その七
「――――なんだ? 今の」
荒れ狂う嵐の中、二人の木星人と一人の冥王星人は、三つ子山の頂上にて、生き残った花々にブルーシートをかぶせて回っていた。吹きつける風と豪雨のせいで、昼前にもかかわらず視界が悪かった。
「もう、樹理さん。手伝ってください」
作業の手を止めた樹理に、重りのつけもの石を抱えた万美が口を尖らせる。
「あぁ、悪い。……なぁ、今さっき、なんか聞こえなかったか?」
「へ? 気のせいじゃないですか?」
「――――いえ、気のせいじゃありません!」
二人の会話に割って入ったのは、一人しゃがみ込む古都だった。足元に転がるつけもの石を水晶に見立て、何やら占い師のように手のひらをまわしている。
「…………お前さっきからなにやってんだ?」
「占いです」
「仕事しろ」
真顔で答える古都冥王に、樹理は即答する。
「見えます、見えます! ……押し寄せる、UFOの群れが! ――――はうっ!?」
樹理に丸めたブルシートの筒ではたかれ、姿勢を崩してひっくり返る古都。
「仕事しろっつの。……ったく、何のために呼んだんだか――――」
――――振り返った樹理の目の前に、レーザービームが飛来した。
「うわっ!!」
「樹理さん!?」
「危険です!」
古都は足をすべらせた樹理を咄嗟に抱きとめると、即座に茂みの中へ引き込む。レーザーの着弾点は、クレーターのようにえぐれていた。
「きゃっ!?」
数秒後、花畑めがけて再び数発のレーザービームが飛来する。それらは万美を取り囲むように弾けると、小爆発によって地面を吹き飛ばした。
「万美! 〝星の力〟だっ!!」
「はいっ!!」
叫ぶ樹理に、万美は土煙りの中で答える。
数秒後、吹きすさぶ風を無視するように、晴れた土煙りを噴き出した白煙が塗り替える。白煙は嵐をも意に返さずあっという間に周囲一帯に広がると、意志を持つように塊のまま浮き上がり、山の頂上を屋根のように漂い始めた。それこそが、万美の〝星の力〟だった。
やがて白煙の中心から、息を切らした万美が現れる。嵐に弄ばれた長髪が、真後ろに向けてはためく中、決然と見開かれた瞳には、木星が映し出されていた。
「――――私たちはここに残ります! 冥王さんは逃げてくださいっ!!」




