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異世界転生って楽勝だと思ってました。  作者: 藤次郎
第二章

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第七二話「楽勝を奪われたとしたなら……中編」

《――主人公に対し攻撃の意思を見せたマリーン

だが、突如として彼女は苦しみ始めた――》


………


……



「うぐっ!! ……があああああぁっ!!! ……」


「なッ?! マリーンッ!!!

くそッ!! ……マリーンに何をしたッ?! 」


「ん? ……この(むすめ)は半魔族だったのでな

少々魔族の“色”を強める薬を打っただけだ

急拵(きゅうごしら)えだが、満身創痍(まんしんそうい)の貴様らでは倒せまい?

特に……貴様の様に“魔導に(かたよ)った”ガキではなッ!


さて“そろそろ”か……」


《――そう言うと

(なお)も苦しみ(もだ)えるマリーンへと視線を移した所長

直後、マリーンの身体は黒い(まゆ)に包まれ――》


「マ……マリーン?! 」


《――漆黒の肌、(むらさき)の瞳

(みずか)らの体を(おお)い隠せる程の巨大な翼

彼女は……“魔族”と見紛(みまが)う程の

変貌(へんぼう)()げ――》


「……ほう、なかなか美しい姿に変化する物だな?

よし“M(エム)”よ……()ずは小手調べだ。


……D.E.E.Nシリーズを全員捕縛しろ」


「了解……優先対象を変更、D.E.E.Nシリーズ

捕縛します――」


《――直後


無感情に命令を実行に移したマリーン……彼女は

瞬時にディーン・タニアの両名を捕縛し

続け(ざま)にギュンターをも捕縛した。


だが……一方で、彼女(マリーン)には

時折(ときおり)妙な“停止時間”が存在して居て――》


「チッ、調整が足りんか……」


《――そう苛立(いらだ)ちを(あらわ)にした“所長”


その一方――》


「マリーン……何してるんだよ!

ディーン達は仲間だろ!? おいッ! マリーンッ!!! 」


《――そう、必死に呼び掛け続けて居た主人公

だが、彼の声が彼女に届く事は無く――》


(うるさ)いガキだ……M(エム)、そのガキを黙らせろ」


「了解、命令を実行します」


《――直後


一切の躊躇(ためら)い無く

主人公(かれ)に向け鋭く尖った爪を差し向けたマリーン

だが、これを(すんで)の所で防ぎ切ったマリア

とは言え、その衝撃は凄まじく――》


「……痛ッ……マリーンさん……

流石(さすが)の私も……怒ります……よ……ッ……! 」


《――激しく弾き飛ばされたマリア


その、凄まじい衝撃に

意識を(たも)つ事さえ危うい彼女の事を支えながら――》


「マリアッ!!! ……何してるんだよマリーンッ!

マリアも仲間だろ?! ……頼む、思い出してくれッ! 」


《――そう、(なお)も叫び続けて居た主人公

だが、そんな彼の声を鬱陶(うっとう)しく思ったのか――》


「理解力の足りんガキだ……M(エム)に貴様の声など届きはしない

さて、そろそろ飽きて来た……M(エム)、全員(まと)めて始末して構わん

“血肉”の(いず)れかが取れれば実験には充分だ……()れ」


「了解、第一目標は主人公……ッ……」


「ん? 」


《――この瞬間

“所長”の命令に対し、再び“停止”したマリーンは――》


「主……人公……仲間……」


《――直後

涙を流し――》


「マ、マリーン? ……そうだッ!!

仲間だ! 俺達は大切な仲間で! ……」


《――そんな彼女の“不安定さ”に活路を見出した主人公は

両手を広げ、彼女の元へ歩み寄ろうとして居た。


だが――》


「ぐあッ! ……ギャァァァァァァァッ!!! 」


「マ……マリーン? 」


「……目標の接近を確認


命令を実行します――」


《――直後

無情にも彼女(マリーン)の爪は主人公の腹部を貫いた――》


………


……



「――目標の生命反応低下

及び、意識の途絶(とぜつ)を確認しました」


《――無感情にそう言ったマリーン

彼女の足元には意識を失った主人公……そして

そんな彼に(すが)り付くメルの姿があった。


……響き渡るメルの泣き声

幾度(いくど)と無く彼の名を呼び

幾度(いくど)と無く治癒魔導を試み続けたメルの(おも)いは

無情にも“魔導封じの呪具”に()って打ち砕かれ

主人公(かれ)の容態は悪化の一途(いっと)辿(たど)って居た――》


「何て……事……を……ッ……何て事をするんですかッ!!!」


《――そう叫び、斧を振り上げたマリア

だが、既に満身創痍(まんしんそうい)と成った彼女の一撃は

マリーンに届く事無く……直後、マリアは意識を失った――》


「ふっ! ……恐ろしい程に(もろ)い物だな?

