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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第6章:【真・創世記】「働かずに稼ぐ」という神話と、一億人のログイン移民
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神の余暇(バカンス)の終わり。一億人の幸福と、自分を「燃料」にした王の献身

 四人のヒロインと、それぞれが望む最高の夜を過ごしたレイン。

 愛に満たされ、帝国エンパイアはこれ以上ない幸福の絶頂にいた。


 だが、その翌朝――王座のレインの視界が、白くぜた。


(……くっ、限界か)


 一億人の「働かずに稼ぐ」という欲望を叶え続けるための膨大ぼうだいな演算。

 そして四人のヒロインに分け与えた、運営すら超越する特権的パワー。


 それらすべての「負荷」を、レインという一個人のアカウントが肩代わりしているのだ。

 一億人の幸福を維持するため、彼は自身の「存在データ」を削り、リソースへと変換していた。


 ふと見ると、レインの右手の指先が、デジタルノイズを放ちながら砂のように透け始めている。


「……主様? どうされたのですか、そんなところで立ち尽くして」


 背後から声をかけたのは、昨夜、魂を同期させたアリスだった。

 彼女の精密な解析眼は、レインが隠そうとした「肉体の欠損」を、すぐに見抜いてしまう。


「アリスか。何でもない、ただの立ちくらみだ」


「嘘をつかないでください。……魂の座標が、震えています。貴方の存在確率が、ゼロに向かって加速しています」


 アリスが、レインの手に触れようとする。

 だが、彼女の指先は、実体を失いつつあるレインの手を、空しくすり抜けた。


「……! これは……システムへの過負荷ではありません。

レイン……貴方、まさか自分自身を『燃料』にして、この帝国を回しているのですか!?」


 アリスの悲痛な叫びが、静まり返った玉座の間に響く。

 一億人が謳歌おうかする「働かなくていい世界」の正体は、王の命を削って作られた、あまりにも残酷な献身の結晶だったのだ。


「……いいんだ、アリス。これが俺の選んだ『遊び』の対価だ。

一億人が笑っていれば、それでいい」


「よくありません!!

貴方がいない世界など、私にとってはただのガラクタです!!」


 感情をき出しにするアリスの叫びに呼応するように、帝国の空に巨大な「黒いノイズ」が走る。

幸福の絶頂で、ついに王の崩壊と、世界の終わりのカウントダウンが始まった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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