【解放】地獄の終わりと「真の自由」。世界に響く王の演説
監視塔パノプティコンの最上階、外に突き出した巨大なバルコニー。
レインが姿を現した瞬間、サーバー全域を震わせていた喧騒がピタリと止んだ。
眼下を埋め尽くすのは、黄金の甲冑を纏った帝国軍。
そして、ボロ布を纏いながらも、その目に初めて「希望」の光を宿した無数のプレイヤーたち。
レインは、世界中の全プレイヤーの耳元に直接響く、アリス特製の「全域放送」で口を開いた。
「全プレイヤーに告げる。
――第一サーバーを支配していた『運営』は、今この瞬間をもって解体された」
地鳴りのような歓声が上がろうとする。
だが、レインが手をかざすと、再び静寂が戻った。
「第一サーバーはもはや、命に値段をつけられる監獄ではない。
俺の帝国、『オーバーライド・エンパイア』の第一領地だ。
ここでは、生存のために誰かを踏みにじる必要はない。
ルールはただ一つ。
――笑って、生きろ」
宣言と同時に、レインの背後から黄金の竜リヴィアが天空へと舞い上がる。
「おおおおおおおぉぉん!!」
リヴィアが放った渾身の咆哮――
『天上の息吹』が、空を覆っていたどす黒い雲を物理的に消し飛ばし、数年ぶりとなる「本物の太陽光」を引き寄せた。
世界が劇的に再構築されていく。
エルナが清らかな魔力で大地を浄化し、シュガーが投じた天文学的なリソースが崩れた建物を修復する。
アリスの手によって汚れたテクスチャは剥ぎ取られ、街全体が輝く白亜と黄金に塗り替えられた。
泥にまみれたスラムは、瞬く間に美しい石畳の広場へと変わる。
腐敗臭は、リヴィアが呼び込んだ風に乗って消え、清々しい花々の香りが満ちていった。
監獄都市エデンは、四人のヒロインと王の力によって、文字通りの「楽園」へと作り替えられたのだ。
だが――
祝祭の空気は、突如として割り込んできた「黒いノイズ」によって凍りついた。
空に浮かぶ黄金の紋章を塗り潰すように、巨大で、見たこともない漆黒のウィンドウが出現する。
【警告:第一サーバーの異常事態を確認】
【『オーバーライド・エンパイア』をワールド・エラーとして認定】
【――我ら『真なる運営 (ゼネラル・マネージャー)』が、直々に審判を下す】
冷徹な機械音声が響く。
遥か上空に、七つの巨大な影が浮かび上がった。
エデンの管理者など比較にならない。
世界そのものを司る者たちの影。
「……来たか。
挨拶にしては、少し騒がしいな」
レインは立ち上がり、冷たく空を見上げる。
世界を牛耳る「神々」の来臨。だが、王の歩みは止まらない。
本当の戦争は――ここから始まる。
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