お前達の“仲間”と言う感覚は……まぁ、そうで無くては

此方(こちら)が困るのだがな? ……さて、M(エム)よ。


耳障(みみざわ)りだ………その騒がしい“(メル)”も殺ってしまえ」


「命令を承認しました、目標の殺害命令を実行します」


《――直後


再び戦闘態勢を取ったマリーンは

彼女(メル)を軽々と持ち上げ、そのまま地面へと叩き付けた。


……全ての魔導を封じられた状況の中

それは“永久防護(エターナルプロテクト)”さえ例外では無く

この瞬間、メルを襲った痛みと言う言葉では不適当な程の衝撃

だが……常人には耐えられぬ程の激烈(げきれつ)な苦しみに耐え

彼女は、(かろ)うじてその生命の炎を繋ぎ止めて居た――》


「ぐっ……マリーン……さん……やめ……てっ……」


《――そんな中


彼女(メル)(かばん)から飛び出した精霊族のベン

魔導封じ効果が(ゆえ)か、弱々しくも飛び立った彼は

瀕死の重症を負ったメルに対し、振り返る事さえ無く

その場を離れて行った……だが。


彼の行動は“逃亡”では無かった。


彼は――》


………


……



「メルちゃん……さよならっ! ……」


《――言うや否や

“エデン”へと特攻を仕掛けたベン……直後、彼の活躍に()

魔導封じの呪具は完全に破壊された。


……全ては“呪具”を消し飛ばす(ため)

この、絶体絶命の状況を打破(だは)する(ため)

決して阻害(そがい)される事の無い“体内での魔導爆発”を(もち)

刺し違える覚悟で“呪具”を破壊した彼は

(みずか)らの命を燃料とした“魔導爆発”に()

瀕死(ひんし)の状態に(おちい)って居た……だが

そんな状況下に()って(なお)、彼はメルに対し

状況を打破する(ため)に必要な

唯一(ゆいいつ)絶対の答えを伝えようとして居た――》


「メルちゃ……ん……君の……中には……オークの……血が

流れ……てるんだ……ッ……君の……特別な生まれの……力

固有魔導……を……発現(はつげん)させる……んだ……ッ……」


「……ベン!? ……分からないっ……分からないよ!

私に固有魔導なんて……どうやって……」


「違う、君は知って居る筈だ!!

(ただ)……足りないだけなんだっ!! 」


「足りないって……何がっ?! 何が足りないのっ?! 」


「全てを……全てを投げ捨てる覚悟で……ッ!!

祈……るんだっ!!! 後少しで……君は……うぐぅっ!! ……」


《――誰一人として立ち向かえる者の無い中

それでも、命を()し……息も絶え絶えに成りながら

ベンが必死に彼女(メル)へ伝えようとした事――


“オークの血”


“特別な生まれの力”


“固有魔導”


――断片的過ぎるこの情報を元に“新たな力”を得る事など

不可能とすら思える程の要求だった。


だが……彼女(メル)は思い出した

彼女の憧れであり、最愛の存在が語った


“状況”を――》


―――


――



「あのっ! ……主人公さんの固有魔導って凄い能力ですけど

一体どうやって習得したんですかっ?


そ、そのっ! ……私ももっと皆さんのお役に立ちたいので

是非とも“固有魔導習得のコツ”みたいな物を私にもっ! ……」


「……えッ?

メルはそのままでも別に……って

これじゃ答えに成って無いよね……でも実際

その時の事を話しても、多分メルの役には立てないと思うんだよね」


「ひ、(ひど)いですっ! 私だって頑張って強くなろうとっ! ……」


「えッ? ……ち、違う違うッ!

そう言う意味じゃなくてッ!!!

何て言うかその……あの日、俺は別に

“特別な事をした”とかって訳じゃ無くて!

(ただ)……必死で“願い続けた”だけなんだ」


「願い続けた? ……どっ、どう言う事ですかっ?? 」


「“皆を助けられるならば、俺の命すら投げ出しても良い”


……そう、自分でもびっくりする(くらい)

本当に“全部”……見事な(くらい)

全てを投げ捨てる覚悟で祈り続けたんだ。


そうやって必死で祈った結果

ギリギリの所で固有魔導を“授けられた”ってだけだから……」


《――この瞬間

そう真剣に(かた)った主人公……だが、そんな彼に対し

マリアは少し意地悪(いじわる)げに微笑(ほほえ)みながら――》


「え~? ……その説明は“(クサ)()ぎ”ません?

そもそも、主人公さんって魔導師としての能力値が“規格外”ですし

(すで)に習得してたのを“気が付かなかっただけ”

……とかじゃないんですかぁ~? 」


「マリアお前……それ、褒めてる様で

物凄~く(けな)してるよな? って言うか

そもそも“俺の能力”じゃ無いんだってば!

