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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
九夏三伏
112/174

お熱

「ばいばーい!お祭り楽しみにしてるねー!」


参加者の人が帰り際に、僕たちに向かって伝えてくれる。


虎雅「はーい!また会えるの楽しみにしてまーす!」


僕は大きく手を振って、見送る。


数時間後には新しい参加者が来るので、その準備を始める。

今までたくさんの人たちに出会って知ったのが、めんどくさいと知らないで環境のため思う事はあってもやらない人ばかりと言う事だ。


この世にはいっぱい便利で使いやすい物がある。

けれど、その物自体に愛着を持っている人は少なくて使い終わったら捨てる。壊れたら捨てる。買っても使わないから捨てる。

色んなパターンがある。


自分もそうだった。

カフェで使う紙コップも、中学生に初めて買ったシャーペンも、買ったけど合わせる服がなかったズボンも、何も気を止めずに捨ててきた。


多くの人がそうして物を捨てて、廃棄場がパンク寸前という話も最近出てきた。

もうあと5年で捨てる場所は無くなる。


改めてそのニュースを見て、自分が使ってるものは巡り巡って自然にとって良いものかどうか考えようと思ってくれた人がここに多く来てくれる。

そう思ってなかった友達を連れてきてくれた人もいた。


僕もそうやって知るきっかけが無かったら今こうやって生ゴミを土に還したりせず、ゴミ袋に入れて指定日にゴミを出していたんだろう。

それが『当たり前』って勝手に思っていたから。

だけど、その当たり前は環境を壊していく当たり前で、その事が凶妖や神様たちを怒らせている。


だから、人を殺しにやってくる。


このキャンプをしてる時だって、何度か凶妖を封印に行った。


その凶妖たちはいつも苦しそうにしていた。

ただその命を全うしたいだけだったのに、それも出来ない。


人は自分で命の選択を出来るけれど、動物たちの命は人によって握られている。

それでも何とかしたいと思う子が暴れ出す。


その子たちは、僕たちが想像出来ないほどの酷いストレスに晒されていたんだろう。


この間の子は、人の娯楽のために殺されそうになった子だった。

飼い犬だったらしく、首輪は付いていたけれど長年外されていないのか首の皮膚がただれていた。

そして、片目は病気になってしまったのか破裂寸前。

それでも自分の命を終わらせたく無いと思って、外に逃げても食料も安心して眠れる屋根もない。


人の身勝手で体を改良されて、命が宿っても人が君の生きる時間を好き勝手にして命を壊していく。


本当に好き勝手な人間ばかりでごめん。

君の気持ちは僕たちが受け取ったから、ゆっくり休んで今度はたくさんの愛を受け取ってね。


僕は生ゴミをコンポストに入れ終えて、家に戻る。

するとなんだか奥の部屋が騒がしい。


虎雅「どうしました?]


「腹方が高熱で…」


虎雅「え?」


健康優良児っぽい樂が熱出してるの?

朝、いつもより喋らないからまた何か怒らせちゃったかと思ってた。


「さっき、救護班の方が来てくれて点滴を打ってくれたのは良いんですが、腹方が働こうとしてるんです。」


「今日一日は安静にって言われてるのに。」


虎雅「そうなんですか…。今、樂はどこにいるんですか?」


「日課のランニングに行ってる。みんなが止めてもすごい剣幕で、みんな口を塞いじゃった。」


虎雅「分かりました。僕が連れて帰るので、皆さんは僕の分の仕事をお願いします。」


「分かりました!よろしくお願いします。」


僕は団員さんに頭を下げて、樂を探しに外に出る。

いつも右側の森の方に走って行ってるのは知ってる。


僕は駆け足で樂を迎えにいく。

なんで熱がある時に体を動かそうとするんだろう。

無理しなくてもみんながいるのに…。

もう少し信用してくれても良いんだけどな。


僕はしばらく走ったけれど樂の姿が現れないので、耳をすます。

今日は少し風があるから葉が擦れる音が邪魔だな。


「ハァ…、ハァ…!」


ここから少し近い所で人の息遣いが聞こえる。

いつもは息切れしない樂も体調が悪いからか、呼吸が乱れてるっぽい。


僕はその音に向かって森の中を走っていくと、足音が多い事に気づく。


誰かと一緒にいるのか?

でも、1人で出て行ったはずなんだけどな…、と思いながら太陽の光が射す初めて見るひまわり畑に到着した。


僕の背よりも頭1つ大きいひまわりが太陽の光をいっぱい浴びるため顔を上げている。


そのひまわり畑の中で2〜3人くらいの足音が聞こえては鈍い金属音がする。

何が起きてるんだ?


虎雅「おーい、樂?いるかー?」


樂「来るなァ!」


普段の樂とは違う重い声で僕を遠ざけようとした時、ひまわり畑から見えた2つの影が僕に近づく。


僕は何か悪い予感がして、ポケットに入っていた箸置きサイズの銃を元の大きさに戻すために弾く。


銃が空中に上がりきった瞬間、2つの影の正体がはっきり見える。


全身真っ黒な皮のボディースーツ着て、黒いアイマスクをし顔を隠している男性2人がなぜかサバイバルナイフを両手に持っていて、僕に刃を向けてくる。


僕は銃を手に取り、迷わず1人に銃口を向けた。


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