第一話「楽をするのも一苦労」
数ある作品の中から本作を見つけ出していただき、本当にありがとうございます。
本作は、私にとっての「処女作」であり、誕生日の節目に「思い切って世に出そう!」と決意して投稿を始めた、非常に思い入れの深い作品です。
そのため、特に初期の話数は「情熱を込めすぎた結果、設定などの語りが濃厚で、絶望的に長い(最大で1話1万6千文字ほどあります)」という、非常にカロリー高めの仕様になっております。
お読みいただくには少々体力が要るかもしれませんが、その分、重厚な世界観にどっぷり浸っていただけるよう全力を注ぎました。現在も少しずつ読みやすくなるよう改稿を進めており、物語は「必ず完結まで」お届けすることをお約束します。
腰を据えてじっくり楽しんでいただける方、何卒あたたかい応援をよろしくお願いいたします!
《《GAME OVER!! 》》
幾度と無くモニターに映し出されるコンテニュー画面。
舌打ちの音が暗い部屋に響いて居た――
「……あ~クソゲーだわ。
これはまじで制作陣無能すぎて草も生えないな……ったく。
俺でもこんなクソゲー作らないわ!! ……クソッ!!!」
俺の人生は、あの日から一変した。
強盗に入られ両親を失い、俺一人が残されたあの日……俺は、友達の家に泊まって居た。
犯人は物取りだったらしいが、物だけ取って逃げてくれたら、俺の両親は今も生きて居た事だろう。
もし、今も二人が生きて居てくれたなら、警察やら、学校の教師やら……一切の気遣いが感じられない興味本位の様な質問を繰り返され、塞ぎ込む事など無かっただろう――
「……ディスク叩き割るのも馬鹿みたいだし、ショップに売りに行くか……」
そんな山程の苦痛と不幸を原因に不登校に成った俺は、不登校を理由にいじめっ子達の格好の的と成り、更に不登校が酷くなると言う負のループに陥った。
当然だが、学力は低下し、勉強について行けない事で余計に不登校は悪化した。言うまでも無く、今では立派な引きニートだ。
……えっ? 引きこもり生活が成り立ってる理由?
それは単純に両親の保険のお陰だ。
生きては行ける……けど。
気がつけば何も成し遂げず、両親への顔向けなど出来る筈も無く、あっという間に三〇歳の誕生日を迎えた今の俺は、世間一般で言う所の“負け犬街道一直線”だ。
改めて考えるのも嫌だが、これから先の俺の人生には、きっと、夢も希望も無いのだろう――
「ったく……このゲームマジで無いわ。
腹立つし、腹減ったし……冷蔵庫になんかあったっけ?
って……驚く程何も無え。
仕方無い……コンビニ行くか」
そうして渋々出向いたコンビニへの一本道。
妙にスピードを出したトラックが、明らかに俺を狙って追突して来やがった。
“何でだよッ?!”――
「何だこの痛み……クソッ……何なんだよ俺の人生はッ……
ぐッ、やばい……意識が遠のいて行くの……が……判……」
「……ん? 何だこの場所?
暗ッ! 怖ッ! って……誰だッ?!」
どれ程の時が経ったのだろうか?
気が付くと俺は、良く分からない暗闇の中に居た。
ってか、今俺は“トラックに轢かれた”筈じゃなかったか?
そんな、当然と言うべき違和感の中、周囲を見回して居た俺の目に写ったのは、スポットライトに照らされた美しい黒髪の女だった。
……直後、この女は優しい口調で俺に話し掛けて来た――
「……随分と苦しい人生を送られた様ですね。
そんな貴方を救う為……今回、貴方様には特別に“トラック転生”を行いました」
「は、はぁ……そうなんですか。
って……えッ? いや、あの“転生”って、い、今俺トラックに撥ねられ……いや。
俺……異世界に転生させて貰えるって事ですか?
てか、さっきのは“トラック転生”って言うんですか?
も、もしかして“テンプレ”みたいな物があったりするんですかッ!?」
そう、質問攻めにした俺に対し、“あなたの人生を救済する為、今から貴方には異世界へ転生して頂きます、さあ此方へ”と、事務的に返事をした女……だが、“トラック転生”については全く答えてくれなかった。
「……ま、まぁ良いか!
俺も“異世界転生出来たらなぁ~”とか思ってたんですよ。
けど……漫画とかゲームの世界だけじゃなくて、実際、こう言う事ってあるんですねッ!
