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第8話 父と母

「僕の名前をですか?」

「そうなんだよね~。イフリス君って家名ある?」

「はい。アレスタークです」

「!!・・・・・・・・・・・・リリちゃん。少し席を外してくれないか」

「? はい。分かりました。」


そう返事をして部屋を出ていくリリ。それにしてもなんだ?俺の家名に心当たりがあるのか?


「なあ。イフリス君がここに来るまでのことを全て話してくれないか?君の親のことやここに来た目的やその他もろもろ全てだ」

「わ、分かりました」


一応ミルルの事と勇者を殺す事は黙っておいて、それ以外の事をすべて話す。

話し終わって熟考しているテトさんを見ていると、心配そうにミルルが話しかけてくるを


『信用してよかったの?』

『まあな。それに俺の家名のことで何か知ってそうだったからな』


そう。信用できるできないに関わらず、お父さんとお母さんについてはなるべく知っておきたい。


「・・・・・・なるぼど。そういう事か!!うんうん。なるほどなるほど」

「一人で納得してどうしたんですか?」

「あ、ごめんね。それよりよーく聞いてほしい。君は百年前の勇者を知っているかね?」

「いや、しりません」

「そうか。勇者は必ず強さで選ばれるわけでは無いんだ。勇者とは光の精霊と生まれると言われている。光の精霊を持っていることが勇者の証明という事だ。光の精霊は気まぐれで、自分より強い奴がいるとそちらに行ってしまうんだ。そして、4年に1回開かれる大会で優勝して、勇者への挑戦権が貰えるんだ。そこで勝てば・・・・・」

「勇者になれる!」

「そう。そういう事なんだ。そして、そいつが死ねば新しい勇者が生まれるという事だ。もちろん勇者二人目が産まれることもあるけどね」

「はじめて知りました」


「それで、100年前。勇者はある魔王を倒したんだ。それが『呪兇者 エスラト・コデルーガ』。呪いを得意とした魔王だよね。そして、その勇者と仲間の賢者と魔術師と盾師は首を取り帰ってきた。今まで勇者とは国を守ったり王を守る役目だったがこれを気に勇者は魔王を倒すもの、ということになった。そして、その勇者と仲間は今後伝説として語りつがれるはずだった。・・・・・・だが、ある時勇者と賢者は姿を消した。王城の宝と一緒にね。仲間にも言わずにどこかへ消えてしまったんだ。国は最大の反逆者として勇者と賢者を追ったが見つからなかった。そして、絵本や書物から存在はすべて抹消されたんだ。そして、それから80年後、丁度二十年前に新しい勇者が生まれた。これからの救世主だと思った時に十年前。再び新しい勇者が生まれた。ここまで分かるね?」

「はい。百年前に勇者がいたけど居なくなってしまった・・・・・・。そして二十年前と十年前に二人新しい勇者が生まれた」

「そう。そして、二十年前の勇者は新しい光の精霊は新しい精霊だったが、十年前に生まれた勇者の光の精霊は既に一度主を持ったことのある精霊だった。そして、君のお母さんとお父さんが死んだのは10年前・・・・・・」

「ということは・・・・・・俺のお父さんとお母さんは勇者と賢者?!」

「まだ推測だけどね。それで?殺した犯人の目星は付いているの?」

「はい」

「そう・・・・・・。それじゃあイフリス君。少しついてきてくれる?」


そう言ってテトさんは立ち上がり、何も無い壁で何かをやっている。

何故かミルルは黙っているがほうっておこう。


ピピピピ ガゴンッ


そんな音が部屋に響いて、いじっていた壁の一部が抜ける。どうやらそこは階段になっているようだ。


「さあ。おいで」


階段を降りると、そこには一つの石碑が言えてあるだけだった。


「イフリス君。そこの文字を読んでみてくれ」

「は、はい。えっと


天から天使落ちてきたり

その天使 不思議な力を使いて

人々を救いたり

ある時 その天使 姿消したり

そこには 1枚の 羽あり


何なんですか?これ」

「これは昔からここにあったんだよ。恐らく千年前からある」

「千年前?!」

「そう。だけど魔法がかかっていて劣化していない。千年も保つ魔法なんて聞いたことがないから色々な研究者が調べたんだけどなんにも分からなくてね」

「・・・・・・どうしてこれを俺に?」

「私は石碑じゃなくてこの文章に意味があるともうんだよ。天使なんて見たことも聞いたこともないけどね。そしてイフリス君はこの謎を必ず解くと思うんだ。研究者としての勘だけどね」

「・・・・・・」

「それで一つだけ頼みがあるんだよ。リリちゃんを連れて行ってくれないか?あの子はいつも危ない事に巻き込まれて生きてきたんだ。君は強いし助けてくれるだろう?」

「でも、正直危険だと思います。犯人はかなりの強さなんで俺が殺されたら次はリリに被害が及ぶ。それだったらここにいた方が・・・・・・」

「ダメだなあイフリス君。見た目だけじゃなくて心も女の子かな?リリちゃんが危なかったら君が助ければいい。助けられなかったら君が強くなればいい。犯人は強いんだろう?だったら君も強くならないといけない」

「・・・なんで今さっきあった俺にそこまで託せられるんですか?」

「うーん、勘・・かな?」


ニヤリと笑ってグーと手を突き出すテトさん。

俺は別に犯人を殺せばいいと思ってたけどなんかすごいめんどくさい物を背負っちゃったな。

だけどまあいいか。頼られるのは嬉しい。

それに、テトさんはとてもいい人そうだ。





「なんならお嫁に行かせてもいいのだよ?」


前言撤回だ。


『この人いいこと言うね!』


今まで黙ってたくせにいきなり出てくるな!


そう突っ込んでおいて、俺たちは部屋の外へとでた。

リリには俺のすべての事情を話して、ついてくるかと聞くと、


「絶対行きます!イフリスさんと一緒にいけば強くなれそうです!」


と言ってくれたので安心した。

研究所を出る時テトさんに何か吹き込まれて顔を赤くしていたが気にすることはないだろう。

それよりも、ここを出る時にテトさんが俺に言った言葉。


「君のここにいる者。気おつけた方がいいよ」


と言って俺の胸をツンと押した。意味はわからなかったが聴き逃してはいけないような気がする。

俺はそんな不安を抱えつつも、元気よく歩いて行くリリの元へと走っていくのだった。


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