんなのにな。わんぱく坊主だから。」
「ぼくも、ぼくだって…いちご、たべたかったの」
「そうだな。美羽が悪いな。」
「だいじにのこしておいたの。」
「そっか。じゃあ今度は俺がとっておきのいちご瑠唯のために買ってきてやる。」
「ほん、と?」
「ああ。瑠唯にだけ買ってきてやる。美羽は勝手に食べた罰でなしだ。な?」
「…う、けど…」
ご飯を食べて少し落ち着いてきたからかさすがに自分も悪いことを言ったと思い始めたのだろう。
瑠唯もばつの悪い顔をしていた。
「おいしいものは、みんなでたべた、い。」
「そうか。じゃあその時瑠唯が美羽を許したら瑠唯があげたらいい。な?」
「うん。」
続きは0時過ぎにあげます。
投票結果は活動報告に記載しておりますのでぜひご覧ください。