まるで宝くじにでも当たったかの様な……と、兎に角ッ!!
そうと決まれば、早速転生させてくださいッ!」
「ええ、ですがその為には先ず、転生先に於ける貴方の“仕様”を決めなければ成りません。
それらを先に設定致しますので、ご希望をどうぞ」
「え、選べる感じなんですね……
……そッ、それなら転生先で最強の存在でお願いしますッ!!
あ、後……その……
モッ……モッ……
……“モテモテな感じ”でッ!!!」
“時が止まったのか?”とさえ思える程の長い静寂。
……この後、“そんなに可笑しな事を頼んだつもりは無い”と考えて居た俺に対し、彼女は、俺が決めなければいけない事を“大量に”羅列し始めた。
「……では、先ず身長、体重、体型。
年齢、性別、種族……及び、それに伴う容姿の設定を。
次に……魔導力及び、魔導適性の有無と、物理適性の有無、血液型や病気の有無、家系、所持品……」
「まッ……待て待て待て待てッ!!!
どッ、どんだけ決めさせるつもりだよッ?!」
この有様である。
「そう仰られましても、これは“規則”ですので」
「えぇ……めんどくさっ!
ま、まぁ……とは言え、ここで頑張っとけば後で楽が出来るって事だよな?
まぁ、見た目とかは自分でも嫌いじゃないけど、体型は細マッチョが良いかな?
最近、お腹周りが気になってたし……」
「えっと……体型以前の問題かと」
「な゛ッ?! ……い、いじめかッ!?
転生前最後のいじめなのかッ?!」
「……失礼致しました。
体型は“細マッチョ”ですね……その他の項目をお決めください」
「う~ん……身長はもうちょっと高かったらモテる気がするし、一七五位にしてくれるかな?」
「えっと……“メートル”ですか?」
「んな訳有るかぁッ!!
俺は異世界で“進撃”でもするのかよ!?
どう考えてもセンチだろッ!」
「いえ“フィート&インチ方式”と言う場合も……」
「……此処がもし“アメリカ”ならその質問も仕方無いけど、って、兎に角……俺は日本人だッ!」
「いえ、此処はどの国にも属さない……って、無駄話はお止しになって下さい、私も暇では有りませんので。
兎に角、残りの項目ですが……」
「お前が始めた無駄話だろ?! ……って、もう良いよ。
……体重は細マッチョにして、一七五センチにした時、自ずとこの位って感じの体重でいいからッ!
あと……年齢は今のままだと色々辛いから、一八くらいが良いかな? ……あッ!
“歳”な?! 間違っても“千”とか“万”とかにするなよ?」
「あの……私がそんなミスをする様に見えます?」
「たった今、思いッッッ切り、やってくれたよね?」
「そうですか……で、あれば年齢は一八“万”……」
「おい逆ギレすんなッ! ……俺は某“閣下”かッ!
じ、一八歳でお願いします……頼むから」
「……年齢は一八歳で、体型に合わせた体重ですね。
設定しました……さてと、残りの項目は……」
「一個ずつ説明しなくても何と無く覚えたから良いよ。
……性別は男のままで良い、幾ら相手がイケメンでも、男と、その……“何かしら”をする気には成れないからさ」
「そうですね……そのお顔だとお相手も嫌かと」
「……さっき最後のいじめかと思ってたけど、まだ続くのか。
分かった……俺の顔は酷く不評みたいだし、顔は君が思うイケメンで良いよ。
正直、女性の好みに合わせて見るのも良いのかな? って思ってたり……」
「私が思うイケメンですか……“ここは俺に任せろ!”みたいな勇者然とした性格なら、問答無用でイケメンだと思……」
「いや……“中身”じゃなくて“外見”の話な?」
「ええ、理解して居ますよ? ……ですが、全てご自分でお決めに成る事が“規則”です。
私には一切の決定権が御座いませんのでご了承下さい」
「なッ……そう言う事は先に言えよッ!
なら、俺の顔をベースにして、全体的にバランスを整えてくれないか?」
「バランスを整えろと言われましても……
……あっ、良い手を思い付きました!
貴方様の生前の“スマホ”に入って居る修正“マシマシ”なお写真に合わせてはどうでしょうか?」
「うッ、痛い所を……そッ、それで良いよもうッ!!
あとは……種族か。
……人間でいいや、面倒臭いし」
「種族は人間ですね……設定しました。
残りは魔導力及び、魔導適性の有無と、物理適性の有無、血液型や病気の有無、家系、所持品……」
「う~ん……魔攻と物攻は両方“カンスト”で、当然だけど、適性もそれに合う様に高くて良さそうかな?
