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最強勇者パーティを追放された俺、実は“世界の仕様書”を書いた本人でした  作者: ちいもふ
第5章:【オーバーライド・エンパイア編】「先輩、私はあなたの盾になります」――運営を裏切った後輩(GM)と、世界を上書きするバグの楽園――
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【運営ハイジャック】「久しぶりに、コードの書き方を教えてやろうか?」 ――削除プログラムを逆流し、俺は運営の心臓部へ降り立つ――

 深夜一時五十五分。

 『エターナル・レジェンド』の世界から、太陽が消えた。


 公式アナウンスにより、全プレイヤーに対して緊急メンテナンスによる強制ログアウトが宣告される。


「おい、マジかよ! いいところだったのに!」

「運営、例の街を消すつもりか!? せっかく『全裸教』に入信したのに!」


 掲示板が阿鼻叫喚あびきょうかんに包まれる中、数百万の意識が仮想世界から引きがされていく。

 やがて、にぎやかだった草原も、白亜の街の周囲も、静寂という名のノイズに支配された。


 ――だが、その街のテラスに、一人だけ「残っている」男がいた。


「……来たな」


 午前二時。

 空がガラスのように割れ、そこから無機質な巨大な腕が降りてくる。


 運営が放ったリージョン消去プログラム――

 『論理爆弾ロジックボム』だ。


 触れたものすべてをゼロとイチのデータに分解する、絶対的な「無」の権現。


 その直後、レインの耳元に、震える声が届いた。

 シュガーからの、隠し(かくし)音声ログだ。


『……先輩、今です!

 運営がプログラムを走らせるために、メインサーバーの第一隔壁を開放しました。

 私が送ったバックドア(鍵)なら、そこから「上」へ逆流できます!』


「恩に着るよ、シュガー」


 レインは不敵に微笑むと、空中に展開した数千のウィンドウを一斉にスワイプした。


 消去プログラムが街に触れる直前――

 レインの身体が、真っ黒なノイズとなって「空」へと吸い込まれていく。


「――お前たちの『削除』というルールは、もう古い。

 これからは、俺がこの世界の深度を書き換える」


 レインが逆流したのは、運営の心臓部。

 本来、プレイヤーが決して立ち入ることのできない、純粋なデータのみが流れる

 『深層階層ディープ・レイヤー』。


 そこには、驚愕きょうがくに目を見開いた運営のスタッフたちの意識が、管理者アバターとして並んでいた。


「なっ……なんだ、このノイズは!?」

「セクター99の消去に失敗!

 逆に、メインサーバーに未知のコードが侵入しています!」


 パニックに陥る運営フロア。

 その中心に、悠然ゆうぜんと降り立ったのは、黒い外套がいとうひるがえしたレインだった。


「よう、クズ共。……久しぶりに、コードの書き方を教えてやろうか?」


 レインが指を弾くと、運営たちの権限(特権)が次々と剥奪はくだつされていく。

 彼らのアバターは「ただの一般プレイヤー」と同じ、貧弱な姿へとダウングレードされた。


 シュガーが必死にシステムを偽装ぎそうし、レインの侵入を「正常なアップデート」として認識させているおかげで、彼らはレインを追い出すことすらできない。



 この夜――

 世界の力関係は、完全に逆転した。


 運営は「バグを消そう」として、

 自分たちの「心臓」を、レインに握られてしまったのだ。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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