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異世界転生って楽勝だと思ってました。  作者: 藤次郎
第一章

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第四話「新たに得た装備、楽しい生活が始まるの……か? 」

<――マリアが検定官らしき人と何処(どこ)かへ立ち去って(しばら)()ったが

何か問題でもあったのだろうか? ……いや、問題だよな。


遠目で見てても“騒ぎに成ってた”のは分かってたし……


……なんて事を考えながらラウドさんと話して居たら

“とんでも無い格好”をしたマリアが帰って来た――>


………


……



「で! ……“ぱふぱふ”出来ると言う訳なんじゃよ~! 」


「な、成程……それは今度、是非一緒に行きましょうッ! 」


「ほほう、主人公殿は趣味が良いのぉ……わしも嬉しいぞぃ! 」


「主人公さぁ~~んっ! ……装備手に入りましたよ~っ♪ 」


「っと、マリアが帰って来たみたい……でッ?!


な……何だその格好ッ?! 」


<――何処(どこ)の店に行けば手に入るのだろうか?

マリアの装備している防具はサイズが全く合っておらず

防具なのに“へそ出し状態”だった。


いや、成程……これがかの有名な“ビキニアーマー”か。


……と思う程に。


だが……唖然(あぜん)として居る俺の事などつゆ知らず

手に入れた装備を自慢するマリアの様子に

俺は若干引いて居た――>


「ねぇねぇ主人公さん! ……この装備、凄く格好良くないですか?

兎に角凄い装備なんですよ~っ?

って、主人公さん? ……何で固まってるんですか~?


似合ってます~?

似合うって言ってくれないと泣きますよ~? 」


<――この問いに対し

俺は……つい“思っていた事”を

そのまま口にしてしまった――>


「その……エロい」


「……なんて事言うんですか!!!

ここの隙間(すきま)恥ずかしいのに!! 」


「ああ、一応“()じらっては”居たのね」


「えっ? ……(ひど)いっ!! 」


<――などと話していたら

急にラウドさんが取り乱し始め――>


「そ、その装備はバーバリアンの……


……あの店主がお主に(たく)したのかね?! 」


<――と(たず)ねたのだが。


バーバリアン? ……聞いた事が有る様な無い様な

でも、俺そんな設定したっけか?


……なんて事を考えて居たら

二人は真剣な雰囲気で話し始め――>


「はい“装備も(むく)われるだろう”って(おっしゃ)ってました」


「そうかね……あの店主も救われたじゃろうて」


<――正直、横で聞いて居ても気になる内容だったので

詳しい内容を(たず)ねた俺。


だが――>


「……主人公さんには秘密ですっ!

“エロい”なんて語彙力(ごいりょく)もデリカシーの欠片も無い反応したから

絶ぇぇぇっ対に……秘密ですっ! 」


「い、いやその……ごめん」


<――どうやら俺はマリアを怒らせてしまった様だ。


“流石に悪い事をしたなぁ”……と思い始めて居たこの直後

十二時を告げる鐘の音が鳴り響き――>


「……おぉ、丁度良い時間じゃ!

今度は主人公殿の装備も作らねばのぅ! 」


「ええ! ってあれ? 連絡は……」


「ん? ……先程“魔導通信”でしておいたぞぃ? 」


「そ、そんな事が出来るんですか?! 」

(電話みたいな物だろうか? )


「うむ、主人公殿も使える様に成るぞぃ? 」


「ほぇ~ッ楽しみだ! っとマリアも一緒に……って。


や、やっぱり宿に戻っててくれるかな?……」

(やっぱりその“格好”は破廉恥(ハレンチ)が過ぎると思うし)


「えぇっ?! 何でですか! 私も行きますよ?! 」

(……何か失礼な目線を感じます! )


「い、良いからお願い……戻ってて!

そ、そうだッ! ……物理職と魔導職は“犬猿(けんえん)(なか)”らしいんだ!

マリアは物理職でしょ? ……だからほら!

おッ、俺は凄く凄ぉ~く来て欲しかったけどさ!


その、後々面倒事に成ったりとか……ねッ!?