血液型は今と同じで病気は無し、家系は……普通の町民の生まれで良いかな。王族とかどう考えても面倒臭そうだし……
……それに一応“バランス”的な事を考えると、大金持ち! ……とかも嫌なんだよね。
って、そうなると戦闘能力が高過ぎるのもつまんないのかな?
……いや、変に苦労する様なステータスで異世界行ってまで苦労するのもバカみたいだし……
……どうするのが良いんだろう?」
「……血液型は現状維持、病気は無し。一般町民の生まれで、所持品は無し……ですね?
設定しました」
「おい、ちょっと待った……魔攻と物攻が抜けて無いか?」
「ええ、現状では設定出来ない項目を後回しに致しましたので。
そもそも“カンスト”と仰られましても……」
「ああ、流石にそれはチートが過ぎるのか。
なら、せめて片方だけでも“カンスト”に出来たりとかは……」
「いえ……そうでは無く。
転生先の世界、其処に生きる動植物や各種族達、その他諸々を“作って頂いて”からで無いと、“カンスト”がどの程度の数値なのかと言うのが私には判りかねますので……」
「……は?」
「ですから、転生先の……」
「えっ、いや……待って?
転生先って既に用意されてる場所なんじゃないの?
聞いた事無いよ! そんな悪魔の様なセルフサービス!」
「ええ……最初期の転生者様にはこの様な設定項目は無かったのですが、人間と言うのは恐ろしい物で、転生前に辛い経験をした人間達が皆、一様に“自らが一番強く有りたい”……と、願い望まれた結果、既に存在して居る異世界が、全て枯渇してしまいまして」
「な、何だか“IPアドレス枯渇問題”みたいな理由だな……」
「……ですので、枯渇後の転生者様には、ご自身のお作りに成った世界で生きて頂く形と成っております」
「そうなのか……でも、それって可怪しく無いか?」
「何がですか?」
「いや、その世界に生きている人間や魔物、動植物から何から全部自分で設定したなら、それはもうひたすらに作り物でしか無くて、宛ら俺“ゲームクリエイター”じゃん。
早い話が“内容全部知ってるゲームをやる”様な物でしょ? それ」
「ですが、転生前……
“俺でもこんなクソゲー作らないわ”
……とか仰って居た貴方様なら余裕かと」
この女、顔はとんでもなく美人だが、所々毒舌過ぎてちょっと疲れる。
そもそも、異世界転生ってこんなに疲れる物なのか? それとも“ラノベ”とか“アニメ”が楽勝に描かれて居るだけなのか?
「また嫌味を……それはゲームの話だろッ?!
自分が今から生きて行く世界が全部自分で考えた物だったら、俺だけ凄ぇーつまらない世界に成るだろうがッ!!」
「そう言われましても……“規則”ですので」
「さっきから規則、規則、規則って……お前は役所かよッ!?」
「……その発言は私に取って記念すべき百回目です」
「知るかぁッ!! ……記念するなら何かくれよッ!
それこそ“設定が楽になる様な知恵”とかをさぁッ!?」
「知恵、ですか……寧ろ記念すべきですので、私が祝って頂きたかったのですが……」
「あ゛~ぁッ!! もうッ!!!
……はいはい、おめでとうございますぅ~ッ!!
どうせなら、“可愛いですねお姉さん”……とか、“素敵ですねお姉さん”……とか。
百回言われた記念なら良かったのにね~ッ!!!」
と、精一杯の“嫌味”を言ったつもりの俺に対し、何故かこの女は顔を真赤にし始め――
「へっ?! ……あ、ありがとうございますっ!
よ、容姿を遠回しに褒められたのは初めてで……」
そう、言った。
……何だろう?
この反応、ちょっとだけ可愛い。
「へッ?! ……あっいや、そのッ!!
ほ、本当に綺麗な人だとは……
……おッ、思うけどさぁッ?!」
「そ、そうですか?!
で、でしたら……綺麗、と照れながら褒めて頂いた“初めて記念”と言う事で、特別に……」
「特別に? ……あッ! アイデアくれるのかッ?!」
「いえ……ほっぺにキスして差し上げますっ!」
「い゛ぃッ?! ……い、要らない訳じゃないッ!
