陽光
激しく雨の打つ中、2人の間には沈黙が流れる。
「・・・・なあ、クレナ」
「・・・何・・ですか?」
ーーーーー君に伝えたいことは沢山ある。けど、勇気のない俺には、その中のどれ一つとして言えやしない。だけど、だけど!・・・今なら、これくらいなら、言える。
「戻ってきてくれ」
沈黙。
「・・・だめです。私のせいで、お店がめちゃくちゃになったから、・・・もう、あそこにはいられません」
「店はクレナのせいじゃない。それどころか、君が守ってくれたんだ!俺の大事なもの、守ってくれたんだ。なのに、なのに、・・・・・」
荒れている息を、少しずつ整え、整えてーーーーーー
「君がいなくなったら、意味がないんだ!!!」
横から風が吹く。彼女の髪が、少し揺れる。
「・・・・・・でも・・・」
言葉を続ける。
「私、ガクトですよ?復讐の血に染まった醜い怪物なんです。私は、もう、戻れない」
「そんなことないーーーーーーーーークレナは、ガクトだからとかそんなの関係ないって、言ってたじゃないか。そうやって戦ってたじゃないか。・・・俺それ見てたんだ。すげぇ、カッコいいなって思った・・・・・・・・俺は、ガクトの君にいて欲しいんだ」
俯く彼女の頰を、一筋の雫が流れる。彼に、"そう"言ってもらえたことが、嬉しかったのだろうか。
「・・・・・でも、・・・・理です・・・・やっぱり私・・無理・・・・・・」
ハルマは彼女の手を取り、引く。そして、駆け出す。
「約束したろ?"豚うま"のポップ作るって」
約束ーーーーー。彼女の顔に少し輝きが灯った。
「はい」
2人は走り出す。あのちっぽけな本屋に向かって。そしてまた今日も、いつもと同じ毎日が繰り返されるだろう。でも、今日がいつもと違うとしたら・・・・・
「好きだよ、クレナ」
「私も・・・・・・・先輩のこと、好きです」
いつの間にか、雨は止んでいた。
ここは街外れの小さな書店。今日も暖かな日差しに照らされて、ガラス壁が心地良く輝いている。店の中には、何人か人がいる。レジにも、本を読むものがいる。そして、もう1人の店員は、漫画コーナーで何やら作業をしている。
彼女は少し笑う。そして、向こうの方へ行ってしまった。
そこには、フードを被ったかわいい豚のイラストが貼ってあった。その場所は窓から入ってきた光で、明るく照らされていた。
完結です。読んでくださった方、ありがとうございました。