マリアが大切だからさ! ……お願いッ! 」

(神様仏様……お願いだからこの子を止めてッ! )


「もぉ~……優しいですねぇ主人公さんったら

分かりました、私は一度ヴェルツに戻ってますね~」


「有難う……何かごめんね! 」(……助かったァァァァ! )


「ふむ……では行くとしようかのぅ」


<――この瞬間

マリアが心変わりしてついて来ない様

ありとあらゆる神に祈りつつ、少し足早に立ち去った俺。


そして……決して豪華な(たたず)まいでは無いものの

素人目に見ても分かる程、高品質な物しか扱わない事が見て取れる

そんな店に案内された俺は……その“金額”に覚悟しつつ

店主と会話するラウドさんを少し後ろで眺めて居た――>


………


……



「ラウドさんいらっしゃい……そちらの御仁(ごじん)が例の? 」


「そうじゃよ? ……主人公殿、自己紹介を」


「あっ……はいっ!!

主人公と言います、ラウドさんの紹介で本日は……」


「いえいえ……そう緊張されずとも(よろ)しいですよ

しかし……流石はラウドさん直々だ

凄まじい魔導適正を感じますな? ……さて。


早速ですが、材料をこの鍋へ入れてくれますかな? 」


「え、あっその……全部入れたら良いですか? 」


「いえいえ……貴方が思う量で構いませんよ? 」


「そ、そうですか……では……」


<――直後

言われるが(まま)に目の前の鍋へ黄金の塊を数個投入した俺。


すると――>


「……では、溶かす間に目を目を(つぶ)

貴方の想いを念じ、この鍋に“飛ばして”くれますかな? 」


「想いを飛ばす……難しそうですがやってみます」


<――勿論(もちろん)、完全に理解した訳では無いが

取り敢えず鍋に意識を集中してみる事にした。


すると……驚いた事に、俺の体から

光の玉が発生するイメージが頭の中に浮かんだ。


正直かなりびっくりしたが

その光は鍋に向かって飛んで行き

溶けた黄金と混ざり合った……様な


“気がした”――>


「まだ目を開けてはいけませんよ? ……ほう、成程。


……この“色”が出るとは」


<――そう言った店主の一言に

鍋の中がどうなっているのか確認したくて(たま)らなくなって居た俺。


そんな邪念の(わず)かに混ざった様な心境の中

“まだ飛ばし続けますか? ”と(たず)ねた俺に対し――>


「あと少しです……よし完成だ。


もう、目を開けても良いですよ……」


<――そう言われ

期待を胸に目を開けた俺の前には――>


………


……



「紫と、黒と……金? 」


「ええ……やはり、魔導適正が異様に高い様ですな。


さて……あとは少し冷えるまで待ち

形が出来始めましたら、貴方が手をかざせば完成です。


っと、ラウドさん……私は用があるので少し店をあけますが

(しばら)くの間、店番を頼まれて頂けますかな? 」


<――そう言うと店主は店を出て行った。


一方のラウドさんは鍋を(のぞ)き込みながら


“やはりこの色に成ったんじゃのぅ”


と、言った――>


「あの……この色には何か意味が有るんですか?

見た所、マリアの装備も同じ様な組み合わせでしたけど……」


<――そう言いつつ

マリアの“ビキニアーマー”……もとい、防具を思い出した俺。


と言うか、あれは……ずっとあのままなのだろうか?

俺に取っては“眼福(がんぷく)”だが

“あんな状態で”防具としての意味が有るのだろうか?