どう説明して良いのか分かんないけどさ……


……“天国っぽい所”から

俺に声を掛けて来た“おっさん”が居て

その“おっさん”が俺に固有魔導として……」


「ナニソレ、キモチワルイ」


「っておいッ!!! 」



――


―――


「分かり……ました。


ベン……貴方の言って居る意味が……私にも分かりましたっ!!!


……神様、私はどうなっても構いません

だから、主人公さんを助けてくださいっ!!


マリーンさんを……皆さんを元の関係性に戻せる様

どうか……どうかっ!! ……私に力をっ!

主人公さんを……救えるだけの力をっ! ……」


《――この瞬間

天を(あお)ぎ、そう祈りを捧げ始めたメル……だが

この行動を嘲笑(あざわら)った所長は――》


「何をごちゃごちゃと……面倒だ、M(エム)

半端(はんぱ)に生かす必要は無い……殺せと命じた筈だ。


どれからでも構わん……全てを殺せ」


《――そう、冷酷に命じた

直後、命令を受けたマリーンは――》


「了解、目標……全敵の殺害……個体名“エデン”保護の(ため)

“ベン”を優先し殺害します――」


《――今にも消え入りそうなベンの命を

刈り取らんと、差し迫った。


だが――》


………


……



「マリーンさん……相手は私ですっ!!! 」


《――瞬間


そう呼び掛けた声と共に発せられた凄まじい闘気(とうき)

直後、マリーンの手は(すんで)の所で止まり――》


「対象をメルに変更、対象を殺害します――」


《――直後


凄まじい勢いでメルに向け突進を繰り出したマリーン

だが――》


………


……



「マリーンさん……私、思い出したんです。


……勿論(もちろん)、私は主人公さんの様に強くないですし

そもそも私は回復術師(ヒーラー)ですから

攻撃系の技が使えない事も良く理解してますし

何よりも……主人公さんや皆さんの優しさで

一緒に旅をさせて貰ってるだけなんだって

自分でも良く分かってるんです……きっと

本当は私、お荷物なんですっ……だけど。


……だけどっ!!!

それでも……そんな私でもっ!

皆さんの事が大好きですし……大切なんですっ!

皆さんの事を……何としても(まも)りたいんですっ!!!


だから……今だけは私が皆さんを(まも)るんです。


(まも)られるだけのメルじゃないっ!

……全力の私を見せるんですっ!!!

たとえそれが、主人公さんに嫌われる行為だとしてもっ!

マリーンさんの事を……倒さなきゃいけないとしてもっ!!! 」


《――この瞬間

涙ながらにそう(かた)ったメル。


対するマリーンは――》


「ぐガッ……サ……殺害……対象:メル

脅威度:最高……全ての命令を破棄し、優先撃破します」


《――折れた翼から突き出た鈍色(にびいろ)の骨

瓦礫(がれき)を押し()け――


“大きく姿の変化した”


――彼女(メル)(にら)みつけながら、そう言った。


マリーンの瞳に映るメルの姿……それは

(まご)(こと)()き“オークの血”を感じさせる物であった。


……この瞬間、彼女(メル)発現(はつげん)した“固有魔導”は

彼女に二つ有るルーツの内の一つ――


“オーク族”


――その“始祖(しそ)”の姿に変化する事


彼女は……ガルドすら(かす)む程の

強靭(きょうじん)な肉体を手に入れて居た――》


「何だ? ……何だ何だ何だその女は?!


……面白いっ!!!

(ただ)のハーフ族と考えて居たが

貴様の様な小娘が居たとはなっ!!

これは……研究材料として是非とも手に入れたい!!

何をしているっ?! M(エム)

何をしているっ?! E.D.E.Nシリーズ共っ!!!

……早くその娘を捕らえんか馬鹿どもがッ!! 」


《――嬉々とした表情を浮かべつつそう命じた所長

だが……彼女達は身構えたまま動かなかった。


その“理由(わけ)”は――》


「……ベン君、君のお陰で私達も全力で戦える様に成った。


君の、その精神に敬服(けいふく)すると共に

それを決して無駄にはしないと誓おう……さて、エデン。


もとい……“E.D.E.Nシリーズ”よ

私の妹の姿をした君に、一つだけ伝えて置こう。


“すまない”と――」


《――静かにそう言ったディーン

直後――》


「――固有魔導:地獄之番犬(ケルベロス)

(さば)きを与えよッ!! ――」


《――その手から溶け落ちた(ディーン)の愛銃:オルトロスは

三ツ頭を(ゆう)する“漆黒の番犬”へと姿を変えた。


そして――》


「お久しぶりですわね“ワンちゃん達”……っと失礼

ディーン様……私も補佐を致しますわね。


固有魔導:斑黒猫(チェシャ)

()(みだ)して――」


《――瞬間


猫系獣人族と見紛(みまが)う姿へと変貌を()げたタニア

一方、ギュンターは“固有魔導(オベリスク)”では無く――》


流石(さすが)はお二人で御座います……さて

私めも久し振りに“これ”を使用する時が来た様ですな? ……(ただ)


あまりに(ひさ)しく使っておりませんので

(なまく)ら”に成っていなければ良いのですがね――」


《――直後


燕尾服(えんびふく)の下に巻き付けられた“何か”を取り出すと

それを一度(ひとたび)振り回したギュンター

その手に有ったのは、身の(たけ)三倍を超える

“長剣”で――》


「――ふむ、切れ味は落ちていない様ですな。


さて……全力で掛かって頂けますかな?

