第88話「第5号にさよならを」
ヴァネッサ【私はそこで第5号と呼ばれてた】
ヴァネッサ【6:00】
ヴァネッサ【起床するとまず、採血されて体の現状を見られる】
ヴァネッサ【それが終わったら昼休憩である12:00まで様々な運動をする】
ヴァネッサ【昼休憩は30分、味のしない食事を並べられる】
ヴァネッサ【それが終わったら悪魔の力を使った様々な運動をする】
ヴァネッサ【寝る頃にはクタクタで…死んだ方がマシなくらいきつかった】
第5号「………」
ソルベルト「第5号、来い」
第5号は檻のような部屋から連れ出され、いつものルーティンとは違う場所へと連れて行かれる
第5号「…」
ソルベルト「…」
ソルベルト「…お前は契約者の中でも特別だ」
ソルベルト「"黒絶"に至る可能性が最も高い」
第5号「…くろ…ぜつ………」
ソルベルト「そうだ」
ソルベルト「お前には今から…」
ソルベルト「"死"を味わってもらう」
第5号「え?」
暗かったその部屋に灯りが灯される。
その部屋はコンクリートの壁で作られた広い闘技場のようだ
そしてその部屋の端には数体の悪魔が佇み第5号たちを見ている
第5号「…………」
ソルベルト「さぁ、殺り合え」
ソルベルトは瞬時に離れ、鉄の扉を開け鍵を閉める
悪魔たち『ウウゥゥゥ……』
第5号「……」
ソルベルト、インペリウム、ベルルムは鉄の柵で作られた観客席からヴァネッサたちを眺めている
悪魔たちは一斉に第5号のもとへと向かい、彼女を喰うことだけを考えている
第5号「………」
第5号はまるで体操選手のように軽やかに悪魔たちを避け頭上に跳ぶ
【彼女の魔法は"凝視魔法"】
【魔法を使う相手にしか通用しない】
【つまりその魔法はいわば】
【黙示録の四騎士、そして人間を殺すための魔法】
第5号「…」
第5号はその小柄であるにも関わらず悪魔たちを蹴り壁に叩きつける
ベルルム『あれが貴様の好む不気味か』
インペリウム『そうだ、齢3歳にも関わらずあの速さと力』
インペリウム『期待が高まるだろう』
ベルルム『…………』
悪魔『ガァァァァァァ!!!』
第5号「…………」
ソムニウム【頭、掴んで】
第5号は2体の悪魔の頭を掴み、それを捻り切る
ソムニウム【上飛んで】
上空に上がった第5号は悪魔たちに踵落としを喰らわせる
30分後。
そこでの戦いは終わった。
第5号は血まみれのまま静かに立っている
インペリウム『やはり素晴らしい』
第5号「………」
夜。
隣の牢屋には1人の女の子がいた。
10歳〜12歳くらいだろうか
檻から顔を覗かせて見ている
第11号「ねぇ」
第5号「………」
第5号「……はい」
第11号「名前なんて言うの?」
第5号「…だい5ごう」
第11号「違う違う、本当の名前だよ」
第5号「………ない」
第11号「そうなんだ!私は自分の名前あるよ!」
第11号「ヴァネッサ!」
第11号「ヴァネッサ・ホウパンロード!」
【第11号改め、ヴァネッサ・ホウパンロード】
第5号「…………」
ヴァネッサ「ところでここはなんなの?」
第5号「…じごく」
ヴァネッサ「地獄ねぇ…」
第5号「……なんでそんなに…元気でいられるんですか………」
ヴァネッサ「それが私の取り柄だからね!」
ヴァネッサ「笑顔は人を幸せにできる!だから私は誰かを幸せにしてあげたい!」
ヴァネッサ「笑顔は大事だよ!」
第5号「……………」
静かな夜に突然、アナウンスのようなものが建物中に鳴り響く。ソルベルトの声だ
ソルベルト「全実験体に告ぐ」
ソルベルト「今より、不要な契約者を選定し処分する」
ヴァネッサ「え?」
第5号「………」
ソルベルト「第11号、処分」
ヴァネッサ「わ、私…………?」
第5号「………………」
ヴァネッサ「や、やだ……」
ヴァネッサ「なんで!!?なんで私なの!!?」
ヴァネッサ「やだやだやだやだ!!!」
第5号「……」
ヴァネッサ「お願い助けて!!5号!!!」
第5号「…ごめん……なさい………」
第5号がヴァネッサの部屋だった所をふと見つめると、彼女の血液が部屋中に散らばっていた
第5号「………………」
第5号 (えがお……ひとをしあわせにできる………)
ソムニウム【…大丈夫?】
第5号【うん…】
ソムニウム【笑顔…ね………】
ソムニウム【確かに大事かもしれないね】
第5号【………】
ソムニウム【あなたはどうしたい?】
第5号【……だれかを…まもれるようになりたい】
ソムニウム【……………】
第5号【………】
第5号【…まもれなかったひとのなまえって……】
第5号【つかってもいいの…かな……】
ソムニウム【…じゃあ】
ソムニウム【守れなかったその人の名前を忘れないように…ってことにしようよ】
ソムニウム【ね、"ヴァネッサ"】
ヴァネッサ【……うん】
ヴァネッサ(第5号だったわたしへ…)
ヴァネッサ(さよなら)




