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パラレヌ・ワールド  作者: 羽川明
三章 「双子の月」
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その四

 現れたのは、泣きはらした顔の古都さんだった。

「こっ、古都さん?」

「……ふぇぇ、ひっぐ、ひっぐ。体育の先生に怒られて、消防署の人にも怒られて、お母さんにも怒られて。……ひっく、占いセット、取り上げられちゃいましたぁ……」

 よく見ると、おでこに丸文字で『バカ』とかかれていた。……発想が小学生レベルだ。

「じゃ、じゃあ、もう占いはできないんですか?」

「はいぃ、今度勝手に使ったら、メル○リで売るって……」

 現代っ子なお母さんだった。

 泣きながら教科書やノートをカバンの中につめ、帰りの支度(したく)を済ませると、古都さんは教室を出て行った。

「……今日はっ、もう帰ります」

 律義に出入り口の戸を閉めておじぎし、古都さんはしょんぼりした様子で帰って行った。

 ……自業自得とはいえ、さすがに不憫(ふびん)だった。

「……弱ったな。アイツにボヤ騒ぎの犯人を占ってもらうつもりだったんだが」

「いえ、一応、占ってはもらえたんですけど――――」

「そうなのか?」

「ただ……」

 言い淀む僕の代わりに、トモカさんが答える。

「山奥の縄文杉ダッテ!」

「縄文杉?」

「今回の件とは、あまり関係なさそうですね」

 万美さんは困ったように眉をひそめた。

「他には何か言ってませんでしたか?」

「さぁ……特に何も」

「あ、ソ言えば昨日、電話で緑の宇宙人がドウとかって」

「緑? そんな色のやつ、太陽系にいたっけか?」

 首をかしげる樹理さん。他の二人も似たような反応だった。僕にも心当たりがない。

「……てコトは、緑の宇宙人は、異星人なのかな?」

「〝黒い異星人〟の次は、〝緑の異星人〟かよ」

「〝黒い異星人〟よりは、よっぽど現実的だと思いますけど」

「ソウだね、普通にその辺にいそう」

「でも、私見たことないです。緑の髪の方って」

 万美さんの一言に、みんな行き詰ってしまった。確かに、僕も見たことがない。異星どころか、違う銀河にいるのかもしれなかった。そのとき、僕は教室の窓辺が赤い夕焼け色に染まっていることに気づいた。

「――――雨、やんできましたね」

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