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パラレヌ・ワールド  作者: 羽川明
四章 「五光年先の遊園地」
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36/58

その四

「――――じゃあ、あたしらはそろそろ……」

「そろそろおいとましますね」

 魚々乃女さんの部屋で丸テーブルを囲み、二時間ほどたったところで、樹理さんと万美さんが立ち上がった。ついさっき大貫さんが注いでくれた紅茶を飲みつつ、首をかしげる一同。

「まだ五時前ですわよ。何か用事でもありまして?」

 魚々乃女さんは、ちょっと焦ったような顔で引きとめようとする。

「悪いな、水やりの時間なんだ。三つ子山の花も気になるし」

「午後から天気が崩れるそうなので、外のお花を引っ込めないといけないんです」

「……そうでしたの。それなら、仕方ないですわね」

 心の底から申し訳なさそうな顔をする万美さんに、魚々乃女さんも喰い下がることはなかった。急ぎ足で出て行った樹理さんに続き、甘いお菓子のような香りを残して万美さんが出ていく。


 二時間ぶっ通しでテスト勉強していたとはいえ、なんだかんだ続いていた会話が途切れ、部屋は水を打ったように静かになった。

「まぁ、メアドも交換できましたし、良かったじゃないですか。もう、すっかり友達ですよ」

「そうですわね……」

 魚々乃女さんは、どうにも浮かない顔だ。

「……でも、なんだか実感がわきませんわ」

「そんなモンじゃない?」

「距離を縮めるためにも、やはり遊園地は不可欠ですわねっ」

「それなんですけど、今度の三連休はダメかもしれませんよ?」

 おずおずと告げると、魚々乃女さんが紅茶を飲む手を止めた。

「どうしてですの?」

「さっき万美さんも言ってましたけど、今日、天気が崩れるじゃないですか。予報だと、台風のせいでこのまましばらく雨が続いて、大荒れになるって」

「……それは、確かなんですの?」

「あぁ、ソいえばニュースで言ってたね。そんなようなこと」

「はい。テスト期間中は大丈夫なんですけど、その後の一週間は暴風警報が出て、遊園地どころじゃなくなるかもしれません」

「そんなっ!!」

 釣り上げられた魚のように口をパクパクとさせる魚々乃女さん。今にも泡を吹きそうな勢いだった。

「で、でも! 今朝の予報では――――」

 魚々乃女さんはすがるようにテレビの横のリモコンに飛びつき、電源ボタンを連打した。高そうな大型の薄型テレビに一瞬線が走り、すぐに画面がついた。

『――――北陸、関東平野部では晴れ間が広がるものの、それ以外の方面では午後から大荒れが予想されます。外出の際は細心の注意を払い、十分気をつけてください』

 泡を吹き、意気消沈する魚々乃女さん。力なく崩れ落ち、机におでこをぶつけたまま動かなくなった。数秒後、天気予報が中断され、鋭いチャイムが耳に飛び込んできた。

『速報です。今日未明、三つ子山のふもとで、〝星の力〟が武力行使された形跡が発見され、警察は、たった今、付近の住民の目撃証言をもとに、火遊びをしていた二人組の男の身柄を拘束したと発表しました。現場からは使用済みの花火などが見つかっており……』

「トモカさん、これって!」

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