……などと考えていた邪念だらけの俺の精神を

叩き直す程に重苦しい話を始めたラウドさん――>


「……昔、大きな戦いがあってのぉ。


初代トライスターが命を()して(から)くも勝利を収めたんじゃが

()の者が使用して居た装備と同じ色の組み合わせなんじゃよ」


「なッ……そ、そんな事がもう一度起きたとしても

俺は絶対に手伝いませんよ? ……」


<――色の禍禍(まがまが)しさも含め

段々と呪いの装備に思えて来た俺は思わずそう口走った。


だが――>


「構わんよ……(むし)ろそんな戦いが起きたなら

主人公殿には全力で逃げて貰いたいと思っておる。


わしは、あの様な苦しい様をもう見たく無いからのぅ……」


「俺の事……責めないんですね」


「……彼も同じじゃった

優しいオーラを(まと)った男でのぉ……嫌がっておった。


しかし奴にしか倒せなかった……


……周りの人間が次々と死んで行く中

一人の物理職の男が身を挺してトライスターを守った。


何を隠そう、それが先ほど話に出たバーバリアンじゃ。


(ようや)くと言うべきでは無いのじゃろうが

それで決心をつけた彼は……っと。


……マリア殿が近づいてくる様じゃぞ? 」


「えッ?! ……この話の詳しい部分は時間のある時にでも! 」


<――ラウドさんがそう言った直後

扉が開く音がした……本当にマリアだった。


何故(なぜ)ラウドさんが言い当てたのかは兎も角として……


……妙だ、マリアの装備が

先程見た形状とはかなり変わって居る……何と言うか

ちゃんと“防具らしい”形に成って居る。


一体、何があった? ――>


「主人公さん遅ぉいっ! ……何してるんですか! 」


「……年寄(としより)の長話に付き合って貰って居っただけじゃよ。

すまんかったのぅ、マリア殿……」


「それなら良いんですけど……それはそうと!

私、主人公さんにこの装備の自慢をしたくて

ずぅ~っと待ってたんですけど

あんまり遅いので……来ちゃいましたっ! 」


「お、遅くてごめん……って、そう言えばその装備の形。


何か……“大幅(おおはば)に”変わってない? 」


「そう! ……それが伝えたかったんです!!!

主人公さんが“エロい”なんて言うので

部屋でどうにか出来ないか試行錯誤(しこうさくご)してたら!


……この装備凄いんですよ?

体に合わせてサイズと形状が

細かく変更出来る(つく)りになってて~……」


<――そう言いながら各部位を引っ張り

可動(かどう)変形(へんけい)する構造の説明を熱心に語り始めたマリア。


……確かに先程までとは打って変わって防具として活用出来そうだが

そんな中、用事を済ませた店主が帰還し――>


………


……



「いやはや、遅くなってしま……って、その装備は?!

お嬢さん…一体何処(どこ)でその装備を手に入れられたので?! 」


「へっ? これは、物理装備専門店の……」


彼奴(アイツ)が手放した?! ……それは本当に?! 」


「え、ええ“この装備も(むく)われるだろう”って……」


「……お見かけしないお顔ですが、旅のお方ですかな?

(いず)れにしろ、さぞ名のある斧使い様なんでしょう。


あいつがそれを手放す程となれば

差し詰めバーバリア……」


「え? いや……今日から斧使いになった新人ですけど? 」


「……はい?

き、今日は規格外なお客様が多いですな!


ゲホッゲホッ! し、失礼……」


<――(いささ)かキャラ崩壊気味の店主さん

直後、迷惑を掛けた様に感じ

マリアの代わりに頭を下げた俺だったのだが――>


「そ、その……うちのマリアが何かすみません」


「はい? ……もしかしてお知り合いで? 」


「はい、仲間ですけど……」


「何なんだ、今日は何なんだ……」


<――これが完全に逆効果だったから驚きだ。


ともあれ……この後、見た目のダンディさとは裏腹に

相当“面白い”状態に(おちい)っていた店主さんに対し――>


「……落ち着くのじゃ!

御主の“イケオジキャラ”が崩壊しておるぞぃ?!

そんな事より、早く主人公の装備を完成させてやるのじゃよ! 」


「そ、そうでした……


……余りの事につい取り乱してしまい申し訳有りません。


さて……主人公さん。


鍋の上に手を(かざ)し――


(われ)に合う、形と成りて……(われ)(ため)と成れ”


――そう、(とな)えてください」


「は、はい……では! ――」


<――店主さんの言う通りに呪文を(とな)えた俺。


瞬間、鍋の中で三色に変化した素材のそれぞれが

俺の手に(から)みつく様に浮かび上がった。


……かと思うと、直後

俺の体を今までに感じた事の無い“激痛”が襲った。


それもその筈だ……あろう事か、浮かび上がった素材は

俺の中に“入り込もうと”し始めたのだから――>


「――何……だ……これッ?!