あまりに不甲斐無い相手では、剣が機嫌を損ねてしまいますので」


《――“城壁を両断した後”

ダンに向け、そう挑発をしたギュンター

一方、これに憤慨(ふんがい)した所長は――》


「チッ! ……E.D.E.Nシリーズよ、先にD.E.E.Nシリーズを倒せ!!

私に歯向かう様な失敗作など殺しても構わんっ!!

万が一にも失敗すれば貴様らも廃棄処分だッ! ……良いな!? 」


《――そう、命じたのだった。


一方……“魔導封じ”の効果から逃れたマグノリアは

急ぎ主人公を始めとする“重症者達(マリア・ガルド・ベン)”に対し

彼女の固有魔導である

“精霊女王之歌声”を(もち)いた治療を行おうとして居た。


……だが、反面

彼女は“躊躇(ちゅうちょ)”をして居て――》


「この様に早期に“使い切る”事に成るなんて……」


《――そう言って拳を握り締めたマグノリア

彼女の固有魔導には“デメリット”が存在して居た――


“三度を超え歌声を()きし者、(いわ)いを失い(のろ)いを得る”


――此処(ここ)で使い切る事に

(わず)かながら躊躇(とまど)いを感じて居たマグノリア

だが――》


「今しか機会(チャンス)は無い……それに

主人公(アナタ)が死ぬのだけは、見たく無いのですワ。


例え魔族を()(ほろ)ぼす(ため)には成らずとも

ワタシは、主人公(アナタ)を失いたく無い――


――固有魔導:精霊女王之歌声ッ!!! 」


《――直後

彼女(マグノリア)は、皆に対する“最後の治癒”を開始した――》


「うぐっ……ぐはっ!? ……ゲホッゲホッッ!!

リ……リーア? ……み、皆ッ?! ……マリーンは!? 」


《――主人公(かれ)を皮切りに

仲間達が皆、続々と治癒され始めて居たその一方

状況を不利と見るや、研究所内部へと退避(たいひ)した“所長”


一方――》


「有難うリーア……傷は完全に(なお)った

後は、俺の力で全員助けて……全員倒すッ!! 」


《――そう、意気込んだ主人公

だが、そんな彼を慌てた様子で制止したベンは――》


「待ってッ! 君は戦っちゃ駄目だっ!

もし、万が一……“あの姿に成った”マリーンさんを

元に戻す方法が無かった時、君の固有魔導以外では

彼女を治せないかも知れない。


……君も知って居る筈! 君の固有魔導は魔導消費が(キモ)

だからお願いッ! ……今は我慢してメルちゃんや皆に任せてっ! 」


《――懸命(けんめい)にそう言ったベン

そして、この直後……激しく響いた轟音(ごうおん)

思わず視線を向けた主人公は――》


「あ、あれは……オーク族? でも、服が……まさかメル?! 」


《――固有魔導の所為で“大きく見た目の変化した”メル

彼の知る、普段の優しく(あい)らしい姿とは

大きく異なるその姿、だが――》


「あっ! 主人公さんっ!!

やっとお目覚めに成ったんですねっ! ……あっ、でもえっと

い、今はちょっと……そのっ……


……マリーンさんと“女の戦い”って奴を頑張ってるんですっ!!

そのっ、お見苦しい姿をお見せしちゃって……ごめんなさいっ! 」


《――この瞬間

主人公(かれ)に心配を掛けまいと気丈(きじょう)()()ったメル


そんな彼女の姿に――》


「……分かった。


今日だけは“女の戦いって奴”に口出ししないよ、だけど

その代わり……解決した後は

“仲直りのジュース”を皆で一緒に飲もう!


それと……勝った方には

何か欲しい物を一つプレゼント!! ……って

これだと(あお)ってるみたいだよな! アハハハ……」


《――押し寄せる不安の中

必死に……叫ぶ様にそう伝えた主人公。


そんな彼に対しメルは――》


「はいっ!! 」


《――そう

“満面の笑み”で(こた)えたのだった――》


………


……



「……なっ?!


先程よりも押されているでは無いか馬鹿共がッ!!!

