12/12
一章 結論④
19時になっても史郎は覚醒しなかった。
移植手術は無事に終了したが、最後の意識覚醒。
唯一、史郎の覚醒だけだった。これが予定よりも遅れている。
バイタルは正常値を保っているが、オペ終了後の主治医からの指示通りに主任医師、現場担当医師、
居室担当ナース、看護責任者それぞれが、慌てていた。
移植手術後に、覚醒が悪いと精神的ダメージが残る可能性がある。つまり、術後に不安な気持ちを持ったままでいるために、不安定な気持ちになることが臓器へのダメージにつながる。
術後、史郎の体には、多くの管がつながっていた。恐らく、三日位車いすの状態になるだろう。
しかし、意識が戻らない。
看護師は耳元で名前を呼ぶが、全く目が覚める様子もない。
麻酔は十分に切れていい時間なのに。。。
一人の医師が、集中治療室に運ぶように指示が出ました。
今から、運んでください。
一瞬、ナースの表情が強張った。
一方、伸郎の方は覚醒し、家族と会話をしていた。
少しの時間だが、子供たちに囲まれながらひと時の安心感を得ていたようだ。
主治医をはじめ、カンフアレンスを行っていた。
『どうかな?まだ目は覚めない?』
『はい。声掛けに反応もしません。』
『そうか。。。集中治療室で、二日だね。細部までの様子観察を頼むよ。特に尿が出たら教えて欲しい。』
『はい。わかりました。』