寧ろ嬉しいッ!! ……けど、そう言う事じゃ無くて、今は世界を簡単に構築出来……」
と、慌てふためく俺に、彼女は頬を赤くしながらゆっくりと近づいて来て――
“チュッ”
宣言通り、俺の頬に口づけをした。
「あばばばばッ?!! あwせdrftgyふじこlp……」
「失礼致しました、では世界の構築を……」
「……あ、あのッ!」
「何でしょう?」
「こッ、この空間にずっと君と一緒に居るって言うのは無理なのかな?
……俺、初めて女の子に、それも半端無い美女にキスされたからか、何か世界最強とかどうでも良く成っちゃったって言うか……
その……き、君と一緒に居たいって、おッ、思っちゃってますッ!!」
考えても見て欲しい。
“三〇歳童貞”の男がこんな美人にキスされたら、そりゃあコロッと行きますよ。
そりゃあ……
「……“規則”がありますので、無理です。
それよりも、早く転生しないと貴方の体は腐り始めてしまいます。
ですので、一刻も早く設定を終わらせてください。貴方のそんな姿、見たくありませんので」
「えっ? ……怖ぁッ?! 何その謎ルール怖ッ?!
じ、じゃあさ! ……君が一緒について来て、俺は転生先で君を“道具として使う”。これなら、規則にギリギリ違反しないんじゃないかな?」
「わ、私の体を道具として!? そんな破廉恥なっ! ……」
「い……いやいやいやいやッ!
そう言う事じゃなあああああぃッ!!!
……君を、異世界転生者に良くある“便利道具”的な役割で連れて行けば、ずっと一緒に居る事が出来るかもって思っただけだッ!
かッ……仮にも初めて告白した相手に、そんな酷い事、する訳無いだろッ?!」
「……そう仰られましても、私は“規則”でこの場を離れる事が……あっ!
この項目……出来るみたいです」
「おぉッ! じゃあ、是非とも一緒に……」
「でしたら、余計に世界を“確りと”作ってください」
「あ~……やっぱりそう成ります?」
「ええ」
「デスヨネー……けど、どう言う世界にすれば良いんだろ?
一から決めるって言っても……“テンプレ”的なのって無いの?」
「一応御座いますが、テンプレートの異世界は正直、全くオススメ出来ません……」
「それは……何故に?」
「例えで言いますとオークの顔は男女共に同じ、エルフは男女共に二種類程度、スライムは色が違うだけ。その他の魔物も似たり寄ったりで、町民に至っては何処に行っても同じ様な顔ばかりですから……」
「う~ん……大抵のゲームだとそんなもんだと思うけど、これから暮らそうって世界がそれだと辛いか……」
「ええ、これから先……少なくとも数十年は暮らして行く場所な訳ですし、元の世界にはもう戻れませんから、ちゃんと作って居ないと後々が辛いかと」
「だよね……でも、どうすれば……あッ!
もし、可能なら元の世界にいる人達の顔を持って来て、種族分布に合わせて多少カスタムする感じでどうかな?
会った事の無い人や物だらけだし、少なくともつまらなくは成らないと思うんだッ!」
「成程……良いアイデアですね!
それなら細かい仕様も殆ど流用が効きますし!」
「良しッ! なら俺の好きなゲームを参考にしてくれ!
あのゲームは――オーク・ドワーフ・エルフ・獣人が各一割、魔族が三割、人類が三割。って感じの比率だ。
唯、マップをそのまま流用すると面白みに欠けると思うし、生態系を含め、地形は転生前の世界と俺の好きなゲームを“足して二で割った”様な感じで良いと思う。
後は……素材取ったりする為の魔物とかは、暫くすると湧く感じで良いんじゃないか?
全体的な世界観はゲーム通り、中世ヨーロッパ風のままでも良いけど、少しケルト風を強めに混ぜてくれると尚良いかも知れない。
それから……魔導にしても物理にしても、ステータス関連はゲーム準拠で良いと思……って。
忘れる所だった……共通言語は“日本語”で!」
「ほうほう……結構決まってきましたね!
この調子で急いで決めましょう!
……主人公さん、既に腐りつつありますので」
唐突にそう言った彼女の視線は、俺の足元に向いて居た。
つられて俺も自分の足を見た……って、何だッ?!
俺の足が禍々しい色にッ?!
「うわあッッッ!!? ……く、腐り始めるの早くないかッ?!
てか、まさかとは思うけど、“仕様決めてる最中に腐って終わった異世界転生者”、結構多いまであるんじゃないの?!」
「えっと……新しい世界を構築している途中で腐って終わった転生者様は……全体の“九七パーセント”ですね」
「……おいぃぃぃッ!!!