せめて一人位倒せんのかグズ共がッ!!! 」


《――その一方

大量の改造兵達を引き連れ、再び一行の元へと現れた“所長”は

現れるなり、そう憤慨(ふんがい)して居た。


だが、そんな彼の立ち居振る舞いに――》


「全く……何処(どこ)までも上に立つ者の器では無いな」


「ええ、主人公さんみたいな“甘々で泣き虫でひ弱な人”でも

彼処(あそこ)まで仲間のやる気を下げる事はしませんからね~」


《――そう、少しばかり嫌味に言った

ガルドとマリア――》


「ぐっ……貴様らの様な“仲良しこよし”で

(こま)を失う度に一喜一憂(いっきいちゆう)する様な者共など

戦場では何の役にも立たんわッ!! 」


「あ~……やっぱりだこの人。


……ガルドさん、この人やっぱりアホです

こう言う発言が原因で“あんな戦いに成ってる”のとか

まるで見えてないんですよ? きっと」


《――そう言ってマリアが目を向けた先には

ディーン隊とE.D.E.Nシリーズの姿があり――》


………


……



「おい姉御ぉ……そろそろ防御も限界だぜ……キッツ……」


「チッ……分かっていますわ!!

ダンッ!! 今ですわッ!!! ……」


「承知ッ!! ――」


《――瞬間


戦艦:バジリスクを出現させたダンは

出現と同時に“全弾発射(フルバースト)”を発動させ

空を埋め尽くす程の砲弾をディーンら目掛け一斉に降り注がせた。


だが――》


(よみがえ)れッ! オベリスクよ!!! ――」


《――瞬間


オベリスクを緊急発動したギュンター……だが、直後

彼を含め……皆、砲弾の雨に飲まれ黒煙の中に包まれてしまった。


……降り注いだ砲弾に()り周囲の地面は(えぐ)

其処彼処(そこかしこ)から黒煙の上がる中――》


「いやはや……間に合って良かったですな、ディーン様」


「全くだ……しかしギュンター“オベリスク”は大丈夫か? 」


「無論でございます……“本体”は無事でございますから」


「ですが、私は服が汚れてしまいましたわ? ……全く

折角(せっかく)ディーン様が


嗚呼(あぁ)、この世に舞い降りた天女の様だ! ”


と褒めて下さった大切な装備だと言うのに……」


「タ、タニアよ……さっきも言ったが

私は其処(そこ)まで褒めた覚えは……」


《――黒煙の中から発せられた

ディーン達の声……その、楽しげな会話は

彼らの無事を物語(ものがた)って居て――》


「ま、まさか“愛機”を盾にするとは……」


《――薄っすらと見えた人影を確認した瞬間

(ひど)く肩を落としながらそう言った“ダン”


そして――》


「……ええ、大切な“愛馬”で御座いますので

この様に痛めつけられるのはとても腹立たしい限りで御座います。


ですが……ディーン様やライラ様をお(まも)り出来るのならば

たとえ大破してしまおうとも、大した損害ではありません。


とは言え……“愛馬”を傷つけた事を許すつもりは御座いませんよ? 」


《――直後

オベリスクの影から現れたギュンターは

冷たい殺気をその身に(まと)わせながらそう言った。


この後……ディーン隊の三人は、その圧倒的な連携力で

E.D.E.Nシリーズに一切の(すき)を与える事無く

圧倒的優位に立ち続け――》


………


……



「ぐっ……貴様ら、何をチンタラとやっているッ!?

私に恥をかかせるつもりかッ!! 」


《――そんな彼らの様子に

再び激昂(げきこう)した“所長”……だが

そんな所長に対し――》


「恥だと? ……吾輩(わがはい)の“生涯の友”は定期的に“かいて居る”が

少なくとも、吾輩(わがはい)はそれを(さげす)もうとは……見下そうとは思わぬ。


やはり貴様には人の上に立つ器などありはしない様だ……」


「だっ……黙れぇぇぇっ! “ブタ(こう)


……良いだろう、貴様らのその軽口

何処(どこ)まで通用するか見せて貰おうではないかッ!!!

改造兵共ッ!! ……全員(まと)めて掛かれェェェッ!!! 」


《――直後


一〇〇を優に超える改造兵達は

群がる様に二人(ガルド・マリア)へと襲い掛かった、だが

この途轍(とてつ)も無い数の暴力に押されず

襲い来る敵を軽々と()ぎ倒し続けた二人は

援軍としてこの場に到着したロミエル正規軍をも容易(ようい)に打ち倒し

所長の“手駒”を完全に殲滅(せんめつ)し――》


「なっ……何なんだ貴様らはッ?!

く、くそっ……()られてたまるか!!

この程度の事で私の研究者としての人生をッ!!!


……お、おい貴様らッ! それ以上近付くんじゃ無いッ!!

こんな所で()られる位ならば、貴様ら諸共(もろとも)巻き添えに

E.D.E.Nシリーズに仕掛けて置いた“呪い”を発動させるぞ!?


わ……分かって居るのか!?

発動すれば、この付近一帯(いったい)は跡形も無く吹き飛ぶのだぞッ?!


