エピローグ 後世の記録
それから、幾星霜が過ぎた。
皇国はさらなる繁栄を重ね、周辺諸国からも一目置かれる大国へと成長していく。
歴史書には、後にこう記されている。
『皇国中興の賢妃 セラフィーナ・アズールレイン』
彼女は卓越した政治・経済手腕によって国を繁栄へ導き、民に深く敬愛された。
その功績は、皇国の礎として、後世まで語り継がれることとなる。
幼い頃には「可愛いだけ」と評されていた少女が、やがて一国を支える賢妃と呼ばれるまでになったその生涯は、多くの人々に勇気を与えたという。
夫である皇帝カイウスについても、こう記録されている。
『生涯を通じて皇后を深く愛し、その知恵を最も信頼した名君』
二人が並び立つ姿は、当時の人々の目に、理想の夫婦として深く刻まれていたという。
一方、隣国の元王太子アルドリックもまた、失意の日々を糧に努力を重ねたと伝えられている。
かつての傲慢さを捨て、後には王族の一員として国政を支える立場にまで至った。
けれど、彼は生涯を通じて独身を貫いたという。
晩年、彼が残した言葉が、記録の片隅に静かに書き留められている。
「真に大切なものは、失ってからでは取り戻せない」
その一言には、若き日の過ちを噛み締め続けた、彼なりの悔恨が込められていたのだろう。
セラフィーナとカイウス、二人の皇帝夫妻は、互いの美しさも、才能も、弱さも、すべてを認め合った理想の夫婦として、長く人々の間で語り継がれていくことになる。
可愛らしさと聡明さ、その両方を兼ね備えた賢妃の物語は、幾世代にもわたり、多くの人々の心を温め続けたという。
終幕