それじゃ“トラックで撥ねて、甘い言葉で生きる希望与えて、もう一回殺した”様なもんじゃないかよッ!!
……急ぐぞ、絶対に失敗したくないから急ぎまくるッ!
法律関連は中世期頃の時代に似た形で、飛行機とかは無いけど船はある位の文明力で、物理的な強い武器は大砲位までで、ドラゴンとか神話の生物なら大抵は出る感じでッ!
あ、後の設定項目はッ!?」
「現在の構築状況は九八パーセントです!
急いでください! 急激に主人公さん腐ってますよ?!」
「うわぁぁぁ! ……あと二パーセントは何が原因なんだ?!」
「二項目だけです!
……まずは貴方が添い遂げたい相手を決めてください!
貴方様自身の決めた項目数と同じです!」
「添い遂げたいのは君だッ!
君は……君が持つそのままのステータスが良い!」
俺がそう言い切った瞬間、ほんの一瞬だが、再び時間が止まった様な気がした。
これは、もしかして“告白成功”したのだろうか?
「嬉しいですが……それは出来ません。私はあくまで主人公さんの道具として移動しますので。
兎に角……早く! 後少しで主人公さんの体が!」
「うぅッ……初めての恋が切なくも儚く散って凄く辛い。
けど、そんな感傷に浸ってる暇が無い……
……君以外の女の子を考える余裕なんて今の俺には無い、だから……ランダムに転生先の女の子から選ぶ感じで頼む。
い、一応の好みとしては……美人で巨乳!
それから……“褐色肌”でッ!」
ええ、フラれてヤケに成りましたとも。
“女性を目の前に希望する内容じゃない事位”誰に言われなくても分かってますよ~だッ!
「……うわぁ。
何か引きます……ともあれ、確定しました。ランダムに転生先の女性を選択致しました。
……結果を表示しますか?」
「う゛ッ……頼むから引かないでくれ。
それと、結果は見たくないかな。見ちゃうとつまんないし……
……って、こんな事言ってる暇は無いッ!
早く転生させてくれッ!!!」
「わ、分かりました! ……では最後に改めて、貴方のステータスを決めて下さい!
残りは魔導力と物理攻撃力、両者に付随する適性数値だけです!」
「あ、ああ分かったッ! ……
……考えたら三〇歳で童貞だし、そうなると、割と魔導適性高そうな気がするから、魔導系は全部……“最高数値”でッ!」
言ってて悲しい上にドン引きされた。
だが、気にして居る暇なんか無いッ!
「……物理は皆無でも良いから兎に角急いでくれッ!
こんな所で終わったら余りにも浮かばれないッ!!
そ、それから……今更だけど君の名前が知りたいッ!!!」
「わ、私の名前ですか?! ……私の名前はマリアです!
っと……出来ました、急ぎましょう!
急ぎ異世界へ飛びますっ! ――」
“マリア”がそう言った次の瞬間、俺達の眼前に現れた異世界への扉。
直後、俺達は眩い光の中へと吸い込まれた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
……吸い込まれる勢い自体もだが、眩い光の先にあった光景が、まるで“スカイダイビング”の様な状況だった事もあり、“高所恐怖症”の俺は、思わず悲鳴を上げてしまった。
だが、その一方で……横に居た彼女は、まるで“絶叫アトラクション”を楽しむかの様に声を上げながら陽キャの様に楽しんで居て……何と言うか。
ほんの少しだけだが、俺は……彼女のテンションに、引いた。
===第一話・終===
カロリー高めの第1話を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
少しでも読みやすくなるよう、本作は時折「改稿(修正)」を行っております。物語の本筋が変わることはありませんが、表現のブラッシュアップがメインとなります。
そのため、執筆時期(初期・中期・後期)によって表現方法に差異が生じている箇所があるかもしれません。そんな時は、
「ああ、まだ改稿前なんだな。にしても表記ゆれ凄いな?」
「ここ完全に誤字ってるぞ。作者も後で恥ずかしいだろうし、軽く指摘してやるか」
……といった形で、生温かく見守って(あるいはツッコミを入れて)いただけますと大変救われます。
読者様からいただく評価やブックマーク、そして応援コメントが、日々の執筆の何よりの原動力です。いつも本当にありがとうございます。
次話以降も、この濃厚な物語を少しでも長く楽しんでいただけますように。
作者:黒崎凱