い、良いんだなッ?! ……」


《――(ひど)く興奮した様子で

(ふところ)から何らかの呪具を取り出しそう言った所長

だが……この瞬間、突如としてその背後に現れた


“黒い影”――》


「……おやおや、あまりに騒がしいので来てみましたが

とんでも無い騒ぎに成って居ますねぇ? ……」


「なっ?! き、教皇(きょうこう)様っ?!

ご、ご安心を! もう少しで奴らを! ……」


《――何処(どこ)からとも無く所長の背後へと現れた


“教皇”……彼は、(しばら)くの間

“所長”の弁明をにこやかな表情で聞き続け――》


「えぇえぇ、そうですかそうですか……その様に考えて居たとは。


それは何とも“愚かしい”――」


《――突如として発せられた凄まじい殺気に

金縛りの(ごと)くに固まった“所長”


直後……そんな彼の首を静かに()ねると

“教皇”はE.D.E.Nシリーズに仕込まれて居た呪具を完全に解除した。


……この異質な敵に(おのの)

慌てて距離を取ったマリアとガルド

だが……そんな二人には目もくれず


“教皇”は既に絶命した“所長”に向け――》


「――所長殿。


貴方“程度”に道連れにされては、この国の格が落ちる

それに貴方は“命に変えて責任を取る”と言った

(みずか)らの言葉に責任を持ちなさい……」


《――と、吐き捨てた直後

所長の全てを魔導で焼き払い――》


「さて……貴方達は、人間の女性とオーク族の(オス)ですか

(いず)れ劣らぬ良い腕をお持ちです……ですが。


私に勝てますかな? ――」


《――言うや否や

二人の眼前から消えた“教皇”は――》


「おや? ……遅いですねぇ? 」


《――直後、マリアの背後を取りそう言った

だが、咄嗟(とっさ)に範囲攻撃を繰り出したマリアは

(すんで)の所で九死に一生を得て居た――》


「とりゃぁぁぁッ!!! 」


「おっと、危ない危ない……良い反応ですな? 」


《――熾烈(しれつ)を極めた教皇との戦い

一瞬たりとも気を抜けない状況の中

互いの背中を守りながら教皇の(すき)(うかが)って居た二人。


一方、教皇は余裕の笑みを浮かべつつ――》


「おやおや、(ひど)く警戒されている様ですね……

……私の様な老人相手に、其処(そこ)まで警戒されずとも良い物を」


《――そう言った。


この後、圧倒的な実力差に苦しめられて居た二人は

必死にお互いを鼓舞(こぶ)しあい、この戦いに耐えて居た。


一方……(なお)も暴走を続けるマリーンを

メルは必死に“引き戻そう”として居た――》


………


……



「……マリーンさん、思い出してください。


水の都の民達を……貴女が苦しんだ魔族の血の事を

私達が大好きな主人公さんの事を……皆さんとの絆を。


何よりも……貴女自身の優しさをっ! 」


「ギギッ……ガァァァァァァッ!!!

モクヒョウ……ゴロ゛……ス!!! ――」


《――瞬間

メルに対し突進を繰り出したマリーン

だが、これを容易(ようい)に弾き飛ばしたメル。


……固有魔導を発動した彼女(メル)に取って

暴走状態のマリーンは、(すで)にさしたる脅威では無くなって居た。


だが……幾度(いくど)と無く彼女(メル)に突進を繰り返すマリーンの

“痛々しい姿”は、確実に彼女(メル)の心を傷付けて居た――》


「……マリーンさんがどれだけ私を攻撃しても

もう、全然痛く無いんですっ……だから

その事を怒ったりもしません、でも……でもっ!!

マリーンさんの(つら)そうな姿を見続けるのは……


……もう、耐えられませんっ!


お願いっ!! ……私達の元に戻って来て下さいっ!!! ……」


《――必死の説得も(むな)しく

(なお)彼女(メル)に向け突進を繰り出し続けたマリーン

それぞれの想いと共に繰り広げられて居た戦いの中……


……そんな仲間の姿を

(ただ)、見守る事しか出来ずに居た主人公は――》


「マリーン! ……メル! ……マリア! ……ガルドッ!!!

くッ!! ……」


「待つんだ主人公!!! ……気持ちは分かる

だけど……動いちゃ駄目だっ!! 」


「……退()いてくれベン!

これ以上このまま“座して待つ”なんて俺にはもう出来ないッ!! 」


《――既に“限界”を迎えて居た主人公

そんな彼を必死に説得していたベンとマグノリア

だがそんな中、再びメルへと突進を繰り出したマリーンに

突如として、ある“異変”が起きた――》


「グゥゥッ!! ……ぐっ! ……あああっ!!! 」


《――これまで“薬”の効果に()

“魔族”としての側面を強められて居たマリーン


……だが、突如として

(むらさき)に染まって居た瞳は

彼女(マリーン)本来の物へと戻り始め――》


「……その……声は……メ……ル……ちゃん……!?

