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僕たちが出来ること  作者: 環流 虹向
自身の正義
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次の日、樂とせいさんの屋敷に行くと私服姿の琥崙ころんさんと嘉蘭からんさんが庭にいた。


虎雅「おはようございます。今日はお休みですか?」


嘉蘭「あ、2人ともおはよう。昨日は大変だったみたいね。」


せいさんたちから聞いたのかな。


嘉蘭「昨日の事でお兄ちゃんと一緒に調査する事になったの。」


虎雅「そうなんですか!すみません、私服だったので休みなのかと。」


嘉蘭「まー、お兄ちゃんとデートするみたいなものだから楽しんでくる!」


嘉蘭さんはブルーの光沢のあるワイシャツから溢れ落ちそうな胸を揺らし、琥崙さんの腕にしがみつく。


琥崙さんは相変わらず無口で、若干嫌そうな顔をしている。


「あー、2人ともおはよう。」


と、屋敷の中からせいさんが出てきた。


虎雅「おはようございます。」


樂「この2人だけで良いのか?」


嘉蘭「あー!樂、嘉蘭たちの事バカにしたー。」


樂「してない。」


樂は立ってるのがだるくなったのか、縁側で寝っ転がり始める。


世永「2人はああいう街にいても浮かない気がするし、普段休みの日は街に出る事が多いから地理に詳しいし適任かなって。」


樂「街はどこか特定出来たのか?」


世永「世田谷の方だって。下北沢と三軒茶屋ら辺に出来たネオン街に似てるって、団員が教えてくれた。」


そういえば、写真映えと町おこしのためにお店が立ち並んでるところは積極的に看板変えてたって数年前にニュースで聞いたかもな。


嘉蘭「エモいね。」


琥崙「…いい加減、死語使うのやめろ。恥ずかしい。」


嘉蘭「ええ?もう死語なの?」


琥崙「…何年経ったと思ってるんだ。」


世永「とりあえず、危ない事はしない約束ね。パーティーで見つけた仲間もいるはずだから、拠点と今現在何人規模の団体になってるのか分かればいいよ。」


琥崙・嘉蘭「はい。」


嘉蘭さんは嫌そうな顔をした琥崙さんの腕を抱きしめながら、咲さんと凌太さんを探しに向かった。


すると、すれ違いざま憲治さんがやってきた。


憲治「世永さん、お待たせしましたー。」


憲治さんがこっちに向かって走ってくる。

その両手にはたくさんの資料のようなものを持ってきている。


世永「ありがとう。どうだった?」


憲治「いやぁ、やっぱり僕くらいしかいないって向日さんも言ってました。」


憲治さんが資料をせいさんに渡し、それを広げる。

覗くと難しい漢字と英語で色々書かれている。

なんだろう…、雰囲気は医学っぽい。


世永「その線も薄いかぁ…。」


虎雅「なんの線ですか?」


世永「俺らの血を自分の体に入れたりしてないかなって。」


憲治「あの、咲さんって人。大きな怪我した事がないし、それより噛まれた痕跡を見せたことがないし、あの本に名前が載ってなかったんですよ。」


世永「え!?載ってないの?」


憲治「はい。」


憲治さんは自分の[自然災害と妖]のみんなの名前が載っているページをパラパラ開くけれど、『信大 凌太』という名前はあるけれど一向に『新見 咲』という名前が無い。


あの人は一体何者なんだ…?


世永「あれ…?おっかしいな…。」


せいさんが自分の本を取りに行き、ページをめくると一番最後のページに咲さんの名前が書いてある。


世永「ほら、あるよ?」


樂がその様子を見て自分の胸ポケットから本を出して、名前を調べる。


樂「…無いぞ。」


世永「え!?…虎雅のは?」


僕は自分のズボンのポケットから本を出して、パラパラと探すが凌太さんはあっても、咲さんが無い。


虎雅「…え、無いですよ?」


僕がそういうと樂は起き上がり、せいさんから本を取り上げ咲さんのページをこれでもかと見開く。

パリパリパリとのりが剥がれる音がする。


世永「本壊れちゃうでしょ。」


せいさんが樂から本を取り上げようとすると、寸前に樂が腕を引き取られないようにする。


虎雅「…樂?そんなに見てもしょうがなく無い?」


樂「いや…、ここ見てみろ。のりの貼り方が咲さんのページ部分だけ汚い。」


樂が僕たちにめいいっぱい開いたページの綴じ目部分を見せてくる。

すると、本当に僅かではあるが、のりがハミ出ている。

他の団員のページと比べてみると全ての綴じ目にのりが見える事は無いと言うより、のりを使っていない。


世永「あれ…、何これ?」


せいさんが一緒に置いてあるかしらの本も取り出し、咲さんのページを開き、まためいいっぱい開くとのりが見える。


樂「咲さんって…、誰がここに連れてきたんだ?」


世永「えっと…、大一さんかな。」


樂「それって、この本見てか?」


世永「…どうだろ。分からない。」


憲治「僕、大一さん呼びに行ってきます!」


憲治さんはそう言ってすぐに大一さんを呼びに飛んでいってしまった。


世永「…何十年も一緒だったのに、何も気づかなかった。」


せいさんが下を俯き、体を震わせている。


長年一緒にいたせいさんや、かしらさえも気づかなかった咲さんの本当の姿。

僕らは相当な人を敵に回してしまったのかもしれない。

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