「Ⅳ」
父上の言った言葉を、昨日のことのように思い出す。
『探せ――――』
私は、あの窮屈な宇宙艇の中にいた。ノイズの酷い無線機の向こうで、父上の声に耳を澄ませて。
『――――宇宙を統べる、緑の……を!!』
この話を聞くのは、もう何度目か。戦況が悪化するにつれ、父上は、根も葉もない伝承に取り憑かれていった。だがそれも、今日で最後だ。
『……はや、一刻の――――もない。お前が、最後…望みだ』
「はい」
『〝緑の力〟で星を操り、……を、すべてを、我々の色で――――るのだっ!!』
〝緑の力〟――――自然を意のままに操れるという、理を超えた最強の力。
――――父上の盲信する、神々の力。
「では、行って参りいます」
父上は、いつからか母星を見捨て、神々を崇め始めた。挙句の果てに、この私に〝神の力〟を手にしろという。
『――――あぁ、だが、忘れるな。お前が、……を手にし、再び……に降り立った時、宇宙は――――のものだ』
そんなものはいらない。そんなものになど、はなから興味はない。
だが、この愛しき母星が、美しく有り続けられるというのなら、父の言葉を信じよう。
銀河の果てにあろうと、世界の外にあろうと、私は探し出す。
「母星に、緑あれ」
赤く彩られた発射ボタンを押しこむと、激しい震動とともに、途方もない浮遊感に襲われる。じきに軌道に乗ると、モニターが、警報音とともにカウントダウンを始めた。
そして、数字がゼロになった時、私は、銀河の外へとワープした。
――――王妃アヌイが殺されたのは、その、翌日のことだ。