うぐぅぅっ!!! ……」


「?! ……はいっ! メルですっ!


あっちには主人公さんも居ますから!

だから……一緒に“仲直りのジュース”を飲みましょうっ!

それで今回の事は仲直りですっ! だから! ……」


「うぐっ!? ……主人公ッ!!!

あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっ!! ――」


《――直後

割れんばかりに痛む頭を(おさ)えながら――》


「こん……な目に……私を苦しめた……のは……誰ッ!!? 」


《――再び、(むらさき)に染まった瞳で

メルを(にら)み付けながらそう(たず)ねたマリーンに――》


「そ、それは……あの“法衣姿”の方が倒した

“所長”って方で……でも、その人は(すで)に……」


「了……解ッッッ!! ――」


《――瞬間

彼女(マリーン)はメルの眼前から“消え” ――》


「マ、マリーン……さん?

……ッ!? 」


《――直後


衝撃波を(とどろ)かせ、転移と見紛(みまが)うばかりの速度で

空と地上の“(へだ)()く”連続移動を繰り返したマリーン


それは……誰を狙うでも無く、(ただ)ひたすらに

その“速力”を更に向上させる(ため)であった――》


「……おやおや?

“あちらさん”は(つい)に狂ってしまった様ですねぇ?


……お可哀想(かわいそう)に、さて

此方(こちら)もそろそろ終わりにしましょうか

“お二人さん”……逃げ回るのも其処(そこ)までですよ? 」


《――肩一つ揺らさず

息一つ弾ませる事無く、二人に対しそう言った“教皇”


……そんな彼とは対照的に、二人は既に満身創痍(まんしんそうい)であった。


言うまでも無い“圧倒的不利”

だが――》


「苦しい……原因……命令……了解ッ!!

所長、教皇……許さない許さない許さない許さ……ない……!

ゆ゛っ゛!! ……キ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!! 」


《――直後

ロミエル法王国全域に響き渡った超音波の様な――


“悲鳴”


――その“発生源”は

空中で(ただよ)う様に静止して居たマリーンであった――》


「おや? これは流石(さすが)に……」


《――その姿を見上げ、静かにそう言い掛けた教皇

だが、この瞬間――》


「か……はッ……な……に……が……起きたので……す……」


《――口元を血に(まみ)れさせたマリーン

そんな彼女の姿を見上げながらそう言った教皇。


マリーンは……“教皇”の喉笛(のどぶえ)を噛み千切(ちぎ)

その頭部を(かか)えたまま虚空(こくう)を見つめて居た――》


「成程、これだから魔族は……嫌いな……ので……すよ……」


《――(ようや)(みずか)らの状況を(さっ)した教皇は

薄れゆく意識の中でそう(さげす)み――》


「ですが、(ただ)では死にません……よ。


固有……魔……導……“反逆(リベリオン)”――」


《――死の直前、放った最後の魔導

この固有魔導は……術者が受けた物と

“同じ傷”を相手にも与えると言う物であった――》


………


……



「が……はッ……」


《――直後


赤黒く(えぐ)られた彼女(マリーン)喉笛(のどぶえ)

鮮血(せんけつ)吹き出す中、彼女は――》


「メルちゃん……仲直りのジュース……飲めそうも無いわ……ね

主人公……ずっと愛して……た……」


《――空を見上げながら

“最期”にそう言った――》


………


……



「う、嘘だろ? ……マリーン。


マリーン?! ……駄目だ、死なせないッ!!

“限定管理者権限”ッッ!! ――」


《《――命令を承認

中央処理機構(システム)より通達……


……対象へ限定的に

“管理者権限”を移譲(イジョウ)します――》》


「良し! ……今()ぐにマリーンを生き返らせろッ! 」


《《――“ERROR(エラー)

禁止事項に抵触します――》》


「禁止? ……ふざけるなッ!!

なら、この国の全ての人間を使っても良い

“生命力の移譲(イジョウ)”とかって機能で

マリーンを生き返らせてくれッ!!! 」


《《――“ERROR(エラー)

“対象”の権限が不足しています――》》


「権限が不足? ……どう言う意味だよ?!

くそッ! ……どんな方法でも良い!

マリーンを復活させる(ため)なら何でも良いから!!

何かそうする(ため)の方法を教えてくれッ!!! 」


《《――“ERROR(エラー)

不正なコマンドを確認しました

“対象”への“限定(げんてい)移譲(いじょう)”を強制終了します――》》


「なッ!? ……お、おい! 待てよ!

マリーンを……おいッ!!! ……」


《――(なお)も必死に呼び掛け続けた主人公

だが、彼の腕の中で彼女(マリーン)は既に息を引き取って居た――》


………


……



「……駄目だ。


駄目だ! 駄目だ! 駄目だ! 駄目だッ!!