ぐッ……あぁぁぁッッ!! 」


「……辛いでしょうが我慢してください。


多少の痛みが来るかもしれませんが……我慢を」


<――苦しむ俺に対し、店主は


“多少の痛み”……と言った。


だが、(てのひら)から溶解(ようかい)した純金が入り込む痛さが

“多少”な訳が無い……(むし)ろ、それは

激痛と言う言葉さえ生易(なまやさ)しい程だ――>


「ぐッ!! ……体が……胸が……

痛い……ッ……何なんだよこれッ!! ぐッ。


……あ゛ぁぁぁぁぁッ!!! 」


「……主人公さんっ?! 」


「触れてはいかんマリア殿っ!!! 」


「でも、主人公さんが!! ……」


<――俺を心配するマリアの姿が(かす)かに見えた。


ラウドさんに対し必死に何かを訴えて居る様子だけは分かったが

俺にはその声すら聞こえては居なかった。


それは多分、俺自身が発する叫び声が

遥かに上回って居たからだろう……痛過ぎて気絶したいが

それすら“叩き起こす”程の痛み

そんな中、(かす)かに聞こえた店主の“後半分”と言う声。


……まだもう半分もこの痛みが続くのか?


くそッ……早く

完成……してくれよッ!! ――>


………


……



「……もう少しです、あと少し! 」


《――最後の一滴が主人公(かれ)の体へと入り込んだ瞬間


その耐え(がた)き痛みが(ゆえ)

彼はその場に倒れ、意識を失った――》


………


……



「……主人公さんっ!!! 主人公さんっ!!! 」


<――マリアの声だ。


やっと終わったのか……声も聞こえる。


重い(まぶた)を開けた瞬間、其処(そこ)には

俺を心配するマリアの姿があった……嗚呼(あぁ)


やっぱりマリアはとんでも無く綺麗だ……


……泣き腫らしたその目さえ余りに美し過ぎて。


心配を掛けてしまった事は申し訳無かった。


だけど、これはきっと彼女のお陰だ


“痛みに耐えて良かった”


そう、思えたのは――>


………


……



「……完成ですよ、お客さん」


「死ぬかと思った……トライスターなんて断るべきでしたかね?

初めての経験でしたよ、こんな規格外の痛み……」


<――などと話していたら

マリアが俺の事を抱き締めてくれた。


とても温かくて、優しい心を感じた……まぁ、とは言え

実際は甲冑がガツガツ当たるから

“すっげぇ痛かった”のだが――>


「良かったよぉぉっ~……主人公さぁ~んっ! 」


「……心配掛けてごめん。


でも、もう大丈夫だから……ってあれ?


あ、あの……肝心の武器は何処(いずこ)へ? 」


<――俺の体に入ったっきり

三色に染まった材料は何処(どこ)かへと消えたままで――>


「ん? ……おかしいのぅ、見当たらんぞぃ? 」


<――ラウドさんを含め、皆が俺の周りを探すが見当たらない。


そんな中、店主さんは俺に対し――>


「まさかとは思いますが……主人公さん

(われ)の元へ”……と(おっしゃ)ってください。


……恐らくは“内蔵型”なのでしょう」


「な、内蔵型? 便利は良さそうですけど……我の元へッ! 」


<――言われた通りに呪文を唱えた瞬間

俺の周りに現れた武器……まぁ、確かに現れてくれた。


だが、同時に……俺が最も“危惧(きぐ)して居た結果”を


(もたら)しても居て――>


………


……



「ぬおわッ!? って……えッ?


あ、あの……“これ”


何だか……凄く……


とっても……“目立ち過ぎて”ないですかぁぁぁぁぁッ?! 」


<――俺が最も危惧(きぐ)していた事が現実に成った瞬間だった。


何故か? ……(わか)らないなら見て欲しい。


俺の体の周りを元気に飛び回る紫・黒・金の粒子を。


光り輝きながら舞い続けている紫・黒・金の粒子の数々を!!! ――>


「ふっふっふ~ッ♪ ……主人公さん、()っっごい目立ってますね~」


<――とニヤけた顔で俺をからかったマリア。


……前言撤回(ぜんげんてっかい)だ。


マリアは断じて“優しく”なんか無いッ!!! ――>


「い……嫌過ぎるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!! 」


<――どうにか異世界転生を成功させた俺は

異世界での生活の為“トライスター”と言う職業を選んだ。


けど、ご覧の通り……俺が思い描いて居た様な

“楽勝な異世界生活”が出来る訳も無くて――>


===第四話・終===

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