1 理不尽
香織は麗奈を庇って通り魔にナイフで刺され命を落とした。音楽家を目指す香織は伯爵令嬢マリエールに転生した。
1 理不尽
大学の仲のいい友人達と出掛けた。全員が希望の進路に決まったお祝いだ。麗奈に、
「香織が教師なるとは思わなかったわ。てっきり演奏者か作曲家を目指すと思ったわ。」
勿論その道も考えた。しかし誰もがなれる物ではない。取り敢えず安全な道を選択しておく事にした。
「演奏も作曲も辞める気はないわ。教師になっても夢は捨てないわ。」
人生のワンステップだ。ここから始まる人生だ。人混みの中にキラリと光るナイフ見るまでは、
「麗奈危ない。通り魔よ。」
私は麗奈を庇った。私の下腹に激痛を感じたのはその時だ。そのまま意識を失った。
次に意識が戻ったのはベットの中だ。病院かしら。生きていたのかしら。半分正しく半分間違えなのが判った。私は転生した。6歳のマリエール、伯爵令嬢として転生した。マリエール記憶が蘇った。マリエールは数日前から寝込んで死んだのだ。目を覚ましたマリエールは、
「誰かいる? 楽師を呼んできて演奏がしたいの。」
マリエールの願いは叶わなかった。楽師の代わりに医師が呼ばれ今週中の静養が言い渡された。その間楽譜と木版、魔導書が渡された。この時代の楽譜はマリエールには理解不能だ。マリエールは耳で曲を理解していた。マリエール習った曲だという事で香織は、楽譜とマリエール記憶から、楽譜の規則性を追った。五線譜とは違う楽譜だ。決まりが判れば他の楽譜も判る。香織が知っている曲も楽譜に出来た。魔導書は魔法の基礎が書かれている。何時か魔法を極めて元の世界に戻りたいと思っている。そんな本読んだ事がある。この世界で音楽を極め音楽の道で生きるか、魔法を極め元の世界に戻るか。
一週間経って医師の許可出た。ハーブという楽器を弾く。香織には馴染みのない楽器でマリエールも得意ではない。四苦八苦しながら奮闘していく。ようやく形になりかけたところで時間になった。魔法の時間は教師もマリエールも驚いた。魔法が使えたからだ。貴族が領地に魔力を込める事で領地が潤う。伝え聞いた伯爵はマリエール領地に魔力を注ぐのを認めた。
礼儀作法の面でも他の勉強でもマリエールは急に伸びた。教師達は口々にいう。
「この年頃の子どもには良くある事ですよ。」
マリエールはやはり音楽の時間が特に楽しい。慣れ親しんだピアノはないが、ハーブでも十分楽しい。
魔法の授業では、魔法の種類と使用上の注意、詠唱について学んだ。詠唱については魔法に集中していれば多少の言葉の違いは構わないと教えられた。簡単な魔法は詠唱は必要ないし魔法の名前を唱えるだけで使える魔法もあるし詠唱を唱える魔法はその魔法に集中するために使うためのものだから、その魔法に集中してさえいれば特に別々の詠唱はいられないのではないかと思う。気に入った詠唱を覚えればいいかも知れない。今気にいってる詠唱は、
「数多照らす大神よ。天を割り、地貫き、人を裁く剣となって敵を払え。」
剣のところは槍だっり矢だっりすればいい。一つ覚えれば応用が利くはずである。
マリエールはこのままこの世界で音楽で身を立てるか魔法を極め、元世界に戻って人生をやり直すかしたい。