……こんな別れなんて望んで無いッ!!!

何も叶えずに魔導力だけ消費してんじゃねえよ!!!

完全回復(パーフェクトヒール)ッ!! ……くッ!!!

何か……何か方法くらいある筈だろッ!?

此処(ここ)は俺のッ!! ……俺の作った世界だろうがッ!!

俺が楽しめる世界じゃないのかよッ!!?

こんなの……俺の望んでる事じゃ無い事位分かるだろッ?!!

そうだ……そうだッ!! ……マリーナさんから貰った人形だ!!

こいつに頼めばきっとマリーンは!!


……頼むよ人形、何でもする!

俺の命でもくれてやるからッ!!! ……頼むから

マリーンを……助けて……くれ……ッ……」


《――泣き叫び

(つい)には(すが)る様に必死に願い続けた主人公

だが、そんな彼の姿を(そば)で見守って居たメルは――》


「主人公さん……もう、マリーンさんは……」


「……離してくれッ!!!

何でこんなクソみたいな理由で

マリーンが死ななきゃならないんだよッ!!!

マリーナさんに対して、水の都の民達に対して……


……お父さんである水の都の王に対してッ!!!

どうやってッ……何を持って顔向け出来るってんだよッ!

くそっ……頼むよ……マリーナさん!!!


……貴女の大切な娘の危機なんですッ!!!

この人形が本当に冗談無しの()()無しに

願った事をちゃんと叶えてくれる物だってんなら

この一回だけで良い……だから……頼むッ!!!

マリーンが死んだら、俺は……俺は……ッ……」


「……主人公さん。


もう、マリーンさんの事を眠らせてあげて下さい

主人公さんのそんな顔……マリーンさんは……見たく無……」


「……(うるさ)いッ!!

(うるさ)(うるさ)(うるさ)いッ!!!

そんなに簡単にマリーンの事を諦められるメルなんか……


……大嫌いだッ!!! 」


《――瞬間

彼女(メル)を押し退()

(なお)もマリーンの亡骸(なきがら)(すが)

“願いを叶える”と言う人形を片手に

声を()らし泣き叫び続けた主人公……幾度(いくど)と無く

彼女(マリーン)完全回復(パーフェクトヒール)(ほどこ)し続けながら

魔導量の心許無(こころもとな)い中、彼は最後の頼みとばかりに

人形に対し残り少ない魔導力の供給を(おこな)った。


だが、何かが起こる事は無く――》


「俺の……俺のクソみたいな命なんかより

マリーンの命は何千(なんぜん)何億(なんおく)倍も重要な命なんだよッ!!

グッ……た……のむッ! ……頼……むから……ッ!!! 」


《――無理な魔導供給に()衰弱(すいじゃく)し始めて居た主人公

そんな彼の暴挙とも言える行動に仲間達は慌て

彼を羽交(はが)()めにして居た……だが


それでも(なお)、彼は諦めず――》


「命の移譲(イジョウ)……いや

トライスター専用技にもそんなのは無い。


だが、何かがあった筈だ……命に関わる何かが……


闇の魔導……生贄(いけにえ)の魔導……これだッ!!! 」


「なっ?! ……主人公さんっ!! その技は駄目ですっ!! 」


(うるさ)いッ!! ……離せッ!!! 」


《――メルの制止を振り切り

彼が発動させようとして居た魔導


彼が見つけた“生贄(いけにえ)の魔導”とは

(みずか)らの命を“生贄(いけにえ)”に対象者を生き返らせる事の出来る

唯一(ゆいいつ)の魔導技であった……だが、同時に

生き返った対象者は人では無い“何か”として(よみがえ)る事

それは(ぞく)に“魔物”や“鬼”と呼ばれる存在である事

メルは、()れを知って居た――》


「主人公さんがそんな事をしてっ!

主人公さんが死んで……それで何でっ!!

……何でマリーンさんが何で喜ぶと思うんですかっ?!! 」


「ならどうやって……どうやってマリーンを助けたら良いんだよ?!

何をどうやったらこんなクソみたいな状況を変えられるんだよ?!!

何でこんな事に成るんだよッ!? ……」


《――激しく言い争い

興奮し、手にして居た人形を強く握った主人公


瞬間、強く発光した人形は――》


………


……



「全く……とんでも無い“駄々っ子”を転生させてしまった様だ」


《――そう

確かに声を発した――》


===第七二話・終===

精霊女王マグノリアの固有魔導《精霊女王之歌声》についての機密情報


効果:使用者の望む相手に対する精神と肉体の双方への治癒効果

(およ)び、幸運値の大幅上昇に()る“奇跡”の発生確率上昇効果


備考:歌声が聞こえる筈の範囲に存在して居ようとも

使用者の望まない相手にその効果と歌声が届く事は無い。


情報源:秘密裏に彼らを(のぞ)く者

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